2021-22シーズンの「V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子)」は、グランドファイナル(ファイナル第2戦)が新型コロナウイルスの影響で中止になり、ファイナル第1戦で勝利した久光スプリングスの優勝で幕を閉じた。今シー…

 2021-22シーズンの「V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN(V1女子)」は、グランドファイナル(ファイナル第2戦)が新型コロナウイルスの影響で中止になり、ファイナル第1戦で勝利した久光スプリングスの優勝で幕を閉じた。今シーズンに活躍した選手のなかから、新たに日本代表入りした選手や、今後に注目したい女子バレーボーラー10人を紹介する。

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photo by Kurobane Shiro

■井上愛里沙(いのうえ・ありさ)
所属:久光スプリングス アウトサイドヒッター・178cm
1995年5月8日生まれ 京都府出身 西舞鶴高→筑波大

 今シーズンの最高殊勲選手賞(MVP)、ベスト6を受賞。さらに最多得点部門で、それまで木村沙織(元東レ)が持っていた日本記録を12シーズンぶりに塗り替えた。

 筑波大から入団して4年目。ユニバーシアードは主力として3大会連続出場し、銀メダルひとつ、銅メダル2つを獲得した実績があるが、昨シーズンまでのVリーグでは今ひとつ印象が薄かった。しかし、今季は攻撃面で著しい成長を遂げ、昨年12月の天皇杯とVリーグの2大会でMVPに。パワフルな攻撃が持ち味で、今年は課題のレシーブも克服し、シニア代表でも世界選手権メンバーに残れるかが注目される。



photo by Sakamoto Kiyoshi

■戸江真奈(とえ・まな)
所属:久光スプリングス リベロ・163cm
1994年5月18日生まれ 福岡県出身 東九州龍谷高

 キャプテンとして2年目のシーズンでチームを優勝に導いた。年齢的に中堅の立場のため、チーム内の若手とベテランのパイプ役としても欠かせない存在。石井優希などの先輩選手たちからも頼りにされている。

 今シーズンはサーブレシーブ部門で3位と健闘。性格的に、強気でチームを引っ張るタイプのキャプテンではないが、献身的なプレーでディフェンスの要となった。「今季はコートの外にいる選手たちに助けられている」と試合後の記者会見でコメントするなど、チーム思いで、周りへの感謝を忘れない優しい性格の持ち主でもある。



photo by Sakamoto Kiyoshi

■佐々木千紘(ささき・ちひろ)
所属:ヴィクトリーナ姫路 ミドルブロッカー・175cm
1997年11月17日生まれ 秋田県出身 角館高→東京女子体育大

 女子日本代表監督の眞鍋政義氏が立ち上げたヴィクトリーナ姫路から、リベロの花井萌里とともに代表に初選出された。175cmとミドルブロッカーとしては高さはないが、Vリーグではブロック決定本数13位と健闘している。ファンのなかでは、いわゆる"秋田美人"としても人気が高い。速さのある攻撃にも磨きをかけて、日本代表のサバイバルで生き残れるかに注目したい。



photo by Sakamoto Kiyoshi

■西川有喜(にしかわ・ゆき)
所属:JTマーヴェラス アウトサイドヒッター・180cm
2000年9月4日生まれ 徳島県出身 金蘭会高

 高校時代は金蘭会のエースとして春高バレー2連覇に貢献。JT入団後は試合に出場する機会が少なかったが、3年目の今季からスタメン出場が増え、2022年度の日本代表に初選出された。

 東京五輪代表の林琴奈のように、JTのアウトサイドヒッターは身長があまり高くない選手が多いが、西川は180cmと高さや攻撃力もあり、今後の成長が期待される選手のひとりと言える。線が細い印象もあったが、吉原知子監督は「体がしっかりできてきた」と判断し、今季から積極的に起用した。一方で、サーブレシーブなど守備面が今後の課題。ちなみに、妹の吉野も東レでプレーしている。



photo by Sakamoto Kiyoshi

■古賀紗理那(こが・さりな)
所属:NECレッドロケッツ アウトサイドヒッター・180cm
1996年5月21日生まれ 熊本県出身 熊本信愛女学院高

 昨年の東京大会で念願の五輪出場を果たしたが、初戦のケニア戦で右足首を捻挫。そのケガが完治せず、Vリーグの序盤は後衛でサーブレシーブのみの出場をするなど、フル出場できなかった。しかし、完全復帰してからはチームの中心選手として活躍した。

