ジャパネット杯「春の高校バレー」第74回全日本バレーボール高等学校選手権は、男女の決勝が無観客で行われ、男子は日本航空(…
ジャパネット杯「春の高校バレー」第74回全日本バレーボール高等学校選手権は、男女の決勝が無観客で行われ、男子は日本航空(山梨)が鎮西(熊本)に3-2で逆転勝ちし、山梨県勢初の優勝を果たした。主将でエースの前嶋悠仁(ゆうと、3年)を中心に、持ち味のコンビバレーで昨夏のインターハイ王者を撃破した。
逆風をはねのけ、初めて立った春高の頂点で見えたのは、涙にぬれた仲間の笑顔だった。激闘を制したメンバーが、コートに崩れ落ちる。ただ一人、冷静だった日本航空の前嶋主将は、驚いた表情で喜びを口にした。
「うれしいですが、全く実感がない。3年間、苦しいことしかなかったが、頑張ってよかった」
全員でつかんだ大逆転での勝利だった。鎮西の2年生エース舛本颯真に翻弄され、第1、2セットを落とした。後がなくなった第3セットの開始直前、月岡裕二監督が、「まだ時間はある。あと3セットやろう」と声をかけ、選手は奮起した。
そこから追い風に変わる。持ち味のコンビバレーが炸裂(さくれつ)。2セットを連取しフルセットに持ち込んだ。最終第5セット、セッターの樋口響(3年)が鎮西のブロックを散らし、小林柊司(3年)が先制点を決めた。利川慈苑(じあん、3年)を中心に舛本を封じ、最後はエース前嶋がスパイクをたたき込んだ。
平日は約5時間の練習のうち、8割を守備に費やす。休日は毎週のように練習試合でボールを追い続けた。昨年6月に山梨県勢初の関東大会優勝。インターハイでの活躍も期待されたが、同校で新型コロナのクラスターが発生し、予選を辞退した。
途方にくれる生徒に月岡監督がかけた言葉は「いつまでも下を向いていても進めない」。それをきっかけに春高に向け、再始動した。昨年8月から2カ月間、例年なら50セットほどの練習試合を、200セットに。前嶋は「体がボロボロだった」と苦笑いした。
ノーシードで挑んだ今大会。準々決勝で前回優勝の東福岡を撃破するなど旋風を巻き起こした。どん底からつかんだ山梨県勢初の優勝。「最後まで成長してくれた」と月岡監督は目を細めた。最優秀選手賞に輝いた前嶋は卒業後、明大に進学予定。「(春高は)一番楽しい場所。大学でも日本一になって、将来はVリーガーになりたい」。春高を制した前嶋が、笑顔で次の空に飛び立つ。(高橋朝香)