昨シーズン、ヤクルト打線のストロングポイントは、2番・青木宣親、3番・山田哲人、4番・村上宗隆が並ぶところにあったが、…
昨シーズン、ヤクルト打線のストロングポイントは、2番・青木宣親、3番・山田哲人、4番・村上宗隆が並ぶところにあったが、一方でそのあとに続く「5番打者」が固定できず、ウィークポイントとなっていた。はたして、今シーズンはどのような並びで得点力アップを狙うのか。また、不安が残る投手陣をどのように立て直すのか。キャンプ終盤に高津臣吾監督に話をうかがった。

監督就任2年目を迎えたヤクルト・高津臣吾氏
── 今年も村上選手を中心とした打線になる感じでしょうか。
「そうですね、4番は村上です。その前については、2番に青木、3番には(山田)哲人が入る。今年もここが打線の中心だと考えています」
── 昨年、村上選手は4番としてフル出場を果たしました。
「本当によく打ってくれたし、たくさん打点も上げてくれました。でも、4番とエースはチームの勝ち負け、優勝するかどうかという部分に大きく関わってくるポジションだと思っているので、村上への要求はもっと高いところにあります。
本当にチームの勝敗を握る選手として、哲人や青木のようにしっかりとグラウンドに立って、振る舞えるのか。そこがまだわからない部分なんです。21歳の彼にそこまで責任を背負わせるのは酷かもしれませんが、それくらいの選手だと思っています」
── キャンプでの村上選手の姿を見て、4番の貫禄が増しているように感じました。
「いえいえ、体が大きいだけです(笑)。でも、4番打者として体が大きいことは大事なこと。相手にすごいプレッシャーをかけることができると思っています」
── 昨年、村上選手は「不動の4番」でしたが、そのあとを打つ5番には10人の選手を起用するなど、最後まで固定することができませんでした。
「5番打者には結果はどうであれ、相手投手に4番(村上)と勝負させる存在となる役割を求めていたのですが......。去年、打線のなかで本当に迷ったポジションでした。結果として、チームの得点力不足に直結したのは間違いないですね。村上は四球をたくさん選べるようになり、出塁率も高かったので、哲人や青木を5番にすればもっと打っていたと思います。でも、僕としてはふたりを5番に置くことはしたくなかった」
── そうなると村上選手の前が弱くなってしまう。つまり、現実としてピースが足りなかったということでしょうか。
「結果的に一部の選手は大きな数字を残すことができましたが、打線のつながりを考えた時に全員が打たなくても点が取れるだとか、長打がなくても点が取れるという部分が欠けていました。そこを埋めるために、ドミンゴ・サンタナ、ホセ・オスナという新外国人選手と、内川(聖一)を獲得したので、得点力は間違いなく上がると思っています」
── たしかに、5番を埋めるための補強だと感じました。サンタナ選手はメジャーで2017年に30本塁打、2019年にも21本塁打を放っており、内川選手もソフトバンクで4番を務めたほどの打者です。
「5番候補というのも大事だったのですが、じつは外国人選手の補強に関しては、守備のポジションから考えました。こことここのポジションに外国人がほしいとなった時に、外野手のサンタナ、内野手のオスナとなりました。守備から考えて、結果として内川も入ってくれたということです」
── この3人が入ることで、村上選手が三塁でも一塁でも対応できます。
「村上が三塁を守る時は一塁に内川が入って、村上が一塁の時は......シーズンが終わったらもう少し踏み込んだことを話せると思うので、今のところはここまでにしておいてください(笑)」
── 期待の新外国人選手ですが、コロナ禍の影響で来日のメドが立っていません。
「動画で現状の確認はしています。一生懸命練習していることが伝わりますし、スイングもしっかりしていました。それに投手のサイ・スニードとリック・バンデンハークもピッチングができている。あとはビザが発給されて入国できるどうかだけです」
── 現状、5番は内川選手ということになりますか?
「そうですね。内川がそこに入るだけで、相手にプレッシャーをかけられる。相手バッテリーが4番と勝負せざるを得ない状況をつくれる打者ですからね。それに、村上にかかるプレッシャーも軽減してくれると思っています」
── 高津監督が現役だった1997年、ヤクルトは広島を自由契約となった小早川毅彦選手を獲得。巨人との開幕戦で小早川選手が5番に入り、斎藤雅樹投手から3打席連続本塁打を放ちました。そしてその年、チームはリーグ優勝を果たしました。
「あの試合は覚えています。開幕戦で小早川さんが打って、チームが波に乗ったというのはあります。そんなことがまた起こるかはわかりませんが、『内川が入って勝てたね』という存在であってほしいですね。このキャンプでもバッティング練習する姿であったり、若い選手たちにいろいろな刺激を与えてくれたと思います」
── 6番以降も新外国人のふたりが加われば、より強力になります。さらに、昨年は手薄だった代打陣にも厚みが出てきます。
「そうですね。あとはキャッチャーに誰が入るか......ですね。投手も含めた打線というのを考えたときに、キャッチャーの打力というのも大事だと思っています」
── 不安の投手陣についてもお聞きします。
「結局、そこになりますか(笑)。やはり、僕は投手出身なので心配事の多くはピッチャーのことです。現実的に(小川泰弘、アルバート・スアレスに続く)3番手以降の先発が決まらない状況です。何も決まっていない状態でキャンプに入り、そのなかで『競争、競争』と言い続けてきました。
たしかに、競争はしてくれていますが、高いレベルでの競争と言えるのかどうか......。もっと相手打者、チームメイトを意識して、根性野球じゃないですけど、しがみついてでも残っていくという強い精神力が必要なんじゃないかと思います。ウチの投手陣は脆さ、弱さ、優しさがあるような気がします」
── 今年のキャンプはバッテリー力の向上につながればと、OBの古田敦也さんを臨時コーチとして招かれました。
「今回、古田さんに来ていただいて思ったことがありました。あの頃って(90年代のヤクルト)、ワイワイ楽しくやっていても、『絶対にジャイアンツを倒すんだ!』『野村(克也)監督の要求に応えてやるんだ!』と闘志むき出しでやっていた。今のピッチャーには『オレが何とかしてやろう』という気持ちが少ない感じがします。結果がよくないからそう見えるかもしれませんが、僕らが現役の頃はもっと歯を食いしばってやっていましたね」
── 監督として2年目のシーズンとなります。昨年のこの時期に話を聞いた時は「勝ちますとはまだ言えませんが......」と話されていました。
「失敗を糧にして、去年と比べれば監督としてしっかりできているんじゃないかと思っています。こういうことはあまり言いたくはないのですが......。去年は本当に悔しい思いをしたので、牙をむき出しにしてやっていきたいです」