3歳牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(中山・芝2000m)と同じ条件で行なわれる前哨戦、GII弥生賞ディープインパクト…

 3歳牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(中山・芝2000m)と同じ条件で行なわれる前哨戦、GII弥生賞ディープインパクト記念(中山・芝2000m)が3月7日に行なわれる。同レースは、皐月賞に限らず、クラシック全般を占ううえでも重要な一戦となる。

 過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は4勝、2着2回、3着0回、着外4回。可もなく不可もなしといった印象で、堅く収まる時もあれば、極端に荒れる時もあるレースと言える。事実、2013年、2019年には3連単で45万円超えの高配当が生まれている。

 また、ここ最近は人気どおりに収まった時と波乱となった時とが交互に訪れている。そして昨年は、3連単の配当が1510円と非常に堅い決着となった。

 そうなると、今年は"荒れる"順番となるが、今回は断然人気が予想されるダノンザキッド(牡3歳)が出走。無傷の3連勝でGIホープフルS(12月26日/中山・芝2000m)を制して、ここでも付け入る隙はなさそう。現に中日スポーツの大野英樹記者はこう語る。

「ダノンザキッドは、ホープフルSでも若さを見せながら快勝。まだまだ奥がありそうです」

 ただし、大野記者はそう言いながら、ダノンザキッドを絶対的な存在とは見ていない。

「ホープフルSは勝ち時計が2分2秒8と地味な決着でした。しかも、ダノンザキッドの手前替えがうまくいっていない点も気になりました。本番は先、ということも考えれば、今回あたりは"綻び"が生まれる可能性があります」

 そう語る大野記者は、ダノンザキッドを脅かす候補として、外国産馬のゴールデンシロップ(牡3歳)を推奨する。

「前走の未勝利戦(2月14日/東京・芝1800m)でマークした勝ち時計1分46秒7は、同日のGIII共同通信杯の勝ち時計1分47秒6を大きく上回るものでした。それも、好位で行きたがるところを我慢させて、早めに抜け出しての勝利。あのレースができるのは、前哨戦において大きな武器となります」

 とはいえ、未勝利を勝ったばかりの馬。世代屈指の実績馬ダノンザキッド相手に太刀打ちできるのだろうか。大野記者はにんまりして、こう続ける。

「ダノンザキッドは本番を見据えて、行きたがるところを抑えてくるはず。となれば、先手、先手で攻める競馬を心がければ、2歳王者を出し抜くことも可能と見ています」



弥生賞での一発が期待されるゴールデンシロップ

 ゴールデンシロップについては、日刊スポーツの松田直樹記者も注目しているそうだ。

「東京・芝1800mの未勝利戦を勝ったばかりですが、その勝ちっぷりがいい。共同通信杯よりも1000mの通過タイムが1秒6も速い流れのなか、道中4番手を進んで、4角2番手から上がり34秒1の脚を繰り出して快勝。その内容はかなり濃いです。

 また、昨年末以来のAコース使用となった中山の、先週土日の芝レースは、前残りが顕著に出ていました。全体的にそれなりに時計も出ていて、重賞の中山記念はレコードタイでの決着でした。

 そうした状況から弥生賞の狙い目も、前に行って速い脚も使える馬、と思った時に『この馬の出番だ!』と思いました。前残りが顕著な芝にあって、積極的に動く形に持ち込めれば、一発あってもおかしくありません」

 松田記者はもう1頭、「ダノンザキッドに続く人気でも、伏兵扱いになりそう」として、2戦2勝のシュネルマイスター(牡3歳)も逆転候補に推す。

「前走の1勝クラス・ひいらぎ賞(12月19日/中山・芝1600m)を勝った翌週、同馬を管理する手塚貴久調教師が『どこかで重賞は勝つと思うよ』と自信たっぷりに語った逸材です。同厩舎にはひいらぎ賞と同じ週に行なわれたGI朝日杯フューチュリティS(7着)に参戦したドゥラモンドもいますが、その後、両者の評価は逆転したような印象を受けました。

 なにしろ、シュネルマイスターはノーステッキで中山のマイル戦を3馬身差の圧勝でしたからね。直線で進路が空いた瞬間に伸びた、その瞬発力は相当なものでした。初戦は3角からまくって、早め先頭で勝利。毛色の違う競馬で勝っていることからも、底が知れません」

 初戦は1500m戦、2戦目が1600m戦。初の2000m戦となる今回、距離面での不安はないのだろうか。その点について、松田記者はこう語る。

「父は欧州でマイルGI4勝のキングマン。その産駒ということで、2000mには距離の壁があるように見られていますが、母セリエンホルデはドイツオークス(ドイツ・芝2200m)の勝ち馬です。2ハロンの距離延長にも対応できる血統的な下地はあります。

 加えて、手塚調教師も『鞍上の指示に従順だし、追えば追うほど伸びる』とコメント。2000mの距離は十分にこなしてくれるでしょう。

 また、弥生賞は本番とは大きくペースが異なって、1000mの通過タイムが本番の皐月賞より遅くなることがほとんど。全馬が死力を尽くすGIよりもスローになるのが定番で、ラスト3ハロンで最速、あるいは最速タイの末脚を使った馬が好走するのが例年の傾向です。

 そうやって流れが落ち着くレースとなれば、距離への対応はさらに高まりますし、ダノンザキッドの"1強"という見立てが濃くなればなるほど、この馬への馬券的な妙味も増していくと踏んでいます」

 はたして、ダノンザキッドが再び強さを見せるのか。それとも、取りこぼすようなことがあるのか。もし敗れることがあれば、クラシックへ向けての勢力図は大きく変わることになるだろう。その大役を果たす馬が、ここに挙げた2頭であっても不思議ではない。