|早稲田×アシックス 両者が描く未来図 ―早稲田大学はこのほど、中長期スポーツ振興計画『早稲田スポーツBEYOND125プロジェクト』を発表されました。そこに懸けた思いを教えてください。 田中 スポーツが盛んになるというのは、一般学生…

|早稲田×アシックス 両者が描く未来図

―早稲田大学はこのほど、中長期スポーツ振興計画『早稲田スポーツBEYOND125プロジェクト』を発表されました。そこに懸けた思いを教えてください。

田中 スポーツが盛んになるというのは、一般学生や教職員、卒業生が一緒になって応援して一体感が生まれること。そのことが早稲田の力になると考えています。学生が在学中にスポーツを通して良い思い出を持つことも大事ですね。私たちも学生時代に野球やラグビーの早慶戦を応援しに行って勝ったとか負けたとか、そういう経験を持っています。そのことはやはり学生時代の素晴らしい思い出ですし、卒業しても早稲田という大学に対して愛着を持って後輩を応援しようという気持ちに繋がるのだと思います。

 昨秋の六大学野球の早慶戦でびっくりすることがありました。今、1年生や2年生はなかなか授業にも出てこられずバラバラだったのですが、試合に何人か来ていたんですよ。9回表に逆転の2ランホームランを打った時に、全員が立ち上がって、本来は歌わないことになっていたのですが肩を組んで『紺碧の空』を歌っていました。気持ちを抑えられなかったのでしょうね。それまでバラバラだったけれども、球場に来てこの感覚を感じた途端に一体になってしまう。こういった経験をした学生たちはやっぱり早稲田への愛着が高まる。早稲田魂が生まれるんです。

 そうした経験をなるべく広めたいと思って、体育各部の共通シンボルとなるロゴマークを新しく作りました。一般の学生も運動部の人たちと全く同じマークのTシャツを着て応援することで、同じ早稲田生だと思うことが大事。それが『早稲田スポーツBEYOND125プロジェクト』の精神だと考えています。

体育各部「共通ロゴ」発表会見の様子(3月29日)

―アシックスもこれからの10年を見据えた長期ビジョン『VISION2030』を掲げています。どのような未来を描いているのでしょうか?

廣田 我々が目指すのは、誰もが一生涯運動やスポーツを楽しみ、心身ともに健康で過ごせる世の中を作ること。そこにアシックスとして貢献していきたい。今までは物を作る、シューズを作る、ウェアを作るという会社だったのが、もう一つ進んで場を提供する、コミュニティを提供するというのもやっていきたいと思います。

 そう言った意味では、早稲田との包括的連携で、今まで体育部との提携はしてきたんですが、一般学生への支援にももっと力を入れていきたい。また、早稲田には優れた研究をしている方たちがいらっしゃいます。スポーツや健康に関する研究分野について大学と連携して、世の中に貢献していきたいと思っています。

 

―早稲田大学とアシックスの連携協定も次のフェーズへ進もうとしています。互いの未来へどのように取り組んでいきたいでしょうか。

廣田 まずは早稲田大学の共通ロゴを普及するお手伝いをしていきたい。また、運動部とも連携を強化して、単なるサポートだけではなく、彼らが競技をする中で気づいたことなどをフィードバックしてもらって、共にいい道具やいい練習方法などを開発していこうと話し合いをしています。

 ちょっと走ってみようかという時に気楽に参加できるランニングクラブを作ることも構想しています。先日の早稲田駅伝もそうですが、学生のほかO B O Gや一般の方も巻き込んで、広がりを作っていきたいと思っています。まだまだ、一緒にやらせていただきたいことが山ほどありますね。

田中 アシックスと協力してロゴマークを普及していくことで、大学から離れた卒業生たちが同じロゴのウェアやTシャツを着て野球やラグビーの応援に足を向けるとか、いろんな形で広がりが生まれると思います。また、NPO法人ワセダクラブというのがありまして、そこでは卒業生が手弁当で子供たちにスポーツを教えています。小学生のうちから早稲田に親しんでもらい、早稲田でスポーツをやろうと思ってもらいたい。そういうクラブを通した広がりもアシックスと一緒にやっていきたいですね。勉強しながらスポーツにも打ち込むなら早稲田というイメージを日本中に広めていきたい。

廣田 ぜひ魅力ある早稲田、世界に輝く早稲田となっていただきたいですね。

田中 世界でも学問もスポーツも強い大学として「日本に早稲田あり」と言われるように、モデルとなるような大学にしていきたいと思います。

サインした協定書を持つ田中総長(左)と廣田社長(右)