■5月12日/J1第20節 川崎フロンターレ2ー2ベガルタ仙台(等々力) ベガルタ仙台が等々力競技場で勝てる試合を落とし…

■5月12日/J1第20節 川崎フロンターレ2ー2ベガルタ仙台(等々力)

 ベガルタ仙台が等々力競技場で勝てる試合を落としてしまった。王者・川崎を相手に勝利目前まで攻め込みながら、2-2で引き分け。5月9日の浦和レッズ戦(埼玉スタジアム)から中2日となる等々力競技場での関東2連戦は未勝利に終わった。

 勝ち点2を失ってしまった。名古屋グランパスとの首位攻防2連戦で連勝し、G大阪にも完封勝ちを収めた川崎が相手とはいえ、試合終盤に勝利に近づいたのは仙台のほうだった。とはいえ、最初の失点は試合開始からわずか3分という早い失点だった。

 得点を決めたのは、H広島戦(4月18日)での負傷で戦線から離脱していた小林悠。“仙台キラー”の異名を取るように、復帰後即先発となったストライカーに見事なヘディング弾を決められてしまったのだ。

 今年、仙台が川崎と対戦するのはこれが2回目。前回は3月6日にユアスタで行われた試合で、東日本大震災から10年目を迎えた復興メモリアルマッチながら仙台は1-5で大敗。スコア以上に川崎にピッチを支配された試合となってしまった。5失点の口火を切ったのが小林のゴールで、12分のことだった。それを上回る早い時間帯の失点は手倉森誠監督が「怒鳴りたくなるような1失点」と表現したもので、等々力での再戦は5点以上の大量得点すら感じさせるものだった。

■後半の飲水タイムがポイントに

 それでも前半は粘り強く戦って1点ビハインドのまま後半を迎えた。後半アタマから、仙台は選手を2人入れ替え、蜂須賀孝治とフォギーニョを下げてシマオ・マテと気田亮真を投入した。それとともに、前半はセンターバックだった照山颯人を左サイドバックに移し、さらに前半は2列目の右に入っていた中原彰吾をボランチに移した。王者に失点を許したことで、より攻撃的なメンバー構成にしたのだ。

 しかし、試合の流れは変わらない。前半同様に川崎がボールを保持し、仙台が粘り強く戦う場面が続いた。仙台は攻撃に出たいが、この日の川崎は守備の局面でいつも以上に声が出ており、「そこフリックされるよ」「右に出す(はずだ)よ」と、仙台がボールを回そうとするたびに読まれては刈り取られていったのだ。

 その流れを変えたのが、後半の飲水タイムだ。昨年と違って今年の仙台は飲水タイムの際に全員がベンチに戻って水分を補給する。この試合の後半のその時間に、原崎政人コーチが細かく指示を出したのだ。特に身振り手振りを交えて話しをしたのが中原彰吾だった。その18番が、直後に輝く。

 きっかけは、気田のドリブルだ。仙台のゴールキックをFW皆川佑介が競ると、ボールは気田の元に降りる。その途端、このドリブラーは得意の足技を披露。川崎の谷口彰悟車屋紳太郎のセンターバックコンビを含む4人が寄せる状況で力強く前進すると、そのままシュート。GK丹野研太に弾かれるも、そのこぼれに詰めたのが中原だった。王者のゴールに冷静に流し込んで、試合をイーブンに戻してみせた。飲水タイムからわずか5分後のことだった。

■勝ちたかった王者との試合

 試合を振り出しに戻した仙台は、がぜん勢いづく。しかし、今季無敗でJ1を独走する川崎は、勝利のためになりふり構わぬカードを切る。川崎の心臓である田中碧と小林悠を下げて、遠野大弥と連戦続きのチーム得点王レアンドロ・ダミアンを投入したのだ。攻撃的なカードを切って流れを取り戻そうとし、実際、その遠野のスルーパスに反応した三笘が勝ち越し弾をゲット。再び川崎が試合をリードする。そればかりか、得点直後には今日は休養のはずだったDFジェジエウを入れて逃げ切ろうとまでしてみせた。

 それでも、この日の仙台はここから意地を見せた。富田晋伍に代えてマルティノスをピッチに送り込む攻撃的な姿勢に出ると、後半アディショナルタイムにそのマルティノスがスーペルゴラッソを決めて見せたのだ。これで試合はまたしてもイーブンに。仙台はその前後に川崎ゴールに猛攻を浴びせるが、終盤に奪えたのは結局1点だけ。多くのチャンスを手にしながら、引き分けに終わってしまったのだ。

 仙台としては、勝ちたかったゲームだった。それでも、自信になる引き分けである。敵地で2度リードされながら、王者に肉迫してみせたのだから。そんなゲームの転換点は、まさしく後半の飲水タイムだった。

 1-5で負けた相手に、2か月をへて2-2に持ち込んだ仙台は、間違いなくチームに戦術が浸透している。この試合でも、狙いを見せた攻撃がいくつか見えた。

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