インカレ直前特集『強い早稲田』【第５回】神山夢来主将×今井美沙樹×三浦咲樹主務

　ついに最終回となるインカレ直前特集。お話を伺ったのは、Ｇ神山夢来主将（スポ４＝埼玉栄）、Ｆ今井美沙樹（商４＝山梨・富士…

　ついに最終回となるインカレ直前特集。お話を伺ったのは、Ｇ神山夢来主将（スポ４＝埼玉栄）、Ｆ今井美沙樹（商４＝山梨・富士学苑）、三浦咲樹主務（人４＝東京・江戸川）の３人だ。チームを引っ張る立場である彼女たちの、集大成である全日本大学選手権（インカレ）を目前にした心境とは。

※この取材は11月16日に行われたものです。

「今までのキャプテンとは一味違う」（三浦）

三浦

――他己紹介をお願いします

今井　（三浦は）普段は適当な感じで、楽しいことが大好きで、暇なこととかが好きじゃないイメージがずっとあります。ただ自分が困ったときとか悩んだ時にはいつも相談乗ってくれて、言う前にご飯誘ってくれたりして、そういう気遣いもすごいからいっぱい考えてるんだなと思います（笑）。あといつも自分とか栗田有子（スポ４＝東京・明星学園）がいじられてます（笑）。

三浦　（神山を指して）普段はほわほわしてて、「そっち行っちゃうの？！」みたいな変なところもあります。でもバスケコートに入ると、やっぱり真剣にチームと向き合って、自分の伝えたいこともしっかり伝えられるし、本当にキャプテンらしい人だなと思うことが最近多いです。今までのキャプテンとも一味違って、チームに対する思い入れもすごい強いんだろうなということも感じます。

神山　ありがとうございます（笑）。

――今までのキャプテンと一味違うというのはどのようなところが違うのですか。

三浦　うまく人を頼ったりできるのかなと思います。今までのキャプテンは自分はしっかりしてる分、１人でやるみたいな人が多かった印象です。夢来がそれができないとかじゃないよ（笑）。でもうまく同期に頼ったりとか、人と話して解決してることも多いから、そういうキャプテンがいるからチーム一丸となってまとまれるのかなと思います。

神山　レン（今井）は真面目です。それがいい方向に行くこともあるし、考えすぎちゃってどっか行っちゃうこともあります。でも、いま副キャプテンとしてレンと咲織（大原咲織、スポ４＝東京成徳高）がいてくれて、自分とは違うタイプのリーダーシップをとってくれてるので、いいバランス取れてるなと思います。私は精神面で助けてもらってるし、助けてあげてます（笑）。

今井　間違いない。

神山　昔からの知り合いだったんです。

今井　ミニバスの地区が近くて、試合とかも結構やっていました。仲良くなかったですけど。（笑）

「自信を持ってプレーするようになった」（神山）

神山

――今年の関東大学女子リーグ戦（リーグ戦）を振り返ってどうだったかを教えてください

神山　リーグ始まって、初戦の筑波で勝てたことによってチームの雰囲気もすごくよかったし、ここからもっと勢いに乗ろうという感じになれたと思います。でも次の拓大戦で自分たちのバスケができなかったていうのがあって、怒られたし、課題も見つかりました。そのあと上位のチームとやることが多くて、チャレンジャー精神という気持ちで最初のほうやってたんですけど、後半の試合になって、４年生の栗田が「チャレンジャーの気持ちも大事だけど、自分たちがどうしても相手よりも下になっちゃう。だけどもっと自分たちに自信持っていいんじゃないか」みたいに言ってくれました。それからは相手も上位ではなくなってきたというのもあるんですけど、コートに入ったら、自分たちは相手よりも強いと思えるようになったから、後半に行くにつれて、堂々と自信をもって全員がプレーするようになったと思います。負けたり、勝ったりとかあったけど、負けたからといって、誰かのせいにするとかではなく、ちゃんと１つの課題について全員が考えたし、それを直すために自分が何をするべきなのかを考えられていました。だから、最後の方の試合はしっかりいい風に終われたんじゃないかなと思います。チームとしてもだし、考え方とかは一人一人が成長できたんじゃないのかなと思いました。

今井　（神山）夢来も言ってくれたんですけど、勝てない期間が続いてたんですけど、その中でもチームが暗くなったりとかもせずに、ずっとモチベーション高くやっていけました。今思い返せば、負けてる試合でも勝ってる試合でもずっとベンチが盛り上げてくれたり、コートの中も沈むことがあんまりなかったので、やっぱりいいチームだなって改めて思うことができたリーグ戦でした。だからインカレでもこのチーム勝ちに行きたいなと改めて思いました。

