先発メンバー11人のうち、Jリーグでプレーする国内組は7人。同じワールドカップ2次予選でも、ベンチメンバーも含め、すべ…
先発メンバー11人のうち、Jリーグでプレーする国内組は7人。同じワールドカップ2次予選でも、ベンチメンバーも含め、すべて海外組で臨んだ先月のミャンマー戦とは、大きく様相が変わっていた。
それでも、すでに最終予選進出を決めている日本は、タジキスタンに4-1と勝利。森保一監督曰く、「多くの選手に(予選を)経験してもらいながら、ワールドカップへ向かっていく」過程においては、当然あるべき選手起用だろう。

タジキスタンに4-1と快勝した日本代表だが......
内容的には、ミャンマー戦に見劣ったのは確かだ。しかし、森保監督が「理想は誰が出ても連係が合うことだが、全体練習は1回しかしていないので、パーフェクトに合わせるのは難しい。ミスが出ることは予想していた」と振り返ったように、それはやむを得ないことである。
ある程度顔ぶれが固められたなかで、すでに何試合もこなしているメンバーと比較して、出来が悪かったと評価するのはフェアではない。
国内組中心のメンバー構成でも、縦にスピードアップするタイミングを選手同士で共有しようとする姿勢は見られたし、ボールを失ったあとの切り替え、そこからのボールを奪い返す強さと速さは"全般的には"悪くなかった。
その内容については、森保監督も「チーム力の底上げができた」と評価しているとおりだ。
ただ、やはり気になったのは失点の場面。日本が試合開始早々の6分に先制しながら、わずか3分後に同点に追いつかれたシーンである。
もちろん90分の試合のなかでは、"弱者"の側にも多分に偶発性を含んだチャンスが1度や2度は訪れる。それがサッカーという競技だ。失点したこと自体、それほど目くじらを立てる必要はないのだろう。
しかし、この失点は偶発性を含んだもの、すなわち"事故"と表現されるようなものだったのだろうか。そこに疑問が残る。
シュートそのものは、相手のタジキスタンを称えるしかない。
右サイド(日本から見て左サイド)から入ってきたクロスは、スピード、コースともに申し分なく、それに合わせたヘディングシュートも完璧だった。
タジキスタンのレベルを考えれば、いつでも当たり前にできるプレーではないだろう。クロスとシュートだけを切り取るならば、事故と表現してもいいのかもしれない。
だが、問題はそこに至るまで過程だ。
「失点の少し前からボールの奪われ方が悪かった」
ボランチの川辺駿がそう語ったように、日本はタジキスタンの攻撃を防ぎながら、奪ったボールをつなぐのか、大きく前へ蹴り出すのか、はっきりせず、すぐにボールを失ってしまうシーンが続いていた。
センターバックの昌子源も「右サイドで2回くらいボールを失って、連続で攻められた」と、失点前の時間帯を振り返る。
はたして、決定的な場面がやってくる。
DF山根視来がタジキスタンのクロスをカットし、奪ったボールを前方のMF古橋亨梧へとつなぐ。だが、フリーだった古橋は余裕を持ち過ぎたのか、次のプレー選択に手間取り、相手選手にボールを奪われてしまう。
そこからゴール前に入れられたボールを一度は昌子がクリアするも、またしてもタジキスタンに拾われ、前述の正確なクロスへとつながるのである。
古橋にミスがあったのはもちろんだが、その後方にいた山根にしても、古橋が失ったボールに対する寄せが遅れていたし、昌子もまた「クリアを慌ててしまって」蹴り出したボールが小さくなり、楽々とタジキスタンに拾われることにつながった。
さらに言えば、昌子のクリアが小さかったにもかかわらず、ピンチを脱したことにチーム全体がひと息ついてしまったのか、その後のクロスを入れさせないための対応も緩慢だった。
しっかりと守りを固める相手から早々に先制点を奪ったことで、少なからずホッとした気持ちが生まれたのだろう。日本は「攻撃も守備も、少し後ろに重くなった」と、ボランチの橋本拳人は言う。川辺も「一度(プレーを)切るとか、前に(ボールを)運ぶ作業が必要だった」と反省の弁を口にした。
重大なミスが起きたというより、一つひとつの局面での小さな"緩さ"が積み重なった結果である。現在、ロシアでプレーする橋本が指摘する。
「チームとして、よくない失点。(試合の)最後、自分たちの時間になって取り返せたのはよかったが、最終予選とかになると、そういう失点は(試合を)難しくしてしまう」
日本代表では年々、海外組の勢力拡大が加速しており、国内組は肩身が狭い状態にある。Jリーグはヨーロッパ各国のリーグに比べ、プレー強度が低く、だから日本人選手は世界基準に届かない。そんなことを言われがちだ。
だが、どこでプレーするのがベストかは、選手それぞれの適性によっても異なるはずだ。ヨーロッパでプレーすることには相応のメリットがあるにしても、単純に両者を優劣で分けてしまうような見方は、国内組のモチベーション低下を引き起こしかねない。
フランスでのプレー経験を持つ昌子は言う。
「日本の風潮として、国内組と海外組がかなり分けられているが、海外でやっていることがすべてじゃないし、それで上達するわけじゃない。国内組の質も高めないといけないが、そこまで低くないと思っている。意識で成長の度合いは変わる」
まさに、そのとおりだろう。しかし、だからこそ、国内組は自身の価値をピッチ上で示す必要がある。
こんな失点をしていては、ほら、見たことか、と言われかねない。