早稲田大学卓球部女子を支えるのは、4年生エースの笹尾明日香だ。インカレでは岩越帆香と組んだダブルスで全勝し、決勝では1番シングルスで勝利を収め、チームの優勝に大きく貢献した。横浜隼人高校時代には、全日本選手権ジュニアの部で優勝を飾り、鳴り物…

早稲田大学卓球部女子を支えるのは、4年生エースの笹尾明日香だ。インカレでは岩越帆香と組んだダブルスで全勝し、決勝では1番シングルスで勝利を収め、チームの優勝に大きく貢献した。

横浜隼人高校時代には、全日本選手権ジュニアの部で優勝を飾り、鳴り物入りで進学した笹尾もついに4年生になった。これまでの早稲田での生活や、今後の進路について詳しく聞いた。




【笹尾明日香(ささおあすか)】神奈川出身。1999年12月15日生まれの21歳。右シェーク裏表速攻型。横浜隼人高校時代に2017年全日本選手権ジュニアの部優勝、早稲田大学進学後も全日本学生選抜卓球選手権大会シングルスの部で優勝など数々の実績を誇る。

岩越帆香は「最高のパートナー」

――インカレ優勝おめでとうございます。どうでしたか?笹尾明日香:チームメイトにほんとに助けていただいて、感謝の気持ちという感じです。




写真:インカレでの笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:ラリーズ編集部

――ダブルス全勝など、自身のプレーについてはどうでしたか?笹尾明日香:全体を通して緊張もあり、あまり状態がよくなかったのが正直なところですね。

ダブルスを負けたらチームが勝てないと思ってたので、ダブルスの練習はたくさんしてました。パートナーの岩越選手がすごく上手ですし安定感もあるので、信頼して戦えました。




写真:インカレでの笹尾明日香(早稲田大学)・岩越帆香ダブルス/撮影:ラリーズ編集部

――チームで4年生は笹尾選手と岩越選手の2人だけ。岩越選手の存在は大きいですか?笹尾明日香:自分の大学生活になくてはならない存在だなと思います。卓球面でもその他の面でも共に支え合って、一緒に乗り越えてきました。

岩越選手じゃなかったら頑張れてなかった部分もあったと思うので、最高のパートナーだと思います。




写真:練習場での笹尾明日香・岩越帆香の4年生コンビ/撮影:槌谷昭人

スポーツ推薦ではなく自己推薦で早稲田に進学

――笹尾選手は早稲田大学に入って4年目ですが、早稲田の良いと感じるところはどこですか?笹尾明日香:卓球部の雰囲気です。先輩方がすごく暖かく迎え入れてくださって、その中でのびのびプレーさせていただきました。

1年目は団体戦3冠で、個人戦でも全日学選抜で優勝できたので、すごく最高な1年でした。あとは阿部愛莉さん(現・デンソー)や徳永美子さん(現・十六銀行)という雲の上の憧れの先輩方と一緒に1年間プレーさせていただいたのは良い思い出です。

ただ、2年生以降は結果が出るとき出ないときの幅が大きくなってしまったように思います。




写真:笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――2年生以降は何が変わったんでしょうか?笹尾明日香:自分がしっかり1点を取らないと勝てないという気持ちになったり、向かってこられる場面も増えたりしました。自信をなくしたりケガがあったりという時期もありました。

今は少しずつ焦らずに人と比べすぎずに自分の中で頑張っていきたいと思っています。

そういう面も含めて色々学ぶことができたので、早稲田に入れて良かったです。




写真:笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――学ぶ、とは具体的にどのようなことですか?笹尾明日香:卓球はもちろんですが、授業での勉強や部内での仕事の役割を担う中で学ぶことがありました。

私はスポーツ推薦ではなくて自己推薦で入学したので、入試担当という係でした。後輩たちが自己推薦で早稲田に合格できるようにサポートや指導する役割を任せていただきました。

――自己推薦での進学だったんですね。

全日本ジュニア優勝の実績を持っているので、てっきりスポーツ推薦かと思ってました。

笹尾明日香:自分が勉強したい内容が早稲田の社会科学部にあったので、そこに入りたくて自己推薦で受けたんです。




写真:笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――社会科学部で学びたかったこととは?笹尾明日香:社会科学部自体が、専門的にというよりは幅広く学んで多角的な視点から物事を捉えようという方針を持っています。政治、経済、法学、商学、人文科学など学際的に学ぶことができました。

自分の世界を広げたり知識を広げたりして、卓球にも活かせたらと思いましたし、卓球を辞めた後も良い人生が築けるように色々なことを学びたいと思っていました。

勉強もしながら全日本ジュニアで優勝した高校時代




写真:笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――大学進学以前から卓球だけでなくて、もう少し広い視野で将来を見ていたんですね。

横浜隼人高校での生活はどんな感じでしたか?

笹尾明日香:中高6年間いたんですけど、国公立を目指す特別選抜コースに3年間所属させてもらいました。

基本卓球部は全員スポーツクラスなんですけど、私は国公立を目指す仲間たちとクラスでは過ごしてました。その中で大学受験のために5教科7科目やる子たちの中で一緒に勉強させてもらってたのが、逆に卓球に活きてたかなと思います。




写真:笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――卓球にどう活きたんですか?笹尾明日香:クラスメイトや先生方の意識・モチベーションが高く、いつも刺激を受けていました。

先生方は時には厳しくも愛のある指導で𠮟咤激励してくださいました。同級生は勉強で高いレベルを目指している人、また部活動と両立している人もいて、励まし合ったり相談し合ったりして、私も卓球をさらに頑張ることができました。

卓球だけでなく勉学や他のスポーツ・音楽など違う分野でも頑張っている人と関わることができ、私にとって良い経験となりました。

卓球に懸ける決意




写真:笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――高校時代はハイレベルな勉学をこなしつつそれを卓球に活かして、全日本ジュニア優勝まで上り詰めたんですね。

逆にそれだけ勉学も卓球も両方頑張っていたら、卓球じゃない生き方も考えることはないですか?

笹尾明日香:今はそんなに勉強の方に自信はないんですけど(笑)。

大学入学のときは今後どっちの進路に行くかまだわからない状態でした。勉強の方もしっかり頑張らないとと思って、どんな道があるのかは結構考えたり調べたりとかしていました。でも、卓球を専念できる環境を選んだので、今度はそこで頑張らないといけないと思っています。

これからは卓球の結果が主な評価になります。卓球選手として勝てるか勝てないかで見られるので。




写真:笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――学生だとハイレベルな文武両道は評価されますが、卓球選手となるとまた別の評価軸ですもんね。そこについてはご自身でどう思われますか?笹尾明日香:苦しい部分は大きいんですけど、期待していただいてる分、やりがいだと思ってそれに応えられるように、しっかり毎日頑張らないといけないなと思ってます。

また、勉強することは好きなので社会人になっても自己啓発に取り組みスキルアップしたいと思っています。




写真:笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

――今後の目標は何でしょうか?笹尾明日香:今後は卓球選手として、早稲田大学や次の進路でチームに貢献することと、あとは個人戦でももっと活躍できるように頑張りたいと思います。




写真:笹尾明日香(早稲田大学)/撮影:槌谷昭人

インタビュー前には「Rallysさん4周年おめでとうございます」と声をかけてくれるなど、人当たりの良い性格の笹尾。勉学も卓球も両立しながら、卓球選手として生きていくことを決めた笹尾のこれからに注目していきたい。

取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)