■5月12日/J1第20節 川崎フロンターレーベガルタ仙台(等々力) 川崎フロンターレが、苦しみながらも史上最高の独走に…
■5月12日/J1第20節 川崎フロンターレーベガルタ仙台(等々力)
川崎フロンターレが、苦しみながらも史上最高の独走に王手をかけた。等々力競技場に迎えたベガルタ仙台と2-2で引き分け、サポーターの前で開幕からの無敗記録を「15」に、また、シーズンをまたいだ無敗連続記録を「21」に伸ばした。次節の札幌戦で、J1史上最高の連続無敗記録にチャレンジすることとなる。
出だしは川崎ペースだった。中2日で連続アウェイ戦となる仙台に対して、中3日の青いユニフォームは試合開始から攻める。そして、早くも3分にゴールネットを揺らしてみせる。左サイドバックで2戦ぶりに先発した登里享平が左サイドから上げたクロスを、小林悠が頭で合わせた。
小林は4月18日の広島戦で負傷してから戦線離脱していたが、“仙台キラー”の異名を取るだけに“お得意さん”との対戦に合わせて復帰後即先発。さらに電光石火の得点まで決めてみせたのだ。
川崎と仙台が対戦するのは、今季2度目。3月6日に行われたユアスタでの同カードでは12分に奪った小林のゴールを皮切りに5ゴール奪っており、またも攻撃陣爆発を予感させる出だしだった。
しかし、その後はなかなかゴールが奪えない。自陣でスペースを消す仙台に対して、川崎はなかなか有効な攻撃ができず、そのまま1点リードで前半終了。後半はアタマから2枚替えを行った仙台のゴールを再びこじ開けようとボールを保持するが、1点リードのまま時間だけが過ぎていく。
■試合中のピッチに響いた「あんたが大賞」のメロディ
とはいえ、川崎がゲームの流れを握り、ボールを保持している以上は安心かと思われた。等々力競技場には「あんたが大賞」の受賞の際に流れる練習メロディが繰り返し流れるなど、誰もが川崎の勝利を確信した。
しかし、74分に仙台が追いつく。気田亮真のドリブルシュートを許し、GK丹野研太が弾いたもののこぼれ球を流し込まれたのだ。
残りは16分。鬼木達監督は、連戦を戦い抜いていた田中碧を下げてフレッシュな遠野大弥を投入し、さらに小林に替えてチーム得点王のレアンドロ・ダミアンを送り込んだ。その直後に遠野のスルーパスから三笘薫が勝ち越し弾を決め、王者の力を見せつけたかに思えた。万が一に備えてジェジエウを入れて、試合を締めにかかる念の入れようだった。
それでも、最後まで分からないのがサッカーの怖さだ。5分のアディショナルタイムの間に、仙台に再びゴールを割られてしまう。シュートを放ったのは、途中出場のマルティノス。そのシュートはスーペルゴラッソだったが、そこにボールを出したDF照山颯人の執念の“ボール受け”がポイントだった。
すでに試合終了間際で疲れている時間帯に、照山は川崎の泣き所であるアンカー脇に上がってボールをフリーで受けた。先発した若武者のこのプレーが、等々力の悲劇を呼んだ。
■達成できなかった“鬼木ルール”
川崎としては、痛恨の引き分けだ。降格圏に沈む仙台から勝ち点3を奪えなかった。ただし、90分だけを見れば、決して川崎が圧倒しているとは言えなかった。仙台はブロックを組んでゲームを作り、後半に勝負に出て見せた。必ずしも攻めていたチームが試合巧者なわけではなかった。
この試合後、鬼木達監督が話した言葉がすべてだった。
「得点したあと、そこで2点目、3点目を取れなかった」
「しっかり勝ち切る作業を共有しながらやっていきたい」
鬼木達監督は昨季からチームにある使命を課していた。それは、「1試合3得点」という得点数だ。高いハードルに思えるこの設定は、1点や2点では何が起きるか分からないという“サッカーの怖さ”から発したもの。まさに、今回の試合のために設定していたものだった。
仙台戦より前の15試合で川崎が奪ったゴール数は「39」。1試合平均にすれば2.6点となる。仙台相手にも2点を奪ってはいたが、もう1点を取ることができなかったために、勝利をつかむことができなかった。“鬼木ルール”を達成できなかったがゆえの代償だった。
それと同時に、仙台戦は川崎の“ある問題点”を浮き彫りにした試合でもあった。