第74回全日本高校バレーボール選手権第1日(5日、東京体育館)ジャパネット杯「春の高校バレー」第74回全日本バレーボール…
第74回全日本高校バレーボール選手権第1日(5日、東京体育館)ジャパネット杯「春の高校バレー」第74回全日本バレーボール高等学校選手権が開幕。無観客で男女の1回戦計40試合を行い、男子ではユース日本代表候補の高橋慶帆(けいはん、3年)を擁する習志野(千葉)が前々回大会優勝の東山(京都)をフルセットで下した。210センチの牧大晃(ひろあき、3年)が引っ張る高松工芸(香川)は大分工に完勝。女子で共栄学園(東京)は主力をけがで欠く中、高知にストレート勝ちした。
さわやかなルックスのアタッカーから放たれたスパイクが、超高校級の力を物語っていた。最高到達点350センチを誇る習志野のエース・高橋が春高の舞台、オレンジコートで躍動。前々回王者の東山を撃破し、屈託のない笑みを浮かべた。
「いつもより心は熱かったけど、頭の中は冷静だった。笑顔でプレーして楽しむことを意識した」
第1セットを奪われたが、第2セットの序盤にスパイク、ブロックと2連続で決め一気に流れを呼び込んだ。バックアタックを何本も決めるなど、随所で強さを見せつけた。鈴木明典監督は「(ジャンプが)今までの練習より数段高い。春高ってすごい」と絶賛した。
イラン出身の父と日本人の母を持つハーフで、優しいまなざしの甘いマスクの持ち主。普段はおとなしい性格だが、コートに立てば、高さを生かした上から打ち込む強烈なスパイクを次々と決める。将来を嘱望される次世代ヒーローが、高校最高峰の舞台で輝いた。
前回大会は優勝した東福岡に2回戦で敗れた。相手のエース柳北悠李(やなきた・ゆうり、現東亜大1年)の、どんなボールでも打ち切り、最後に決める姿を見て、「自分も柳北選手のようになりたい」と誓った。そこから意識が変わり、個別でトレーニングを開始。鈴木監督も「競技者としての意識が普段の生活から変わった」と目を細めた。
「慶帆(けいはん)」の名前の由来はペルシャ語で「世界」。昨年の東京五輪で活躍した高橋藍(らん)=東山高、現日体大2年=らも春高を経験し、世界へ羽ばたいた。慶帆もその名の通り、春高で頂点を取り、世界へ。まずは6日の玉野光南(岡山)との2回戦に臨む。「(目標は)日本一です」。そう言い切ったエースが、今年の春高の主役になる。(高橋朝香)