現地5日に幕を閉じた国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(スペイン・マドリード、オーストリア・…

現地5日に幕を閉じた国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(スペイン・マドリード、オーストリア・インスブルック、イタリア・トリノ/11月25日~12月5日/室内ハードコート)では、ロシアが数々の記録を樹立しながら優勝を飾った。そのロシアの躍進ぶりについて、テニス関連ニュースサイト Tennis Headなど複数のメディアが報じている。【実際の動画】シャンパンかけを楽しむルブレフ【実際の写真】ロシアの過去3度のデビスカップ優勝【実際の写真】ロシアが2021年に達成した記録の数々

2002年と2006年にも優勝しているロシアは、今大会の決勝でクロアチアを下して15年ぶり3度目の優勝を果たした。チームを牽引した世界ランキング2位のダニール・メドベージェフは、グループステージから世界30位のマリン・チリッチと対戦した決勝に至るまでのファイナルズ5試合すべてでストレート勝利。また、世界5位のアンドレイ・ルブレフは「デビスカップ」で予選からシングルスとダブルスで合わせて20勝と、ロシア人男子選手として歴代4位の成績をマークし、シングルスでも12勝で5位に入った。

一方で、優勝後にメドベージェフが「自分のことよりもチームとして優勝できたことが嬉しい」とコメントしたことに表れているように、仲間意識や団結力もロシアの強さの秘訣と言える。メドベージェフとルブレフが活躍したのに対して、チームの残り3人はコートではあまり活躍する機会がなかった。それでも彼ら5人は大会中にトレーニングの合間や試合の直前にも冗談を言い合い、ともに笑い、互いをサポートする姿を見せた。ロシアは大会を通してポジティブな影響をもたらし、「最も感動的なチーム賞」にも輝いている。

優勝セレモニーでは真っ先にビールかけならぬシャンパンかけのため、ボトルを開けて仲間を追い回していたルブレフは、「毎日一緒に食事をしてたくさんの時間をともにできるのは、普段はなかなかできない特別なことだよ。こうした大会はそういう機会を与えてくれる。たくさんの思い出ができて最高だね。それが一番大事だと思っている」と語る。

2021年のロシア勢の勢いは凄まじく、シーズン開幕を飾った1月の「ATPカップ」でメドベージェフとルブレフを筆頭に圧倒的な強さを見せてトロフィーを手にした。さらに、「東京オリンピック」では男子シングルスでカレン・ハチャノフが銀メダルを、混合ダブルスではルブレフ/アナスタシア・パブリウチェンコワ組が金メダル、アスラン・カラツェフ/エレナ・ベスニナ組が銀メダルを獲得と、メダルラッシュに沸いた。そして「全米オープン」ではメドベージェフが世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の年間グランドスラム達成を阻止し、初のグランドスラム優勝を飾っている。

先月行われた女子の国別団体戦「ビリー・ジーン・キング・カップ(旧「フェドカップ」)」でもロシアが優勝しており、男女の国別対抗戦を同じ年に制するという、2012年のチェコ以来となる史上4ヶ国目の偉業を成し遂げた。「フェドカップ」が1963年に始まって以来、男女そろっての国別対抗戦優勝は今回を含めて12回。そのうち最多7回を誇るのはアメリカだが、1990年以降は記録が途絶えている。そして、次いで2位(3回)のオーストラリアが最後にこの偉業を成し遂げたのは1973年まで遡る。

ロシアが「デビスカップ」で前回優勝した2006年、当時9歳のルブレフと10歳のハチャノフは、大先輩のマラト・サフィンやニコライ・ダビデンコを観客席から応援していた。そんな二人は今やロシアを代表する選手となり、メドベージェフも「“デビスカップ”のジュニア大会をともに戦った仲間と一緒にトロフィーを手にできたのは本当に素晴らしいし、僕たちにとってはすごく大事なことだ」と話す。彼らのさらに下の世代も活躍しており、ロシアは「デビスカップ」のジュニア大会も制している。

このままロシアの黄金時代の到来となるか。4週間後に始まる2022年「ATPカップ」をはじめ、来シーズンも彼らの活躍から目が離せない。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」で優勝したロシアチーム

(Photo by Oscar J. Barroso/Europa Press via Getty Images)