春の中距離王決定戦となるGI大阪杯(4月4日/阪神・芝2000m)。GIに昇格して今年で5年目となるが、GII時代も含…

 春の中距離王決定戦となるGI大阪杯(4月4日/阪神・芝2000m)。GIに昇格して今年で5年目となるが、GII時代も含めて過去10年の1番人気の成績は4勝、2着2回、3着2回とかなり安定している。一昨年は9番人気のアルアインが勝って、3連単は9万円超えの好配当をつけたが、比較的堅いレースと言える。

 はたして、今年はどうか。まず気になるのは、京都競馬場の改修工事によって、阪神競馬場での開催が長くなっていること。その点について、デイリー馬三郎の吉田順一記者はこう語る。

「今春の阪神開催は12週間続くロングラン。今週はその8週目となります。おかげで、馬場は結構荒れています。前週、前々週には雨中でレースが行なわれたこともあり、芝の塊が飛び交って、コーナーの痛みは相当なもの。3~4角はラチ沿いから4頭分ぐらいで凸凹が目立ち、直線でも6頭分ぐらいまではボコボコしています。

 とはいえ、野芝が芽吹いて、気温の上昇とともに発育しています。乾燥度が高まれば、クッション度が高くなり、時計は出やすくなります。そのため、先週の土曜日に施行されたGIII毎日杯は驚異のレコード決着。今週もその傾向は続くと見ています」

 そうした馬場にあって、今回「2強」とされる有力どころに何かしらの影響はあるのだろうか。吉田記者が続ける。

「馬体に厚みが出てきたコントレイル(牡4歳)は、母系の血が騒げば、距離適性が短くなり、マイル~2000mあたりの距離がベストとなるでしょう。また、その過程において、パワーアップしていれば、少々の馬場悪化も問題ないと踏んでいます。

 一方、中距離路線に矛先を向けてきたグランアレグリア(牝5歳)にとっては、軽い馬場でスピードと切れを生かしたかった、というのが本音でしょう。コース取りや展開次第ですが、タフな設定の消耗戦になると、距離の壁が立ちはだかる可能性があります」



大阪杯での大駆けが期待されるブラヴァス

 ということは、「2強」の一角崩しも十分に考えられる。そこで、吉田記者はブラヴァス(牡5歳)にその期待を寄せる。

「重馬場だった前走のGII金鯱賞(3月14日/中京・芝2000m)での惨敗(10着)は意外な結果でした。当週と1週前にポリトラックで追い切りを行なうといった、同馬を管理する友道康夫厩舎らしくない調整過程も見られ、完調手前だったことがその要因でしょう。

 今回は1週前の追い切りが上々。今の馬場状態も向くはずで、器用に立ち回れる強みを生かして、波乱を演出することを見込んでいます」

 吉田記者はもう1頭、昨夏のGIII七夕賞(福島・芝2000m)において、ブラヴァスを下して完勝しているクレッシェンドラヴ(牡7歳)の名前も挙げる。

「七夕賞ではブラヴァスを問題にしませんでした。その後、秋はGIIオールカマー(中山・芝2200m)4着、GIジャパンC(東京・芝2400m)13着、GI有馬記念(中山・芝2500m)8着という結果に終わっていますが、ジャパンCは超強力メンバーが相手。大敗も仕方がないでしょう。ただ、有馬記念は勝ち馬からコンマ8秒差。健闘したほうだと思います。

 明け7歳となっても衰えが感じられず、馬は元気いっぱい。体つきも若々しく、1週前の段階で、あばらをうっすらと見せて、目つきもキリッとしていて動ける態勢でした。右回りのコーナー4つ以上の競馬でしか勝ち鞍がない馬。舞台が合う今回は、その走りに注目です」

 翻(ひるがえ)って、日刊スポーツの松田直樹記者は、大阪杯で勝ち負けに加わるポイントして脚質の重要性を説く。

「GIになって過去4回の勝ち馬は、すべて4角4番手以内に位置していました。阪神内回りの芝2000mは直線が359.1mと短い舞台設定。実力が拮抗する中距離の一線級がそろえば、先行脚質の馬が有利なのは結果が示しています」

 そうして、松田記者はアドマイヤビルゴ(牡4歳)を推奨馬に挙げる。

「前走のGII日経新春杯(10着。1月17日/中京・芝2200m)は良馬場発表でしたが、荒れた馬場で、直線で伸び悩みました。ただこの敗戦を受けて、この馬にとっての適性は、芝2000m、それも時計の速い馬場だとはっきりしました。

 実際、昨春のオープン特別・若葉S(阪神・芝2000m)では、同レースのレコードタイム(1分58秒6)をマークして楽勝。同じ舞台で行なわれた昨秋のオープン特別・アンドロメダSでも鮮やかな差し切り勝ちを決めました。こうした結果から、とりわけ阪神・芝2000mは同馬にとって適鞍と考えていいでしょう。

 しかも、今回は人気落ちが確実。気楽な立場で走れるのは好材料です。セレクトセールにおいて5億8000万円で落札された超高額馬。まだ、値段どおりの走りを見せたとは言えませんから、大舞台での"変身"に期待したいです」

 松田記者ももう1頭、オッズ的な妙味からサリオス(牡4歳)をオススメしたいという。

「おそらく3番人気になると思いますが、世間が"2強対決"で盛り上がれば、その分、オッズの妙味が増すはず。実力的には、コントレイルに次ぐ4歳世代ナンバー2。それを考えれば、なおさらオイシイ存在です。

 昨秋のGIマイルCS(京都・芝1600m)では後方に控えて、4コーナー手前からまくり気味に進出していく形を試みましたが、直線伸び切れずに5着。緩い流れが、持続型の伸び脚を持つ同馬の持ち味を消してしまったようにも映りました。

 しかし、2歳時のGIIIサウジアラビアロイヤルC(東京・芝1600m)で3番手からレコード勝ちしているように、同馬はもともと快速先行馬。GI皐月賞(中山・芝2000m)でも好位から抜け出して、コントレイルにコンマ1秒差の接戦を演じています。

 新たにコンビを組む松山弘平騎手も1週前の追い切りにまたがって、『(サリオスは)乗りやすいというのもありますし、瞬発力だったり、いろいろなものを兼ね備えている馬。レースでは長くいい脚を使える印象があります』と好感触を得ていました。コース形態の後押しを受ける積極策に出れば、押し切りがあっていいでしょう」

「2強」が強さを発揮して堅い決着になるのか。はたまた、思わぬ馬が激走を見せるのか。今年の古馬戦線を占ううえでも注目の大阪杯は見逃せない。