春の訪れを告げるセンバツ高校野球大会が、3月19日に開幕する。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響によって春夏の甲子園大会が中止となっただけに、今回のセンバツを心待ちにしているファンは多いのではないだろうか。

 センバツといえば、かつては投手力の高いチームが有利とされ、事実、投手戦が多かった。だが近年は、投手力だけでなく打力も備わっていなければ勝ち上がることは難しい。



石川昂弥の投打にわたる活躍で2年前のセンバツを制した東邦

 一昨年のセンバツで優勝した東邦(愛知)は、投打で活躍した石川昂弥(中日)を筆頭に、巧打者の熊田任洋(早稲田大)、吉納翼(早稲田大進学予定)らを擁し、5試合で32得点を叩き出した。「春は投手力」という言葉は、今や遠い昔のことのように聞こえる。

 こうした状況に、現場で指揮を執る監督たちはどう感じているのだろうか。2014年に当時2年生だった高橋奎二(ヤクルト)らを擁して、センバツを初制覇した龍谷大平安(京都)の原田英彦監督はこう語る。

「以前、ウチは京都府亀岡市のグラウンドを使っていたのですが、寒い日が続くとセンバツに向けて調整するのがすごく難しかったです。とくに投手は、実戦感覚を養うのに時間が必要で、さらに気温が低いとケガのリスクもあるので思うように投げ込めない。

 あとは野球道具の進化も大きいと思います。現役時代に使っていたバットを今でもグラウンドに置いているんですけど、昔のバットは今のものと比べると鉄の棒のような感じなんです。それくらい道具の進化は大きく、プレーにも影響しています」

 2015年にエースで4番の平沼翔太(日本ハム)の活躍により、北陸勢で初となるセンバツ制覇を果たした敦賀気比(福井)の東哲平監督も、センバツでの投手の調整の難しさを明かす。

「ウチのような雪の多い地域の場合、冬の時期はほとんど屋外で練習できません。気温も低く、ケガのことを考えるとブルペンで投げることは難しい。室内練習場でも投げ込みはできますが、屋外とは感覚が違います。やはり、外でしっかり投げて感覚をつかむことが大事だと思っています。

 打者については、技術に大きな変化はないと思いますが、トレーニングの進化でパワーがついて、少々詰まってもスタンドに放り込めるバッターが増えました。そういった意味でも、打者優位の状況になっているのではないでしょうか」

 2016年のセンバツで、エース・村上頌樹(しょうき/阪神)の快投で初優勝した智弁学園(奈良)の小坂将商(まさあき)監督は、近年の"ある変化"を感じ取っていた。

「センバツは投手力だけでなく、守備力も大切だと思いますが、近年はバッティングマシーンの進化もあり、打つ量が劇的に変わってきました。それによって、どこのチームも打ち勝ちたいという意識が強くなっているように思います」

 ここ十数年で大会前から"剛腕"と騒がれ、優勝した投手は2009年の清峰(長崎)・今村猛(広島)や、2012年の大阪桐蔭・藤浪晋太郎(阪神)くらいで、好投手を擁したとしても勝ち抜くのは容易ではなくなっている。

 さらに昨年から、投手は1週間500球以内という"球数制限"が設けられことも打力強化の流れに拍車をかけているのかもしれない。

 2年ぶり開催となるセンバツ大会は、投手を中心とした守備力のチームが勝つのか、それとも攻撃力あるチームが制するのか。その行方からも目が離せない。