三浦　スタッフとしては、私個人としてはまだまだ足りないことが多いリーグでした。もっとこれやっとけばよかったなと思うことがすごく多かったので、その分インカレでは本当に悔いなく終えられることを楽しみにします。リーグ戦自体はチーム一丸となって戦い抜いたリーグ戦になったと思うので、本当にいい試合だったと思ってます。

――ベンチの盛り上がりはプレーにどんな影響を与えましたか

今井　ハーフタイムの時間も全員集めて「もっかいここ一本頑張ろう」とかコートの中でもみんなで集まってしゃべったりとか、ベンチでもずっと声出したりしてくれたりとか、そういうコミュニケーションが今年はより多いかなと思います。それでまた自分たちも頑張れるし、チームの雰囲気が明るくなるのかなと思います。

神山　コーチ陣が怒ってる時でもそういう声をかき消してくれるし、いいよいいよって言ってくれることが多いから、気持ちがすごく楽になります。

――リーグ戦で一番印象に残った試合はありましたか

神山　山梨学院大戦ですかね。全員出れたし、スタートとかじゃない、後から出るメンバーの人たちがすごい頑張ってくれたし、普段出られない人たちが自分の色が出るプレーをやってたからすごいなって思いました。短いプレータイムの中でも美潮（境美潮、スポ３＝神奈川・座間）とか有子（栗田）とかルイ（河村くるみ、教４＝神奈川・座間）もそうだけど、点取ってちゃんと形残していてすごいなと思いました。あんまりベンチにいてみることがないからこそ、みんなのいいところが見れてよかったなと思います。

三浦　筑波大戦です。１年生ではインカレで勝てると思ってたけど負けて終わってしまった、とか２年３年と続くなかでも筑波にはどうしても勝ちきれないことも多かったです。その筑波大に初戦で当たって、どうなるんだろうなーって思ってたんですけど、しっかり勝ててうれしかったなっていうのがあります。

今井　最後の専修大戦で点が取れない時間が続いてしまったのでずっと追いかける側でした。それでも誰も負けると思ってなかったていうかみんな余裕ぶっこいていて。ぶっこいてないんですけど（笑）。余裕ないんですけど、それでも行けるっていう気持ちがあって、ちゃんと勝ちきれたっていうのと、最後８点差もつけたのに気づいたら３点差まで追い上げられていたのがスリル満点でした。

――例年と比べてチームの雰囲気はいかがですか

神山　ベンチは毎年暗くないというか早稲田は盛り上がってるかなって思ってたんですけど、今年は異様に目立つよね。

三浦　本当はあんまり声は出しちゃいけないって言われてるんですけど、出しちゃうんですよ、早稲田は（笑）。結構注意もされてるんですけど、まあ楽しくやってます（笑）。

今井　試合の時って本当に練習でやったことを発表するしかなくて、失敗しても切り替えていくしかないからこそ、さっき言ってくれたみたいに、怒られてる声もかき消すくらいみんなで出そうってなってるので、そこは決まりじゃないけどそういう雰囲気ができてるのかなって思います。試合の時こそ明るくみたいな。

――チームをまとめる立場になって成長したなと感じる部分はありますか

神山　練習中とか自分たちの姿ってすごい後輩たちが見ていると思うから、試合の時とかもそうだけど自分とレンは点に絡まないところでしっかり体張ろうとか、そういうところを意識しています。自分でもそういう先輩を見てきたからこそ、そういう部分も大事だなって思って表現しています。今の３年生とかにも、点取ることが全てじゃないよっていうのは見て学んでもらうし、たまに言葉で言うようにしています。

今井　４年生だからこそ一番声を出すみたいなところは結構全員意識しているかなと思います。指摘の声もそうだけど、数える声だったりとか誰でもできるような声は４年生だからって出さないとかじゃなくて、四年生が一番出すから後輩もついてくるみたいな感じでやるようにしてます。

――このチームを引っ張る上で、やりやすい点はどこですか

三浦　スタッフの話になっちゃうんですけど、後輩がめちゃめちゃ優秀なので、１年生のマネージャーが２人いるんですけど、どっちも責任感持ってやってくれますし、１年生なのにこんなにできるんだってこの１年間で思うくらいやってくれるのですごくやりやすいです。

今井　１年生が学年関係なく発言してくれるのがすごいなと思います。全員が発言して、わからないところとかも自分が聞けば教えてくれたりとか、こうした方がいいっていうのをコミュニケーションとってくれるので、やりやすいです。

