テニスの元世界王者フアン カルロス・フェレロ(スペイン)は3年前、15歳のカルロス・アルカラス(スペイン)を指導すること…

テニスの元世界王者フアン カルロス・フェレロ(スペイン)は3年前、15歳のカルロス・アルカラス(スペイン)を指導することを決意した。現在18歳になったアルカラスは世界ランキングトップ100入りを果たし、自身最高の54位まで順位を上げている。初のマスターズ大会出場となった「ATP1000 シンシナティ」でフェレロがインタビューに答え、愛弟子の成長や性格、若手同士のライバル関係などについて語った。ATP(男子プロテニス協会)の公式ウェブサイトが伝えている。【マッチハイライト動画】錦織以来の最年少!18歳アルカラスが初優勝・アルカラスvsガスケ/ATP250 ウマグ決勝

Q. カルロス・アルカラスとの師弟関係は楽しめていますか?

勿論、カルロスのために色々とやっているけれど全てが楽しいよ。僕が若い頃通った道に良く似ている。僕も若い頃にランキングをあっという間に上げて大きな大会でプレーした。正にカルロスが今やっていることと同じさ。彼がプレーしているのを見るのはとても楽しい。残りの責任とか、多くの人にカルロスの未来についてプレッシャーをかけられること、その辺は楽しくないけどね。

Q. カルロスはそれもうまく対処しているように見えますね。指導を始めてから彼はどのくらい成長しましたか?

普通の18歳よりずっと大人だよ。でも彼はまだ若い。まだまだ向上できる部分がたくさんある。もっと大人になればコートでの経験を多く積めるし、様々な状況に対応できるようになるだろうね。

現在彼に必要なのは多くの選手とプレーする経験を得ること、「全米オープン」、「ATP1000 シンシナティ」、「ATP250 ウィンストンセーラム」のような今までプレーしたことのない大会を経験することだ。彼はすごく速く成長しているし、時には何もかも速すぎる時もあるけれど、とてもうまく対応している。

Q. これまでの試合で特に印象に残っているものはありますか?

特にないね。彼をコーチし始めた瞬間から、才能があることを感じた。選手やコーチとしての経験から、選手がどれほど速く成長できるかはわかるものなんだ。

カルロスの場合は、始めの頃からすごく速く成長することが見て取れた。僕は正しかったよ。今の好調ぶりにそこまで驚いていないのもそのせいかな。毎週、何か重要なことが起きるだろうと思っている。才能があるのはわかっているからね。

Q. 昨年「ATP500 リオデジャネイロ」でツアーにデビューしてから、彼のプレーはどのように変化しましたか?

身体的にすごく変化したよ。それは向上するためにはとても重要だ。リオの頃と比べて、試合中ずっと疲れずに力強くプレーできている。アルベルト・ラモス ビノラス(スペイン)との試合の第3セットで彼は痙攣してしまって、もうエネルギーが残ってないって僕に言ったのを覚えているよ。

それから筋肉を2〜3キロ増やして体も大きくなり、相手が誰であっても力強く試合をこなせる自信がついた。

Q. それは、どのくらいが努力の結果で、どのくらいが年齢を重ねた自然な成長ですか?

努力の成果だよ。より強くなるための道筋の一部として、向上すべき箇所だと計画に組み込んだものだ。こういう大会で目標を持ってプレーすることで、「ATP250 ウマグ」で優勝したように大会で勝つチャンスも出てくる。あそこでは湿度が高く全ての試合が厳しいものだったから、フィジカル面の強さが必要だった。しっかり準備を行い強化しておかなければほぼ無理なのさ。

Q. あなたが選手だった時代から、フィジカルの強化はどのように変わりましたか?

怪我の防止という意味ではすごく変化したね。今の選手は、試合のない日もみんなジムで怪我防止のトレーニングをする。オフの日があるほど、フィジカル面の調整をしている。すごく変わったと思うよ。

