夕暮れのアイビースタジアムに、若武者の声が響く。1日から行われているソフトバンクの宮崎キャンプ。練習後の恒例行事となりつつあるのが、誰もいなくなったグラウンドで行われるロングティー打撃だ。■昨季U-23W杯のWVP真砂は糸井、柳田に続く「超…

夕暮れのアイビースタジアムに、若武者の声が響く。1日から行われているソフトバンクの宮崎キャンプ。練習後の恒例行事となりつつあるのが、誰もいなくなったグラウンドで行われるロングティー打撃だ。

■昨季U-23W杯のWVP真砂は糸井、柳田に続く「超人」となれるか

 夕暮れのアイビースタジアムに、若武者の声が響く。1日から行われているソフトバンクの宮崎キャンプ。練習後の恒例行事となりつつあるのが、誰もいなくなったグラウンドで行われるロングティー打撃だ。

 声の主は真砂勇介、22歳。昨秋のU-23ワールドカップでMVPに輝き、若き侍ジャパンを世界一へと導いたソフトバンク期待の外野手である。今キャンプは主力組の集うA組に抜擢。外野の定位置取りを期待されている大砲候補だ。

 連日、藤本博史打撃コーチが上げるトスを外野スタンドへと向かって打ちまくる。柵越え50本、ファールなら1本減、ポールに当てたら3本増など、ゲーム性も取り入れる中で、何度も、何度もバットを振る日々が続く。

 その光景を見ていて、ふと思ったことがある。どこかで見たことがあるような……。記憶を辿ってみると、ある選手に、真砂の姿が重なることに気がついた。

■かつての柳田も行っていた名物行事…重なる身体能力、キャラクター

 今や押しも押されもせぬ球界屈指の打者へと成長した柳田悠岐である。ブレイクを遂げる前の柳田も、かつて藤本打撃コーチとともに、連日、夕暮れのアイビースタジアムでロングティー打撃に明け暮れ、その姿はキャンプの名物行事となっていた。

 右打者と左打者という違いこそあれ、真砂184センチ、柳田188センチと背格好は近く、抜群の身体能力を持つという特徴も似ている。一打一打に声を上げ、ミスショットをすれば、大きなリアクションで悔しがる。そんなキャラクターすらも、6歳上の先輩に被る。
 
 14年1月に柳田が糸井嘉男の浜松自主トレに参加したように、今オフは真砂が柳田、糸井がグアムで行う自主トレに参加した。柳田はその14年シーズンに打率.317、15本塁打をマーク。翌15年にトリプルスリーを達成し、一気に飛躍を遂げた。

 糸井、柳田と受け継がれてきた「超人」の系譜。真砂が2人に続く存在になる日が待ち遠しい。

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani