開幕以来、無敗(13勝3分け)の川崎フロンターレが首位を独走する今季J1にあって、各クラブの力関係を大きく変える要因と…

 開幕以来、無敗(13勝3分け)の川崎フロンターレが首位を独走する今季J1にあって、各クラブの力関係を大きく変える要因となるかもしれない。

 そんな期待とともに注目されるのが、新外国人選手の加入である。

 今季Jリーグでは、新型コロナウイルス感染拡大にともなう入国規制により、外国人選手が来日できないという問題が起きていた。

 とりわけ、今季から新たに契約を結び、新戦力として期待されていた選手の多くがこの事態に巻き込まれ、シーズン前のキャンプに参加できないどころか、シーズンが開幕してもなおチームに合流できずにいた。

 だが、Jリーグが一括管理する独自の隔離策(Jリーグバブル)を採ることにより、4月に入って新外国人選手の来日が可能に。4月下旬あたりから、ようやく実戦デビューへとこぎつけるまでに至った。特に序盤戦で出遅れていたチームにとっては、"待ち人"を逆襲のきっかけにしたいところだろう。

 実際、その兆しは早くも見え始めている。



来日初戦のルヴァンカップに続き、リーグ初戦でもゴールを決めた浦和のキャスパー・ユンカー

 最たる例は、浦和レッズに新加入した、FWキャスパー・ユンカーである。

 昨季ノルウェーリーグの得点王にしてMVPという実績を引っ提げ、浦和へやってきたユンカーは、身長186cmの大型ストライカー。5月9日に行なわれたJ1第13節のベガルタ仙台戦で、やっとJ1初出場初先発を果たしたばかりだ。

 ところが、チーム合流間もないとは思えないほどに、一度ボールを受けて攻撃の組み立てに加わり、パスをさばいてゴール前へ入っていく。そんな連係をかなりスムーズにこなしたうえ、58分には巧みな背後への抜け出しから先制ゴールまで決めている。

 リーグ戦初戦とあって64分に交代で退いたが、内容、結果ともに今後への期待が大きく膨らむJ1デビュー戦となった。現在10位(5月12日開催分終了時点。以下同じ)にいる浦和にとっては、上位進出に不可欠となる、貴重なフィニッシャーを手にしたと言えそうだ。

 同じく上位をうかがうチームにあって、頼もしい戦力となりそうなのが、鹿島アントラーズに新加入したMFディエゴ・ピトゥカである。

 ブラジルの名門サントスなどで活躍したディエゴ・ピトゥカは、左利きのボランチ。リーグ戦での途中出場やルヴァンカップでの先発出場で"試運転"を重ねたあと、5月12日に行なわれたJ1第21節の名古屋グランパス戦でリーグ戦初先発。効果的な縦パスを何本も打ち込み、2-0の勝利に貢献した。

 鹿島はこれで3連勝。一時はJ2降格もちらついていた順位も、7位まで上げてきた。相馬直樹監督就任後はルヴァンカップを含めて公式戦負けなしと、スタートダッシュの失敗を挽回するかのような猛烈な巻き返しを見せている。

 ブラジルからやってきた新ボランチがこの勢いを加速させられるようなら、いよいよ鹿島の上位追撃態勢は整うはずだ。

 また、新外国人選手合流とタイミングを一にして、チーム成績を上げてきているのが、6位のアビスパ福岡と12位の湘南ベルマーレだ。

 J1昇格1年目で苦戦が予想されながら6勝4敗4分けと白星先行の福岡は、現在リーグ戦で4連勝中。その間に加わった新戦力、MFジョルディ・クルークスとFWジョン・マリが起爆剤となった格好だ。

 マリは短い出場時間ながら、ルヴァンカップも含めて3試合連続ゴールと決定力の高さを示し、クルークスは4連勝したすべての試合に出場し、最近2試合は先発に定着。クルークスのケガ(J1第13節の柏レイソル戦で途中交代)は気になるところだが、ふたりがコンスタントに活躍できれば、チームのJ1残留も確かなものとなっていくはずだ。

 開幕3連敗の最下位から12位まで順位を上げてきた湘南にしても、7シーズンぶりにチームに復帰した新戦力、FWウェリントンが貴重な働きを見せている。

 湘南は現在リーグ戦で8戦無敗が進行中とはいえ、その間の成績は2勝6分け。スコアレスドローが4試合もあり、得点力不足が勝ち点獲得の足かせとなっていることは明らかだった。

 そんななか、ウェリントンは4月25日のJ1第11節清水エスパルス戦で今季初出場を果たすや、いきなりゴール。すべて途中出場ながらリーグ戦3試合出場で2ゴールを決め、チームの得点源となり始めている。昨季最下位からの挽回を目指す湘南にとっては、待ちに待った新戦力といったところだろう。

 その他にも、まだわかりやすい形で結果こそ出てはいないが、可能性を感じさせる新外国人選手が、続々とJリーグのピッチに立っている。

 アンドレス・イニエスタの契約延長に沸くヴィッセル神戸では、ケニア人FWのアユブ・マシカがリーグ戦3試合に出場。うち先発出場は1試合だけと、今のところ確かな戦力にはなり得ていないが、時折見せる際立った瞬発力は、きっかけひとつでブレイクしそうな気配を漂わせる。

 また、15位と苦しむ柏には、DFエメルソン・サントス、MFドッジ、MFアンジェロッティ、FWペドロ・ハウルと、大量4人のブラジル人選手が新加入。いずれもリーグ戦では先発出場がなく、ルヴァンカップも活用しながらチームへの適応を図っている段階ではあるが、柏にはもともとブラジル人選手が多く在籍しており、彼らが馴染みやすい土壌はある。うまくチームに取り込むことができれば、互いの相乗効果も含め、大きな戦力アップにつながる可能性はあるだろう。

 川崎を追いかける各チームにとっては、ようやくかなった新外国人選手の合流。これが、J1の序列を変える引き金になるかもしれないだけに、いわば"第二のシーズン開幕"を迎えた現在、しばらくは彼らの動きを注視しておく必要がありそうだ。