女子ツアー注目の「プラチナ世代」に迫る(5)安田祐香インタビュー(前編)昨年から続く女子ツアーの2020-2021シーズンは、3月4日開幕のダイキンオーキッドレディスからリスタートとなる。『ミレニアム(プラチナ)世代』の顔として注目を集めた…

女子ツアー注目の「プラチナ世代」に迫る(5)
安田祐香インタビュー(前編)

昨年から続く女子ツアーの2020-2021シーズンは、3月4日開幕のダイキンオーキッドレディスからリスタートとなる。『ミレニアム(プラチナ)世代』の顔として注目を集めた安田祐香は、プロデビューを果たした昨年を「苦しい1年でした」と振り返ったが、20歳になって迎える2021年での巻き返しを誓った――。



――充実したオフを過ごせたのか、身体が大きくなったような気がします。

「それは、会う人、会う人に、よく言われますね。うれしいです」

――オフの間には東京に来られることもあるようですね。

「はい。整骨院での身体のメンテナンスが目的です」

――オフシーズンには、暖かい場所で合宿を行なう選手も多いですが、安田選手は地元で調整を続けています。

「基本的には地元のゴルフ場で練習して、トレーニングを週に1、2回、こなしています。ジュニアの頃からの友人や、プロを目指している若い子たちと一緒に練習することもあれば、ひとりで黙々と練習する日もあります。坂田(雅樹)コーチに来てもらった時は、一緒にラウンドしたりしていますね」

――オフは日々、かなりの練習量をこなしてきたのでしょうか。

「オフだからといって無理に追い込んでトレーニングや練習をすることはなく、普段と変わらず、自分の体調をしっかりと把握しながら、やる時はしっかりやって、休む時はしっかり休む。ただ、ひとりでコースに出たら、3人分ぐらいプレーしていると思います」

――飛距離に関してはドライバーでこれぐらいとか、具体的な目標の数値があるのですか。

「トータルの距離を伸ばしたいんですけど、まずはキャリーの数値を高めていきたい。試合になると(ドライバーのキャリーは)だいたい220ヤードぐらいなんですけど、コースが長くなってきている今のツアーでは、バンカー越えのコースなどを想定した時、やっぱりあと5ヤードぐらいはキャリーを伸ばしたいと思っています」

――その点を含めて、身体を大きくしてきたのでしょうか。

「そうなんですけど、正直、昨年に減ってしまった体重を戻すだけでも大変で......」

――昨年は体重減に悩まれていたのですか。

「(新型コロナウイルス感染拡大の影響で)試合数は少なかったですけど、トーナメントを戦っていくなかで、気づいたら、端から見てもわかるぐらいに体重が落ちていました。いろんな方に『痩せたね』と言われましたね。

 減った体重はベストから4kgぐらい。幸い、飛距離に影響はなかったですけど、オフの期間を含めて、とにかく体重を戻すことだけで精一杯でした」

――体重が減った要因は何だったのでしょうか。初めての経験ばかりの生活でストレスもあったのでしょうか。

「アマチュアの時から連戦は経験していましたし、その頃は体重が減ることなんてありませんでした。高校生の頃は、何をしても増えていくだけだった(笑)。はっきりした原因はわからないですけど、1年目ということで、ゴルフ技術のコントロールよりも、生活のコントロールが大変だったことは間違いないと思います。食べる量も減っていたかもしれません」

――9月にはトレーニング中に頸椎を捻挫して、日本女子オープンなど数試合、休むことになりました。首のケガも体重が減ったことと関係あるのでしょうか。

「連戦のなかで、休養を挟みながらトレーニングをしていたんですけど、下半身が疲れていて、上半身がそれをカバーしようとしてケガをしてしまったんだと思います。体重が減ったからケガしたわけでも、ケガによって体重が減ったわけでもないと思います。

 ただ、体重が減ったことで、自分ではできていると思っていたスイングが、実際は動きが鈍っているようなことはありました。やっぱりショットのキレに影響は出ていたと思います」

――「プロとして"線が細い"」などと指摘するメディアをよく目にしますが、誰よりご本人が気にしているであろうことを、わざわざ指摘しなくても......と常々思ってしまいます。

「ハハハハッ(笑)。そうした声も気にはしていますけど、成績を残すことができれば、線が細くてもプロとして戦っていける、と証明できると思っています」

――"線が細い"とはいえ、トレーニングはきちんと消化されています。

「高校生の頃は、重い器具を使ったトレーニングもやっていましたけど、現在は負荷を減らし、自重(じじゅう)を使った腹筋や体幹トレーニングがメインで、とにかく自分の体格に合ったトレーニングを心がけていますね」

――ところで、残念ながら成人式は開催されなかったそうですが、昨年12月24日に20歳になって、何かしら心境に変化はありますか。

「私としては、ずっと子どもでいたいんですけど(笑)、それも無理な話なので、しっかり責任を持って生活していきたいと思っています。お酒は梅酒が好きです。本当はお店とかで飲みたいんですけど、今はそれができないので、ゆっくり飲める日が来ることを心待ちにしています」

(つづく)



安田祐香(やすだ・ゆうか)
2000年12月24日生まれ。兵庫県出身。身長163㎝。血液型O。アマチュア時代からプロツアーで上位争いを演じてきた『ミレニアム(プラチナ世代)』の代表格。プロデビューとなった2020年はケガなどもあって、不本意な成績に終わったが、2021年での巻き返しが期待される。2020-2021シーズン現在の賞金ランキング56位(獲得賞金821万2266円)