ジャパネット杯「春の高校バレー」第74回全日本バレーボール高等学校選手権は、男女の決勝が無観客で行われ、女子は就実(岡山…

ジャパネット杯「春の高校バレー」第74回全日本バレーボール高等学校選手権は、男女の決勝が無観客で行われ、女子は就実(岡山)が古川学園(宮城)を3-1で下し、2大会連続4度目の頂点に立った。双子の深沢めぐみ、つぐみ(ともに3年)の最強ツインズがけん引した。

姉・めぐみの強烈なスパイクが、最強ツインズの〝最終章〟を締めくくった。就実が決勝で古川学園を破り、2年連続の日本一。姉は膝から崩れ落ち、妹のつぐみは両手で顔を覆って立ち尽くした。2人の頰には大粒の涙が流れた。

2年連続で最優秀選手賞に選ばれた主将の姉は「このメンバーで日本一が取れてうれしい」。妹は「やっと夢がかなった。やり切った」と声を弾ませた。

2-1で迎えた第4セットの14-9。今大会最長身195センチのドミニカ共和国からの留学生、タピア・アロンドラ(2年)のブロックに屈することなく、跳び続けた姉がアクシデントに見舞われた。右太ももがつり、一時コートを離れた。大エース不在のピンチに妹のつぐみが声を張り上げる。「(トスを)持ってこい!!」。パワフルなスパイクで攻撃の手を止めなかった。姉が36得点、妹は15得点。合わせて51得点を挙げた。

「この1年は本当に苦しかった」。2人は口をそろえる。チームが同じ方向を向かず、練習でボールがつながらない。悔し涙を流す後輩の姿を見てふがいなさを感じた。主将の姉は妹に聞いた。

めぐみ 「私の何がいけない?」

つぐみ 「まだ優しさが残っている」

心を鬼にして、強く意見をぶつけるきっかけは妹がくれた。

2人がエース。インターハイ前から春高予選前までは、姉に代わり妹が主将を務めた。「自覚を持ってほしい」という西畑美希監督(44)の思いからだった。姉が背負ってきた重圧を知った妹は「もっとしっかりしなきゃ」。率先して声を出すようになり、ともにチームを先導した。

小1でバレーボールを始めて12年。高校最後の大会で2連覇をつかんだ2人は卒業後、別々の道を歩む。姉はVリーグ・久光、妹は東レで腕を磨く。姉は妹に向け「これからも一緒に上を目指そう」。春高の歴史に名を刻んだ〝めぐつぐ〟の挑戦は続く。(武田千怜)