 2022年度の日本代表の主将にも選ばれ、高校以来のキャプテン就任となった。もともとはおとなしい性格で積極的に発言するタイプではなかったが、経験を積んだ現在は記者会見でも試合を丁寧に振り返るなど、しっかり自分の考えを言葉にする姿が見られるようになった。日本代表ではどのようなキャプテンシーを発揮するのか注目したい。



photo by Sakamoto Kiyoshi

■小川愛里奈(おがわ・えりな)
所属:東レアローズ ミドルブロッカー・178cm
1998年6月3日生まれ 岡山県出身 就実高

 今季はスパイク決定率3位(日本人1位)という成績を残し、ベスト6にも選出された。一時期はチームでオポジットの練習もしていたほどで、パワフルなタイプのミドルブロッカーだ。昨シーズンの主将で同期の黒後愛が体調不良で休養となったなか、石川真佑、関菜々巳らとともにチームを牽引した。2022年度は日本代表にも初選出されたが、課題のブロックを克服して活躍することを期待したい。



photo by Sakamoto Kiyoshi

■志摩美古都(しま・みこと)
所属:PFUブルーキャッツ アウトサイドヒッター・175cm
1999年1月18日生まれ 長野県出身 敬愛学園高→順天堂大

 大学時代は2019年ユニバーシアードでスタメンとして活躍し、銅メダル獲得に貢献した。PFU入団1年目の今季はシーズンを通してレギュラーとして出場し、鍋谷友理枝の対角を務めた。攻守のバランスがいい選手で、新人賞は同じチームのオポジット、バルデス・メリーサに譲ったが、候補の一角と目されていた。今年はPFUから唯一、日本代表に選出された。



photo by Kurobane Shiro

■佐藤優花(さとう・ゆうか)
所属:埼玉上尾メディックス アウトサイドヒッター・173cm
1994年1月24日生まれ 岡山県出身 就実高→トヨタ自動車ヴァルキューレ

 172cmと小柄だが、非凡な攻撃センスを持つアタッカー。高校時代は岡山の名門・就実高で主将を務め、春高バレーにも出場した。当時はミドルブロッカーで、高校卒業後に入団したトヨタ自動車でアウトサイドヒッターにコンバート。1年目の2014-15シーズンに2部(当時の呼称:チャレンジリーグⅠ)で得点王に輝いた。

 2018-19シーズンに、現在の埼玉上尾メディックスに移籍。攻撃の要として活躍している。今年は28歳にして日本代表に初選出。埼玉上尾ではリベロの山岸あかねと、対角を組んでいる内瀬戸真実(ともに日本代表)にカバーされ、守備範囲を狭くしているサーブレシーブが課題だが、それを克服して"遅咲きのヒロイン"になるか。



photo by Sakamoto Kiyoshi

■白岩蘭奈(しらいわ・らんな)
所属:フォレストリーヴズ熊本 アウトサイドヒッター 169cm
1996年9月21日生まれ 宮城県出身 利府高→新潟医療福祉大→KUROBEアクアフェアリーズ

 2020年に「もっと試合に出場したい」という思いで、それまで所属していたV1のKUROBEから現在のV2・熊本に移籍。169cmと小柄ながらジャンプ力を生かしたスパイクが武器で、今シーズンは得点王に輝いた。

 いわゆる"バレーエリート"ではないが、可憐なルックスも相まってInstagramのフォロワーが2.6万人(4月24日現在)と、SNSなどを中心にV2では異例の注目を集めている。所属チームは2年連続最下位となり、コートで勝てない悔しさを表情に出す姿も見られたが、来シーズンこそはチームを勝たせる原動力となるか。



photo by Sakamoto Kiyoshi

■佐藤あり紗(さとう・ありさ)
所属:リガーレ仙台 リベロ 164cm
1989年7月18日生まれ 宮城県出身 古川学園高→東北福祉大

 2016年のリオ五輪代表リベロ。現在は、今季からV2に参入した仙台で監督兼選手という立場となり、采配を振りつつ自身のプレーにも磨きをかけている。返球率81.7%という数字を残して受賞した今シーズンのサーブレシーブ賞は、その努力の表れであろう。

 チームがある仙台は自身の故郷でもあり、バレーボールを通じて大好きな故郷を盛り上げるために奮闘している。チームは10チーム中6位という成績で、V2初年度としては健闘したが、新型コロナウイルスの影響で未消化となった試合などもあり、佐藤にとっては不完全燃焼のシーズンとなった。来季の采配とリベロとしての活躍ぶりに引き続き注目していきたい。