全治2~3週間も再発の可能性が高いやっかいな箇所 イタリア1部セリエA、ボローニャは日本代表DF冨安健洋が左ヒラメ筋損傷…

全治2~3週間も再発の可能性が高いやっかいな箇所

 イタリア1部セリエA、ボローニャは日本代表DF冨安健洋が左ヒラメ筋損傷で全治2~3週間の離脱となることを発表した。近年増加傾向にあるトップアスリートのヒラメ筋の負傷。サッカー元日本代表MF中村俊輔(横浜FC)の個人トレーナーを務める芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院の新盛淳司院長が治療法が確立していないという現状を解説。再発を繰り返し、最悪の場合、引退に追い込まれるという知られざるリスクに警鐘を鳴らしている。

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 ヒラメ筋とは、ふくらはぎの深くにある筋肉で、アスリートがよく肉離れする箇所です。サッカー選手のみならず、テニスやバドミントンなどの選手にも多い肉離れです。ふくらはぎの肉離れは近年、世界的に問題となっています。最大の理由は、治療法が確立されていないことです。そのために再発するケースが多く、最悪の場合、引退に追い込まれる選手もいるからです。

 なぜ再発が多いのか。原因は様々ありますが、負傷初期段階の評価が難しい事が一因と考えてます。

 肉離れからどれくらいの期間で競技に復帰できるかについては、腱の損傷程度が重要になります。筋肉はゴムのイメージ、腱はヒモのイメージです。筋肉とは素材が異なり、硬くて、血流が少ない腱の部分の損傷は、筋肉の損傷より治癒に時間がかかります。

 MRIなどの検査で腱の損傷評価が行われますが、ヒラメ筋は筋肉が深部にあるので見えにくかったり、腱膜と呼ばれる腱組織が薄い膜状に筋肉にはりついている箇所もあるので、怪我の具合を評価するのが難しいケースもあります。

 そして、ヒラメ筋の腱の損傷は、痛みが少ない場合も少なくありません。ストレッチされにくい筋肉でもあるので、組織が十分に修復されていなくても、痛みが弱まるのです。治ったわからない状態で運動してしまうと再発するリスクは高まります。

初期の評価が難しいケガ、時間をかけて治すことが必要

 ヒラメ筋の損傷に関しては、治りにくいケガであること、初期の評価が難しいケガであることを理解することが大切です。その上で時間をかけてしっかりリハビリすることが必要。痛みがなくなってもすぐに復帰せず、時間をかけて少しずつ負荷を上げていくことが重要です。

 冨安選手は2019年と20年にハムストリングの肉離れを起こしています。今回との因果関係はわかりませんが、毎年何かしらの肉離れをしている選手は注意が必要です。例えば、休養が少ないとか、疲労が溜まりやすいとか、体の機能が低下している部分があるかもしれません。そういった状況での肉離れは余計に時間をかけてしっかり治す必要があります。

 今回はチームから2、3週間の離脱が発表されています。イタリアでの活躍は見事ですが、日本代表にとっても欠かせない選手です。早期復帰を期待されていると思いますが、再発防止が大事です。選手生命に関わるケガにならないように、焦らず、しっかりとコントロールして復帰してほしいと願っています。(THE ANSWER編集部)