自国開催の東京五輪で、サッカーの五輪代表は男女ともに1次リーグを突破して決勝トーナメント進出を決めた。女子は1勝1敗1分…

自国開催の東京五輪で、サッカーの五輪代表は男女ともに1次リーグを突破して決勝トーナメント進出を決めた。女子は1勝1敗1分、男子は全出場国中唯一となる3勝。取材歴50年のサッカージャーナリスト・大住良之と後藤健生の2人はこの東京五輪と日本サッカーの未来をどう見るのか――。

●ベスト8組み合わせ
・男子
日本(A組1位)
ニュージーランド(B組2位)

スペイン(C組1位)
コートジボワール(D組2位)

韓国(B組1位) 
メキシコ(A組2位)

ブラジル(D組1位)
エジプト(C組2位)

●ベスト8以降の試合日程
男子
・7月31日(土)
17時 スペインVSコートジボワール
18時 日本VSニュージーランド
19時 ブラジルVSエジプト
20時 韓国VSメキシコ

■「昔の日本は白ユニフォームだったね」

―お二人のなかでメダル候補のチームを教えてください。

後藤「メキシコ、スペインは日本がつい最近試合をした相手だったから、強いなという印象はありますね。テレビ観戦にしろ、日本と対戦した感じを見ると、しっかりと強さがわかる。あとは……なんとも言えないな」

大住「大体、放送がやっていないからね。ネットでは見られるんですけど」

後藤「あと、フランス戦で一番良かった点は白いユニフォームでしょ?大住さん?」

大住「良いよね、背番号が見やすいし。それに、あの白はキッパリとして綺麗で良いよね」

後藤「1968年のメキシコオリンピックを思い出す」

大住「あの頃はあそこまで白くなかったけどね。選手たちが自分で洗濯していたみたいだし。第1戦で肉離れになった八重樫茂生が洗濯をしていたんだよ」

後藤「ははは。今で言うと、中田英寿がユニフォームを洗濯している、みたいなもんだよ。あり得ないでしょ」

大住「いや、吉田麻也って言ったら?」

後藤「そっかそっか。けど、吉田麻也ならするかも」

大住「メキシコオリンピックの時は、6試合中5試合は、上下真っ白なユニフォームだったんだよ。3位決定戦のメキシコ戦だけ、相手のパンツが白だったから、日本は紺のパンツを履いたんだけど」

後藤「昔の日本はブルーじゃなくて、白だったからね」

大住「そうそう、白が好きだった」

後藤「いちおう登録はブルーだったんだけど、ほとんど白いユニフォームで戦っていた。それでフランス戦に話を戻すと、いつもは協会のエンブレムをつけているけど、オリンピックは日の丸だけでしょ?だから、フランス戦の日本代表見たら昔を思い出しちゃったね」

大住「泣いた?」

後藤「泣いちゃった。そして、釜本邦茂がいなくても勝てるんだな、って。メキシコ五輪のときもフランスには3-1で勝っていたけどさ。あの頃とはレギュレーションも全然違うから、比べてもしょうがないけどね」

■「森保監督は全員を働かせているからね」

大住「森保一監督は、日本代表の方向性を示しているよね。もちろん個の力は大切なんだけど、それがチームとしてどうやって戦うか、いかにチームのために戦うか。それを徹底している。いまのアンダー24の天才タイプの選手達に、しっかりとやらせている」

後藤「どの監督でもみんな言うけどさ。グラウンド上であそこまで表現しているのは大したものだよ」

大住「イビチャ・オシムだってさ、ひとりなら戦えない選手がいてもがいい、って言っていたくらいなのにさ。森保監督は全員を働かせているからね」

後藤「ディエゴ・マラドーナは別だけどね。1試合に1得点をあげる選手がいたら何をやったって文句はない。釜本だって、守備はやんなくていいや、となっていた」

大住「けど、いまでは1試合1得点をあげる久保も守備をしている。すごくちゃんと戻っている」

―日本には期待したいところですね。

大住「今回の決勝トーナメントでは、日本と反対のブロックになった韓国、メキシコ、ブラジル、エジプトのなかでは、メキシコとエジプトが上がってくる気がする」

―韓国はどうですか?

後藤「韓国の人は組み合わせが出ると、ここには勝てる、ここには引き分けでいい、っていう計算をみんな言うんだよ。監督や選手も含めてね。それがあの国の文化だから、別に良い悪いの話じゃない。

 対して、日本人の傾向は、どこの国と当たっても、相手は強いです弱くありません、っていう文化。そこの違いがある。今回も韓国は組み合わせが発表されたら、日本のグループはかわいそう、ウチはラッキー、って言ったじゃない? それがあの国のスポーツ文化なんだよね、それで楽しんでいる」

大住「けど、それがニュージーランド戦での韓国の負けにつながっている部分もあるんだよね」

後藤「いまごろ韓国メディアは、日本はトーナメントで良い位置にいる、韓国は大変だ、みたいな報道をきっとしていますよ」

■「エジプトは強いよ」

大住「もしかしたら韓国は、準決勝のブラジルをどうしようか、みたいなことを言っているかもよ」

後藤「ははは。それもあり得る」

大住「けど韓国が準々決勝で対戦するメキシコは、そんな足腰の弱いチームじゃないですよ、って言いたい」

後藤「たしかに。この中でもし僕が100万円を賭けるってなったら、メキシコを選ぶかな。スペインやブラジルも本気度が高いけど、やっぱりメキシコが一番本気」

大住「じゃあ、僕はエジプトに100円」

後藤「ははは」

―ブラジルじゃなくてエジプトですか?

大住「エジプトはいつでも強いチームだよ」

後藤「真面目だよね」

大住「フィジカルが強いし、足が折れても走る、戦い抜く、すごいチーム」

後藤「エジプトの練習を見ると分かりますよ、直立不動でコーチの言うことを聞いているから。そういう文化なの」

大住「エジプトというチームが甘いサッカーをすることは本当にないからね、ブラジルにとっても厳しい相手だと思うよ。エジプトというのはそういうチーム」

後藤「だから、あちらの山はどこも厳しいと言えるね。メキシコだって、韓国に勝つのは並大抵のことじゃない」

大住「そうなると、ニュージーランドが相手なのは一番ラッキーになるの?」

後藤「そりゃそうでしょ。今回の組み合わせのなかでは、日本がどこと戦うとチャンスが一番あるかといえばニュージーランドになる。だからといって絶対勝てるわけじゃないですよ」

大住「まあ、決勝トーナメントはどの国が勝ち上がってもおかしくないということ」

後藤「そういうことですね」

《了》

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