国内ツアーを戦う渋野日向子は、しばらく見られないかもしれない――。 米ツアーの予選会に挑む渋野にとって、11月21日に最終日を迎えた大王製紙エリエールレディスは"国内最終戦"だった。最終日を3アンダーで回って、通算9ア…

 国内ツアーを戦う渋野日向子は、しばらく見られないかもしれない――。

 米ツアーの予選会に挑む渋野にとって、11月21日に最終日を迎えた大王製紙エリエールレディスは"国内最終戦"だった。最終日を3アンダーで回って、通算9アンダーの12位タイで、コロナ禍の影響で1年半という長丁場となったシーズンを締めくくった。

「大会を通じてパッティングがものすごくもったいなかった。3パットも4、5回やっているので。ラフからのショットはぜんぜん芯に当たっていなかったですし、自分の打ちたい距離が日に日に打てなくなっていた。

 最終日もショットが右に行く場面があって、そういうところも修正したいですし、もう少し(スコアに直結する)タテの距離を把握しなければいけないと思っています」

 米ツアーの予選会を見据え、緻密なプレーを心がけてきたことがうかがえる。

「最近は自分の落としたいところとランを計算しながら、(トータルで)何ヤードのショットを打つのか(予め)宣言してから打っていて、毎ショット、答え合わせをしながら回っている感じです」



米ツアー参戦へ向けて、12月2日から行なわれる最終予選会に挑む渋野日向子

 そんななか、最終日にはジュニア時代に通っていたゴルフスクールの現役生徒たちが愛媛まで応援にやってきていた。

「みんな、早起きをしてくれたので『いいところを見せたいな』という欲があったんですけど、1番から(ボギーを叩いて)カッコ悪いところを見せてしまって、すごく恥ずかしかった。(生徒たちが)ちょこちょこ可愛く走り回っていて、それが気が気じゃなく、保育園とか幼稚園の先生の気分でした(笑)。

 それでも、最後までずっとついてきてくれて、ボギーを打っても『がんばれー!』って励ましてくれた。走り回っても疲れ知らずのみんなですが、誰よりも声を出して応援してくれた。めちゃくちゃありがたかったですし、うれしかった」

 賞金女王を争った2019年シーズンのあと、予選落ちに始まって苦境が続いた2020年、そして2勝を挙げた2021年を、こう総括した。

「この1年半、ゴルフの内容がガラッと変わったと思いますし、気持ちの持ちようも変わった。2、3カ月におよぶ海外遠征を2回もさせていただいて、自分に足りないものを見つけて、『もっと自分を変えたい』と思ってスイング改造にも挑みました。

(今年に入ってからは)2勝できて、ちょっとずつ大人のゴルフができるようになったと感じています。でも、要所、要所で悔いの残る1年半だったし、伸びしろがたくさんあるなと思えるシーズンでした」

 シーズン終盤に入って2勝を挙げ、継続して取り組んできたスイング改造における手応えもある。

「日に日にスイングは変化するし、毎ショット、毎ショット、いいスイングができたかと思えば、できないことも......。できたことのほうが今は少なく、完成度、再現性はまだまだです」

 すぐに渡米し、2週間後には米ツアーへの挑戦権を得る戦いが始まる。

「緊張感が増してきていますが、あと2週間あるので、そんなに実感はない。コースの下調べも全然していなくて、(すべては)アメリカに行ってからだと思います。なんとか予選会を通過して、来年はアメリカで戦えるようにがんばりたい」

 万が一、予選会を突破できなくても、下部ツアーで戦うという覚悟を以前は明かしていた。

「結果次第で、マネジャーさんや家族と話し合って決めていければいいなと思っています」

 23歳となった渋野が挑む新たなチャレンジは、通過点でも集大成でもない。

「スタート地点だと思っている」

 プロゴルファーとなった2018年以来、大きな転機を迎えた渋野は「海外メジャー全制覇」という目標に向かって、大きなステップを踏み出すことができるだろうか。