僕がプレーしていた頃は、試合をして、オフの日は完全に休養にあてていた。マッサージくらいはしたかな。それに僕たちは理学療法士と一緒に大会へ行くことはなかったし、年中体を鍛えることもなかったけれど、それはとても重要なことなんだ。ケアをする人が年中いてくれれば、体のメンテナンスをするのが楽になるよね。

Q. カルロスとは長時間行動を共にしていますね。テニス以外で彼の好きなところはどこですか?

彼はすごく謙虚で親しみやすい性格なんだ。何でも受け入れてくれる。一つのことに集中し過ぎて他のことをやりたがらないなんてことはない。迷信も信じていないしね。だから彼と一緒に行動するのは全く苦ではない。もちろん、コートでうまくいかず、やりたいことができなくて、すごく苛立つような時もある。でも普段は、とても謙虚で自然体なんだ。

Q. ラファエル・ナダル(スペイン)はチームのみんなとボードゲームで遊んだりしているそうですが、あなたたちはコート外で一緒に遊ぶことはありますか?

僕たちもパチーシやスヌーカーで遊んだりするよ。プレーヤーラウンジに置いてあるゲームで遊ぶこともある。

Q. 年若い選手を発掘して、ほぼトップ50まで育てました。これまでの道のりはいかがでしたか?

彼はそんなに変わってはいないよ。出会った15歳の頃と同じさ。優勝した時みたいに驚かされることもあるけどね。優勝してコートから帰ってきた時、彼はすごく嬉しそうだったんだけど、その3〜4時間後には普段どおりでまたトレーニングに戻っていたよ。すごく自然だった。彼にとっては、色々成し遂げていることは驚きでも何でもないのさ。コートで自分に何ができるか、彼は完全に理解している。これまで自分に起こったことをごく自然に受け入れているよ。

Q. 今年の目標はありますか?

こういうことを話すのは危険なこともあるんだ。これまでの成果を考えると、僕たちは冷静でいる必要がある。今年始めの目標はトップ100に到達することだった。でもそこまであっという間にたどり着いてしまったから、次はトップ65としたんだ。今は、数字は言えないけれど、65よりはいい数字を目標にしているよ。

もちろん僕たちに目標はある。だけど冷静に、普段どおりを心がけて日々過ごすようにしている。もし目標に届けばそれは嬉しい。でも届かなくても、練習を続けるだけさ。彼はいい方向に進んでいると思うよ。

Q. もし今年ミラノで行われる「Next Gen ATPファイナルズ」に出場できるとなった場合、あの大会では試合中にヘッドセットで彼と話すことができます。これについてどう考えますか?

あの大会は2年前に見たよ。彼にとっても僕にとっても新しいことになる。きっと楽しいだろうね。人々にとってコミュニケーションはとても大事だと思う。見るのも面白いよね。

テレビでバスケットボールの試合を見ると、コーチが選手に声をかけているのが聞こえることがある。とても面白いよね。観客にとっても、コミュニケーションの内容が聞こえて、プレーの様子や変化を見られるのは嬉しいと思う。いいことだよね。

Q. ロレンツォ・ムゼッティ (イタリア)やセバスチャン・コルダ(アメリカ)などのように若手の選手が多く台頭してきています。あなたが若かった頃もそうでしたね。お互い刺激し合える選手がいることはどう考えていますか?

若くて高いレベルの選手がたくさんいるのはテニスにとって良いことだと思う。他の選手より強くなろうとすることは良いことだ。僕が現役の頃はレイトン・ヒューイット(オーストラリア)、マラト・サフィン(ロシア)、アンディ・ロディック(アメリカ)、ロジャー・フェデラー(スイス)らがいた。みんなで世界一やトップ10を目指して争っていた。ビッグ3の後は多くの選手がトップの座を争うことになるだろう。素晴らしいことだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2017年「ATPファイナルズ」でのフェレロ

(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)