■7月12日/キリンチャレンジカップ U-24日本代表ーU-24ホンジュラス代表(ヨドコウ桜スタジアム) 東京五輪に出…

■7月12日/キリンチャレンジカップ U-24日本代表ーU-24ホンジュラス代表(ヨドコウ桜スタジアム)

 東京五輪に出場するサッカー男子日本代表が、同じく五輪に出場するホンジュラス代表を破った!
 13分に主将・吉田麻也久保建英のアシストで先制すると、40分には10番・堂安律が追加点。2点リードで迎えた後半は、65分にオウンゴールで失点したものの、85分にエース堂安が再びゴールを奪ってリードを2点にし、試合終了。若き青武者が大阪の地で躍動した。

 後半開始直後から劣勢を強いられた日本は、なかなか流れを取り戻せないまま63分に最初の交代カードを切った。

「体力的に厳しいところはあったが、選手たちが約1か月間くらいフルに試合をしていない中でキツい中でプレーしてもらおう」「選手交代をしなかったという部分では、相手から押し込まれるということもある程度想定していた」

 森保一監督にとっては、本番に向けた貴重な試合で、いくつもの経験を同時に積ませるための時間帯だったことは間違いない。本番であれば当然、相手がハーフタイムで切った交代カードに対応して手を打つが、この試合ではあえてその“劣勢”を受け入れた。

 その結果、後半45分間でシュートは3本しか撃てず、奪った得点数は1。前半のシュート10本で得点2、失点1ということを考えれば“効率”は良くなったが、前半のほうが危なげないというのがサッカーの面白さだ。

 選手に解決の糸口を探させるからこそ、戦術的なこと以上に指揮官がピッチに向かって何度か叫んでいたことがあった。それは、田中碧が途中交代したあとから出始めた。

■田中が見せたピッチ上の監督の振る舞い

 田中がピッチを去ったのは63分。板倉滉との交代だった。それまでの田中はピッチを縦横無尽に走り、ボールを奪い、受け、配給して、を繰り返した。それが青いユニフォームにリズムを生んだことは、説明の必要がない。そして、そのプレーと同じくらい大きかったのが「指示」だ。

「右、右!」や「来てるよ!」といったごく当たり前のことだけではない。たとえば、GK谷晃生にボールが戻った場面。谷がすぐにボールを出そうとするや、「まだまだまだ!」と制止、その後に谷が再びパスしようとするも、「まだまだ! 前見て! まだだよ!」と、前線がポジションを整えるのを見守り、それが整ってから「もう出していいよ!」とビルドアップを促す。田中のこうした場面が随所に見られた。その姿は、ピッチの監督のようだった。

 ところが、その田中がいなくなってからは、そうした声を出す人がいなくなった。80分に吉田麻也と酒井宏樹が交代してからは、ピッチの声はさらに少なくなった。そうした選手たちを見ながら森保監督は、「後ろから声を出して!」「もっと声かけて」と口にした。田中不在の影響は大きかった。

 その田中は、試合が終わるやすぐに板倉に身振り手振りで何かを話していた。その動きから、試合における動き方やポジショニングで指示を出していたことは明白だ。田中の「声」は、チームを動かし、修正を動かす。“ピッチ上の心臓”は“チームの心臓”であり、“川崎の心臓”は“日本代表”の心臓なのだ。

■久保建英が叫んだ「大地くん」!

 過密日程で金メダルを狙う以上は、どんなメンバーで試合に挑むか分からない。63分の交代は、それを表面化させた出来事だった。

 久保建英はコーナーキックの際に「大地くん!」と林大地を呼んで、デュエルをいとわないストライカーにボールを出そうとするなど、言葉が通じないからこそ積極的に声を出した。それ以外でも、選手と手を使って動き方のイメージを共有しようとした。

 本番に向けて、残るテストマッチはスペインとの1試合。世界最高峰の相手に対し、苦戦するのは必至だ。その中で、今回の教訓をどう生かせるか、そして、声を出して苦境を脱せられるか、注目したい。

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