5点リードで迎えた試合終了間際、自陣22メートルエリアで相手SOの山沢拓也によるキックパスへ反応。ほぼ中盤から右端へ駆け、ジャンプ一番、手を伸ばす。「マーク」と叫びながらの捕球で、自軍のフリーキックを得られる「フェアキャッチ」を成立させた。

 2017年1月29日、東京・秩父宮ラグビー場。おこなわれていたのは、日本選手権の決勝。パナソニックに15-10で辛勝したサントリーにあって、日本代表でもある松島幸太朗はやはり光った。

 激戦を振り返る言葉には、安堵、充実感がにじんだ。

「選択肢の多い試合でした。相手が何をしてくるか、考えなければならないことが多かったので大変でした。お互いの持ち味、気迫が出て…。楽しめました」

 後半10分。敵陣10メートル線付近、右タッチライン際。まずは鋭いキック捕球したパナソニックの福岡堅樹へ、対面にあたる中靏隆彰が刺さる。福岡は近くへ寄ってきた味方の森谷圭介へパスを出すが、その森谷の走路を松島が防ぐ。タックル。

 森谷を倒した松島はすぐに起き上がり、身構える。バウンドしたボールを拾った林泰基へ、鋭く、飛びかかる。そのまま白線の外へ押し出したのである。

 間もなく攻撃権を得たサントリーは、ラインアウトを起点に球を揺り動かす。敵陣中盤真ん中あたりから右へパスを回すと、受け取った松島がまた魅せる。ともに身長190センチ以上のヒーナン ダニエル、谷田部洸太郎の間へ、前傾姿勢で仕掛ける。前に出る。

 守るパナソニックのヒーナンが、肩より上にタックルする「ハイタックル」の反則を取られた。サントリーはペナルティキックを獲得し、小野がゴール成功。9-3。

 この時、後半15分。大一番における約4分間の重要局面で、松島は印象的な仕事を続けて遂行した。試合後、ハイタックルを食らった際のランをこう振り返っていた。

「まずは、強いプレーを選択しよう、と。点差を広げてから、自分たちのアタックを…。全員がそういう考えでした」

 休む間もなく、国際リーグのスーパーラグビーへの準備を始める。日本代表と連携するサンウルブズへは、2月1日から合流する。

 実は国内シーズン中から、オフ期間におこなうような筋量アップを計画。「いまは(現状のウェイトに)慣れていないことで疲れる部分もあるんですが、慣れてきたら結果がついてくる」。12月に故障を負った身体を丹念に整え、バージョンアップを証明したい。(文:向 風見也)