東京五輪は終了した。だが、すでに新たなスタートは切られている。通常より1年短い3年というスパンで次の大会、パリ五輪がや…
メダル獲得はならなかったが、チャンスはまたやって来る。日本代表としては60年ぶりとなるメダルを狙うわけだが、選手たちにとっては獲得すれば自身初のメダルだ。最後のチャンスになるかもしれない選手もおり、地元五輪での「仇」を取るべく、腕を撫していることだろう。
3年は、長いようで短い。果たしてどんな選手がパリで戦うのか、現状から分析してみた。
■東京五輪が誘発した次世代の経験値
東京五輪のメンバーには、前回リオ五輪のメンバーより大幅に上回っているものがあった。クラブでの試合経験である。
リオ五輪のメンバーでクラブの完全な主力となっている選手は、決して多くはなかった。だが今回、経験が必要とされるGKでさえ、所属クラブでレギュラーを張っていた。地元五輪に懸ける日本サッカー界全体の育成への高い意識の表れだった、と言っていいだろう。
思い出されるのは、28年ぶりにオリンピックの舞台に日本が戻った1996年のアトランタ大会だ。その3年前に開幕したJリーグの効果と相まって、久々の五輪に出場するメンバーは、ほとんどがクラブでレギュラーかレギュラーを争う選手だった。その後、Jリーグのレベルが上がるにつれて、大学経由も増えるなど10代からプロとして出場経験を積める選手は減っていった。
そのような状況で、地元開催の五輪が精神的な起爆剤になったことは間違いない。今大会のメンバーを見れば、経験値の高さは一目瞭然だ。
その恩恵が、次の五輪にも及ぶかもしれない。パリ大会での主力であろう、現在のU-20世代も、圧倒的にJリーグでの出場機会を増やしているのだ。
筆頭格は松岡大起か。サガン鳥栖で18歳だった一昨年から出場機会を得て、昨季からは主力を張り続けてきて、清水エスパルスへ移籍した。他にも荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)、田中聡(湘南ベルマーレ)ら、Jリーグで着々と経験値を高めている選手が多いのだ。東京五輪の「レガシー」が、パリ大会にも好影響を及ぼす可能性がある。
■期待したい「突き上げ」
さらに、今大会で目についたことがある。本来U-24代表の1つ下の世代となる選手による「突き上げ」だ。そう、久保建英の存在なくして、今回の躍進はなかったと言っていいだろう。
パリ大会で期待できる筆頭は、中野伸哉(サガン鳥栖)か。18歳の誕生日を約3週間後に控えた五輪期間中の7月30日、トップチームに昇格して、正式にプロとなった。今季ここまで22試合に出場し、鳥栖の躍進を支えてきた。
好素材はプロの舞台にしかいないわけではない。チェイス・アンリ(尚志高校)は今年、U-18から飛び級でU-20日本代表入りを果たした。身長190センチ近くとCBに必要な高さもあり、ロングパスにも定評がある。すでに全国高校選手権で活躍して、知名度は「全国区」となっている松木玖生(青森山田)も今年、U-20入りを果たしている。
前述のアトランタ五輪で飛び級出場した選手がいた。その後、若くしてフル代表を引っ張ることになる中田英寿である。五輪後を考えても、若い選手による突き上げは、ぜひとも必要になってくる。