「(ホンジュラスは来日したばかりで)コンディションの差はあるにしても、前半は文句のつけられない内容だった」 スペインの名…

「(ホンジュラスは来日したばかりで)コンディションの差はあるにしても、前半は文句のつけられない内容だった」

 スペインの名伯楽、ミケル・エチャリはそう言って、U-24日本代表がU-24ホンジュラス代表を3-1と下したゲームを振り返っている。

「ハイレベルのスキルを駆使したコンビネーションがたくさん見られ、プレースピードが際立っていた。あらゆる場面で崩しの仕掛けが見られ、攻撃に奥行きも感じられた。セットプレーも練り込まれ、ライン間の距離もすばらしかった。ポジション的優位によって、相手のスペースを奪い、自由に使っていた。ただ、後半に関しては修正すべき点はあったのだが......」

 レアル・ソシエダなどのクラブで指導者として活躍してきたエチャリは、いつものように長所と短所をどちらも取り上げつつ、戦いの深層に迫っていった。



ミケル・エチャリのホンジュラス戦のベストプレーヤーに挙げた遠藤航

「日本は4-2-3-1を採用し、試合開始からイニシアチブを握っている。ホンジュラスはミラーゲームに近い形でプレスをかけてきたが、日本は各ポジションでそれを凌駕した。コンビネーションのスピードと精度で上回って、スペースの取り合いを制すと、常に先手を取った。右サイドバックの酒井宏樹がウィングに近い位置を取る一方、左サイドも三好康児と中山雄太のバランスがよく、圧倒的に攻め立てた。

 前半のGK谷晃生はほとんど仕事がなかった。

 吉田麻也、冨安健洋のセンターバックは経験豊かなところを見せ、相手を寄せつけていない。ポジション的優位を取ったこともあるが、同時に守備強度も高かった。球出しの感覚も良く、ポゼッションを活性化させていた。

 前半12分には、右FKを久保建英がインスイングで蹴り込み、フリーになった吉田が合わせて先制。39分には、冨安が左サイドを駆け上がってボールを受けると、切り返して右足でゴール前を横切るクロスを入れ、それを林大地が落とし、堂安律が右足でネットを揺らした。2人のセンターバックは2得点にも寄与し、攻守両面で存在感が際立っていたと言えるだろう。

 最前線の林大地も、好印象を受けた。センターバックの間で駆け引きしつつ、ボールを呼び込むことができていたし、ラインの駆け引きも制していた。残念ながら、高さがないし、まだコンビネーションが合わない場面もあったが、カウンターでのフィニッシュが決まってくるようだと、有力なオプションになりそうだ。

 この試合のベストプレーヤーの名前を挙げるなら、遠藤航になるだろう。遠藤は、久保建英との積極的なポジション交換で攻めを躍動させる一方、田中碧と協調関係を作って、カバーリングとインターセプトを成功させていた。相手アタッカーに対し、非常に厳しくフェアに当たることで、守りを強固にし、それで攻撃を旋回させ、欠かせない存在と言える。

 チームとしても、満点に近い前半だった」

 エチャリはそう言って、前半の日本を激賞した。国内で巻き起こった議論のように、3点目を奪って試合をクローズできなかったことについては、ことさら責めていない。ただし、後半に入って戦いのチグハグさを修正しきれなかった点を反省点に挙げた。

「後半、ホンジュラスは一気に5人も選手を変えてきた。東京五輪に向けて、危機感を抱いたのだろう。動きが鋭く、粘り強くなっていた。

 その一方で、日本はやや過信気味なプレーが目立つようになった。雑になったわけではないが、前半の優勢な展開で油断したか。時間を重ねるたび、プレーのズレが大きくなっていった。相手が押し込んできたのもあり、前半のようにボールをつなげない。遠藤でさえも、持ちすぎてボールを奪われてしまったり、判断が悪くなっていた。

 65分にホンジュラスに1点を返されたのは、必然だったかもしれない。

 自陣でパスを繋げようとしたところを奪われ、ディフェンラインの裏を通された。GK谷は一瞬、出るのが遅れ、いったんははじいたものの、こぼれたボールが冨安に当たって入ってしまった。いくつか小さなミスが重なったわけだが、流れとして再三、ゴール前まで攻め込まれていたのが失点の要因だ」

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 エチャリはそう明言する一方、プラス要素も挙げた。

「1点を返された後、再びリードを広げるゴールを決められたのは評価できる。しかも、コンビネーションが結実したすばらしい得点だった。町田浩樹を起点に、相馬勇紀、前田大然、遠藤とつなげ、再びボールを受けた相馬のクロスに、堂安がニアに鋭く飛び込み、ネットに突き刺した。

 これで試合のペースは落ちついたと言える。

 言うまでもないが、後半のゲームの進め方はベストではない。相手に流れを与えてしまったことは反省点だ。メンタルマネジメントはひとつの教訓になるはずだ。

 しかしながら、これだけ大勢の交代選手が入り乱れると、現場にいた人間としては『しかたない』と森保一監督を擁護したくなる。何人まで変えられるレギュレーションだったかわからないが、私は個人的にこうした親善試合も、公式戦と同じ交代人数でやるべきだと考えている。さもないと、公式戦を想定したスカウティングができない。実際には選手を5人も一気に代えることはできず、あり得ないことで勝利の戦略を語る難しさを感じてしまうのだ」

 そして最後にエチャリは、17日のスペイン戦に向け、こうメッセージを送っている。

「スペインは有力な選手が揃っている。日本としては勝利を考えると、交代策も試合の流れを左右するかもしれない。交代の切り方なども、本番を想定したテストをするべきだ」