声優e-Sports部部長の前田佳織里さん(左)と広報の小原莉子さん ゲーム好きな声優は今でこそ珍しくないが、「eスポーツ」の名を掲げて活動している例はまだまだ少ない。そんな希少な存在が「声優e-Sports部」だ。 このプロジェクトは20…



声優e-Sports部部長の前田佳織里さん(左)と広報の小原莉子さん

 ゲーム好きな声優は今でこそ珍しくないが、「eスポーツ」の名を掲げて活動している例はまだまだ少ない。そんな希少な存在が「声優e-Sports部」だ。

 このプロジェクトは2019年11月末に開いたオフラインイベントを契機に本格的に活動をスタート。2022年1月現在、部員数が11名まで増え、公式YouTubeチャンネルでの動画投稿や生配信を精力的に行なっている。栃木県・宇都宮市や静岡県・沼津市などでeスポーツイベントに出演した他、eスポーツチームが開催するオンライン大会に参加したりと、オンラインとオフラインの両軸でeスポーツ業界の盛り上げに寄与している。

 声優e-Sports部で部長を務める前田佳織里さんと広報を担う小原莉子さんは、日々の活動をどのように捉えているのだろうか。発足から3年目を迎えた今、彼女たちがどのような熱意を持って活動しているのかを探る。

前編(前田佳織里と小原莉子がハマるゲームの話)はこちら>>

――声優e-Sports部の活動のどういった部分に魅力を感じていますか。

前田 ファンの方々と部員が近い距離感でゲームできるところです。ゲームはさまざまな垣根を越えて人をつなげる力がありますし、ありがたいことに「声優e-Sports部の活動を見てゲームを始めた」と言ってくれる人も増えました。だからこそ、そういった方々に末永くゲームを楽しんでもらえるよう、イベントなどで一緒に遊んだ際は誠心誠意サポートしてあげたい。と言いつつ、私も協力プレーをする時はファンの方々に助けてもらうことも多いんですけどね(笑)。いずれにしても、部員やファンの方々を含めて楽しむことをモットーに頑張っています。

小原 「声優e-Sports部」という名前のとおり、私たちは声優をメインに活動している役者たちの集まりですが、アニメだけでなくゲーム作品のキャラクターに声を入れる機会も多いんです。同じように声優ファンのみなさんも、アニメに加えてふだんからゲームをプレーされている方も多いみたいです。私たちの本業である役者業と声優e-Sports部での活動がリンクしている部分もありますし、今後も規模感を大きくしつつ、声優としてeスポーツの魅力を伝えていければと思います。

――2年間の活動を通して印象に残っているシーンについて教えてください。

前田 もう2年前の話になりますが、ファンイベント「声優e-Sports部 活動報告 Vol.1」が今でも印象深いです。会場に集まってくれたファンの方に声をかけて、そのまま舞台に上がってもらってPC版「PUBG: BATTLEGROUNDS」(※)を一緒にプレーしました。なかには「このために1ヶ月間練習しました」と意気込みを伝えてくださった方もいました。私たちも緊張しっぱなしで強烈に印象に残っています(笑)。操作や立ち回りを指導してくれる先生に来てもらい、イベント前に時間を取ってガッツリ練習したことも含めて、思い出深いですね。
※通称「PUBG」。最大100人のプレーヤーがバトルフィールドに降り立ち、最後の1人(もしくは1チーム)になるまで戦うバトルロイヤルゲーム

小原 私は最近、「沼津eスポーツフェスティバル(以下、e沼)」に参加したことが印象深いです。かおりん(前田さんの愛称)と同じ理由になりますが、ファンの方々とゲームを通して交流する機会があり、実際に私達の活動を楽しんでいただいている声を間近で聞くこともできました。その日を心待ちにしてくださった方々の声援もありがたく感じたし、ゲームを使った地域活性化の効果や盛り上げ方にもグッとくるものがありました。eスポーツを通して地域のみんなが元気になれるんだという感動をe沼で味わいましたね。

――声優e-Sports部の活動を応援しているファンの方々からの反響はいかかですか。

前田 実は声優e-Sports部のYouTubeチャンネルに投稿した動画がきっかけで、「(アミューズ(※)の狂犬」というあだ名が生まれたんです(笑)。
※前田佳織里さんの所属事務所

小原 もともとそう呼ばれてたんじゃなかったんだ?

前田 うん。声優e-Sports部の企画で「フォートナイト」をプレーした時に、私があまりにもヤンチャに暴れまわったからなのか、ファンの方々からいただいたコメントがきっかけで生まれました。今はこのあだ名が定着して、逆に私が周りの方にあだ名をつける流れも生まれました。こういった新たな一面をファンの方々と一緒に作っていけたのは大変うれしく思います。

小原 反響がイベント開催につながったり、活動を通して地域の団体の方々と関係性を築くことができたのもありがたいですよね。YouTubeチャンネルの生放送で長野県の魅力をプレゼンする企画も楽しかった。残念ながら新型コロナウイルスの影響で長野・善光寺でのイベントが開催できなかったので、いつか現地でみなさんとゲームをプレーしたいです。

――活動3年目に突入した声優e-Sports部でこれからチャレンジしたいこと、目標について教えてください。

小原 声優e-Sports部は基本的に、コントローラーやキーボード&マウスでプレーするゲームが主流だったから、まだVRゲームをメインでプレーしたことがないんです。何人でプレーできるかわかりませんが、VRゴーグルをつけてワイワイ賑やかにVRゲームを遊んでみたい。その活動がきっかけでVRゲームの輪がもっと広がるかもしれないし、声優e-Sports部でもVRゲームをプレーして活動の幅を広げたいと感じました。

前田 VRゲームって臨場感が半端ないよね。私も経験があるけどリアルすぎてびっくりした。

小原 そうそう。VRゴーグルをつけて「バイオハザード7」をプレーしたんだけど、ゾンビの臭いまで伝わってきそうな勢いだった。

前田 それは気のせいでしょ(笑)。でも、そう錯覚するぐらいの臨場感はある。いつか企画でVRゲームやりたいね。

小原 それこそ「バイオハザード」みたいなホラー系も遊びたいし、FPS(一人称のガンシューティングゲーム)もやってみたい。あとはメルヘンな雰囲気が味わえるVRゲームも興味があります。現実では絶対に見ることができない光景がブワーッと目の前に広がっていくみたいな。

前田 私はゲームのキャラクターに自分が声を入れる企画だったり、声を入れたゲームをプレーする動画も出してみたいです。対戦型格闘ゲーム(以下、格ゲー)のキャラクターの声を担当する機会も増えてきたので、格ゲーももうちょっと幅広く手を伸ばしたいと思います。

【Profile】
前田佳織里(まえだ・かおり)
声優e-Sports部部長。4月25日生まれ、福岡県出身。「2016声優アーティスト育成プログラム・セレクション」でグランプリ受賞。「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」 (桜坂しずく役)に出演中。持ち前の明るいキャラクターで声優e-Sports部をけん引する存在。

小原莉子(こはら・りこ)
声優e-Sports部広報。2月3日生まれ、岐阜県出身。アニメ「BanG Dream!」「リクはよわくない」や、ゲーム「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』~おわらない七日間の旅~」アミューズメントゲーム「ポケモンメザスタ」など幅広い分野で声優として活躍。声優e-Sports部では得意のMCで進行する一方で、感情を爆発させるキャラとして人気が高い。