――マネージャーの仕事の内容や魅力は何ですか

三浦　私たちがやる仕事っていうのは選手たちがプレーをしたりバスケットをする上での土台作りだと思います。選手たちがプレーをするのが私たちの仕事の成功で、しっかりやってる証拠になるので、みんなが試合に出てバスケットを楽しんでくれたらうれしいです。もちろん勝ったらこれまでの大変だったことを忘れるくらい、うれしい気持ちになりますね。

――去年はコロナの影響で大会がなくなることがありましたが今年は練習等でコロナの影響を感じることはありましたか

三浦　書類出したりとかはあって負荷がかかったりしたんですけど特にはないです。

――リーグ戦の試合数が半分になりましたが、どう感じましたか

神山　１戦ずつ（本来はそれぞれの大学と２戦ずつ戦う）でも正直めっちゃきつくて、心も体も。なので、今思えばよかったです。

――おととしまではだいぶ無理していたってことですよね？

神山　めっちゃ出ていた先輩は本当にきつかったと思います。

今井　来年からは後輩たち頑張れって感じです（笑）。

「（目標は）日本一です！」

今井

――インカレの目標を教えてください

全員　日本一です！

――これができたらインカレ勝てるという、チームとして大事にしていることはありますか

神山　ゲームの入りじゃない？

今井　ゲームの入りと、あとはよく言われているディフェンスとかリバウンドとか自分たちで徹底しようと決めているルールを表現できたら勝ちきれるかなと思います。

三浦　戦術のことはあんまりわからないけど、やっぱり今まで練習してきたことをしっかり表現できたらどこまででも上に上がれるのかなと思うので、一つ一つのプレーを積み上げていってほしいなと思います。

神山　連戦になると思うので初戦を気持ちよく勝ちきってそのまま勢いに乗ることが早稲田の一番いいときだと思うので、初戦を大事にします。

――それぞれご自身のインカレでの注目ポイントを教えてください

三浦　落ち着いていたらスコアミスしないと思うので落ち着いている姿を見届けてください（笑）。

神山　私はディフェンスですかね。リーグ中も相手の得点源の選手をつくことが多くて、リーグ戦は結構ファールしてて、ファール王にもなったんですけど（笑）。その中でも自分の中で止められたっていう自信もついたので、インカレはファールを少なくして、相手の得点源をしっかり押さえてディフェンスでみんなを鼓舞できればいいかなと思います。

今井　どんなときでも逃げないでシュートを打つ場面で打ち続けたいなというところとリバウンドです。ずっとリバウンドに絡む選手でありたいなと思うので、うちの大原が一番リバウンドとると思うんですけどそれに負けないくらい頑張るので見てください。

――４年間を振り返っていかがでしたか

三浦　マネージャーって人を支える人だと思っていたんですけど、私は支えたというよりも支えてもらったと思うことが多い４年間だったと思っています。特にマネージャーとしての後輩、今学連やってくれてる小島（小島由莉、人３＝東京・共立女子）だったり、１年生のチナ（安父空、人１＝東京・日大二）とアサ（木村優希、創造理工１＝神奈川・希望ヶ丘）にも何度も助けてもらったし、プレーヤーの人たちにはプレーで見せてくれたものがあって、すごく救われたというか何よりも心の支えになっていたなと思います。

今井　入ったばかりの頃はけがも多くて、コートにいないことも多かったんですけど、その中でも４年間選手として続けてこれてよかったなと思います。あと、毎年新しい１年生とか先輩とかから刺激をもらって人間としても選手としても学ぶことが多かった４年間だったなとすごく思うし、早稲田いろんな人がいて楽しいなっていうのは改めて思います。

神山　支えてもらったというところで同期の存在が大きかったかなと思います。しかもやばいくらい仲が良くて帰りとかも絶対一緒に帰ったり、何も言わなくても自然と集まったりとかそういう面では支えてもらいました。あとはいろんな人、地方から来た人とか代表経験してる人とかあとはめっちゃ勉強できる人とか、そういう人と毎日過ごしてこんな生き方もあるんだなとかみんな面白いなと思いました。そういう人がいる中でやっていくことによって、自分もこの先どこに行っても通用しそうだなと思うことができて楽しかったです。

――ありがとうございました！

（取材・編集　永田悠人、落合俊、冷水睦実）

左から「表現」（今井）、「日本一楽しむ」（神山）、「１つのことに対する10の準備」（三浦）。