Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由川崎フロンターレ レアンドロ・ダミアン インタビュー 前編Jリーグは現在、…
Why JAPAN? 私が日本でプレーする理由
川崎フロンターレ レアンドロ・ダミアン インタビュー 前編
Jリーグは現在、じつに多くの国から、さまざまな外国籍選手がやってきてプレーするようになった。彼らはなぜ日本でのプレーを選んだのか。日本でのサッカーや、生活をどう感じているのか? 今回は、今季川崎フロンターレの優勝に大貢献。来季の契約も更新したFWレアンドロ・ダミアンに話を聞いた。
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今季大活躍のレアンドロ・ダミアンをインタビュー
今季のJリーグMVP候補の筆頭は、謙虚なブラジレイロだ。
川崎フロンターレのレアンドロ・ダミアンは、現在22ゴールと横浜F・マリノスの前田大然と並んで得点ランキングで首位に立ち、アシストランキングでも8アシストで3位。加えて、月間MVPに1度(4月)、月間ベストゴールを2度(2、3月と5月)受賞している。その存在感は圧倒的だ。
ただ本人はそうした個人賞よりも、「チームが優勝することを最大の目標にしてきた」と言う。すでにそれを達成した今、3年目のJリーグで初のトップスコアラーも視野に入っているはずだ。
「チャンスを逃さずにゴールを重ねられれば、それも可能かもしれませんね」と32歳のストライカーは言う。
「相手をしっかり分析して、常に集中力を研ぎ澄ませ、試合の流れを数手先まで読みながらプレーすることが大事です。いつ、どのような形でボールが来るかわからないので、完全に準備しておかなければいけません。そしてうまくトラップしたり、瞬間的にマークを外したり、鋭いボールに反応したりできれば、さまざまな形でシュートが打てるんです」
彼が今季のJリーグで決めてきた多彩なゴールパターンを見れば、実に納得できる言葉だ。3月の第5節ヴィッセル神戸戦では、センターサークル付近で味方の強いパスを浮かせ、振り向きざまのボレーで遠い無人のゴールを陥れた。
翌第6節浦和レッズ戦では、浮き球のクロスを胸でトラップし、そのまま体を倒して見事なボレーを決めている。そして5月の第16節湘南ベルマーレ戦では、ゴールと相手を背にした状態でグラウンダーのパスを大きくホップさせ、すさまじいオーバーヘッドキックでネットを揺らした。どれもなかなかお目にかかれないスーパーゴールだ。
「(今季のゴールのなかで)この三つは、特に気に入っています。一番を強いて挙げるなら、神戸戦の得点ですね」
これは2、3月の月間ベストゴールに選出されたもので、その時も「ゴールを決めさせてくれたチームメイトに感謝しています」とコメント。身長188cmの大型ストライカーだが、彼の頭(こうべ)は常に垂れている。
その驕(おご)らない姿勢はきっと、彼の出自に見出せるだろう。レアンドロの輝かしいキャリアには、南米クラブ王者、ブラジル州選手権優勝(4度)、ロンドン五輪準優勝などのチームタイトルに加え、ロンドン五輪得点王、州選手権得点王(3度)の個人賞と数多い。しかし彼は、若かりし頃に多くの挫折を味わい、プロクラブのアカデミーに属したことはなかった。
「トライアウトはたくさん受けましたが、ほとんど断られました。プロになるまでにユースを経ていないのは、ブラジルでも少ないパターンですね。それでもいつもお父さんが応援してくれていましたし、諦めずに自分を信じて挑戦し続けました」
10代の頃はアマチュアの試合に出て、時には「1日に3試合をこなすこともあった」という。そして下部リーグでプレーしていた頃、ブラジル南部の強豪インテルナシオナルから引き抜かれ、20歳でファーストチームに。そこで衝撃的なデビューを遂げた。
2010年シーズン、インテルナシオナルはコパ・リベルタドーレスで決勝に勝ち上がっていた。まだリーグ戦でも得点していなかったレアンドロ・ダミアンは、決勝の第2戦で1-1の後半途中に投入されると、その4分後にゴールを決め、クラブ史上2度目の南米制覇に貢献。まさに彗星の如く、第一線に出現したのだった。
「自分でも本当に驚きました。信じられない出来事ですよね。南米のストライカーなら、誰もがコパ・リベルタドーレスの決勝でゴールを決めたいと思っているはずです。それが叶ったわけですから。しかも途中出場のデビュー戦で。ものすごく感動しました」
インテルナシオナルはレアンドロ・ダミアンのほかに、元日本代表監督のファルカンや、ブラジル代表の主将としてアメリカW杯を制したのちにジュビロ磐田でもプレーしたドゥンガらを輩出している。彼らは日本との縁もある偉大な勝者たちだ。
「ファルカンさんもドゥンガさんも、もちろんよく知っています。またインテルナシオナルが本拠を置くポルトアレグレには、グレミオという名門クラブもあります。そしてどちらのクラブからも、技術に優れた選手がたくさん出てきている。ブラジル南部の選手たちが日本と縁があるのは、おそらくどちらも技術を重んじるからではないでしょうか」
またエリートではなく、苦労を重ねて這い上がってきたという点では、フロンターレを代表するレジェンド、中村憲剛とも通じる。常に周囲への感謝を忘れないところも、ふたりに共通するものだ。
「いやいや、私は憲剛さんとは比較にならないくらい、小さな存在です。彼は本当に偉大な存在ですから」
そう話すレアンドロ・ダミアンの来し方は、今はまだ陽の目を見ていない選手や、夢を追い続ける子どもたちを勇気づけているはずだ。そんな人々には、次のようなメッセージを送る。
「とにかく、夢と自分を信じること。それが大前提です。その夢に向かって走り続け、努力を続ける。チャンスは、いつどこでやってくるか、わからないですから。そして、その機会が訪れた時に、しっかりと掴む。そのためには、準備を怠らないことですね」
(後編につづく)
レアンドロ・ダミアン
Leandro Damião/1989年7月22日生まれ。ブラジル・パラナ州ジャルジン・アレグレ出身。川崎フロンターレ所属のFW。2007年からアトレチコ・イビラマでプレーし、2009年にインテルナシオナルに引き抜かれ、2010年にトップチームへ昇格し活躍。2012年にはロンドン五輪のブラジル代表でプレーし、大会得点王を獲得した。2014年はサントスに移籍し、その後クルゼイロ、ベティス(スペイン)、フラメンゴ、インテルナシオナルに戻ってプレー。2019年に来日。川崎フロンターレで3シーズン目となる今季はゴールを量産し、チームの2年連続4回目の優勝の大きな原動力となった。