ドラフト上位最有力、市和歌山の小園健太投手は堂々の4安打完封勝利

 第93回選抜高校野球は23日、大会4日目を終えた。第1試合では市和歌山(和歌山)が県岐阜商(岐阜)に1-0でサヨナラ勝利。今秋ドラフト1位候補の小園健太投手が最速147キロの直球を武器に4安打完封で勝利した。憧れの場所に立ったプロ注目右腕が明かした直球よりも“まっすぐ”な思いとは……。【市川いずみ】

「一番…大好きです」――。今大会注目右腕の市和歌山・小園の突然の告白。最速152キロ右腕はハートも驚くほどのまっすぐさだった。

 184センチ、90キロ。最速152キロのストレートはもちろん、多彩な変化球に安定した制球力。小園健太はどれをとっても一級品と言われる。プロ野球選手はあくまで小さいころの夢だった。しかし、それがプロ注目右腕と言われ、現実味を帯びてきたのはボールを受け続けてくれた相方の一言があったからだ。

「松川に誘われて市立和歌山に来てよかったと思います」。主将の松川虎生捕手とは貝塚ヤングのチームメート。中学1年生からバッテリーを組み、今年で6年目を迎える。進学する高校を迷っていた小園だったが、松川からの1本の電話でその迷いは消えた。

「虎生に一緒に甲子園行こうって誘われたのが本当に嬉しくて。もう俺決めるわっていいました」

 松川にとって、夢を叶えるには小園の力が必要だった。

「中学の時からバッテリーを組んでいて、僕が見た中で1番いい投手だったんで、中学校では終わりたくないっていう思いが大きかった。高校でも甲子園という舞台でバッテリーを組みたいなと思って誘いました」

小園にとって松川は…「僕の野球人生を大きく変えてくれた存在」

 松川も178センチ、98キロ、高校通算31本塁打という強打の捕手。豪腕と強打、2人の夢は“甲子園でバッテリーを組むこと”だった。

 昨秋は県内最大のライバル・智弁和歌山とは公式戦で3度対戦し、全勝。近畿大会でベスト4に入り、選抜出場を手にした。甲子園への切符を手にしたこの冬で、夢はまた一つ大きくなった。甲子園でバッテリーを組み、勝つことだ。

 半田真一監督が「いつも小園が松川に寄って行っています」と証言するように、常に一緒の2人。お互いがどんな存在か尋ねてみた。

「野球でも一番頼りになる存在ですし、僕の野球人生を大きく変えてくれた存在であるので、一番…大好きです」

 小園がストレートな言葉を投げると、「一番信頼している、頼りにしている投手なので、いつも感謝しています。俺も大好きです」と松川もしっかりと相方のボールを受け止めた。

 今日、2人が被る帽子のツバには同じ言葉が認められていた。“最高のバッテリー 勝利”。お互いの帽子に書きあった。大会前には「すごくワクワクしていますけど、県岐阜商もすごく振ってくると思うので、健太と話をしながらどんどん攻めていきたいと思います」と松川は警戒していたが、試合巧者の鍛治舎巧監督率いる相手打線を見事に完封。小園は松川と描いていた夢が、最高の結果で叶った。

 今大会屈指のバッテリーの夢の時間。まだまだ終わらせない。(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。元山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。NHKワースポ×MLBの土日キャスター。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。