2021年の球春到来——。3月26日のペナントレース開幕へ向けて準備を進めるセ・リーグ6球団。春季キャンプでは若手からベテランまで、各自が様々な思いを持って汗を流した。3月に入ると、いよいよオープン戦が開始されるが、その中でリベンジに燃える男たちがいる。

 不振や怪我によって不甲斐ない成績に終わった昨季からの巻き返しを誓うセ・リーグ球団所属の男たちを、紹介したい。

【写真提供=共同通信】新キャプテンとしてプロ11年目のシーズン臨む山田哲人(ヤクルト)。2月の実戦練習では2本塁打を放ち、昨季からの巻き返しへ向けて準備を進める。

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 並々ならぬ意気込みで今季に挑もうとしている男たち。まず注目したいのが、山田哲人(ヤクルト)だ。2015、16、18年と3度、打率3割、30本塁打、30盗塁の「トリプルスリー」を達成した日本球界を代表するスター。しかし、コロナ禍の昨季はコンディション不良に悩み、出場94試合で打率.254、12本塁打、52打点、8盗塁と、レギュラーに定着した2014年以降、全項目で自己ワーストの成績となった。

 オフには他球団へのFA移籍が取り沙汰されたが、「今までで一番悩んだ」末に7年総額40億と言われる長期の大型契約を結んで“生涯スワローズ”を宣言。同時に主将就任を志願し、プロ11年目のシーズンは今まで以上の覚悟を持って試合に挑む。チームの先頭に立って声を張り上げるタイプではないが、内に秘める闘志は人一倍。

 近年は巨人の坂本勇人、DeNAの佐野恵太、中日の高橋周平と主将就任とともに成績をアップさせている選手が多く、山田にも“主将ブースト”が期待される。

 投手では、大瀬良大地(広島)だ。2018年に15勝7敗、防御率2.62で最多勝と最高勝率のタイトルを獲得してエース完全襲名。翌2019年も11勝を挙げ、昨季も2年連続開幕投手から完投勝利を挙げる好発進を決めたが、その後は状態が上がらずに7月、9月と2度の登録抹消。9月に右肘手術を受け、登板11試合で5勝4敗、防御率4.41でシーズンを終えた。

 昨季5位に沈んだチームの中では、ルーキーの森下暢仁が躍動し、大瀬良と同期の九里亜蓮も奮闘したが、やはりエースの不振は大きなマイナスだった。迎える今季はまず、手術明けの右肘の状態を見ながら2軍キャンプからのスタートとなったが、順調な回復ぶりでブルペン、シート打撃登板と状態の良さを見せて2月20日に1軍合流。同28日の練習試合・日本ハム戦では先発して3回2安打無失点と順調な調整ぶりを見せた。今季から投手キャプテンにも就任しており、リベンジに燃えている。

 広島とは逆に、チームがAクラス入りを果たしながらも、個人的に悔しいシーズンを過ごしたのが、平田良介(中日)だ。チーム生え抜きのスラッガーであり、2018年に主に1番打者として出場して自己最高の打率.329をマーク。サイクル安打を記録し、ゴールデングラブ賞も受賞した。

 しかし、2019年は8月に右手首に死球を受けた影響で出場95試合にとどまると、昨季は開幕4試合18打数1安打でスタメン落ちになり、その後も打撃不振と右肘痛で打率1割台が続き、抹消、登録の繰り返し。最終的に出場55試合で打率.235、3本塁打、17打点と不本意なシーズンとなった。今季はレギュラー争いからのスタートになるが、2年連続のAクラス入り、そして10年ぶりのリーグ優勝のためには32歳となった背番号6の力が必要になる。

 優勝したチームにも、リベンジを誓う男がいる。リーグ随一の強肩を持つ小林誠司(巨人)だ。チーム内で正捕手の地位が危ぶまれた中で迎えた昨季、開幕戦こそスタメンマスクを任されたが、シーズン中に2度の骨折と打撃不振で、出場10試合のみで18打数1安打の打率.056、0本塁打、0打点という自己ワーストの成績で、日本シリーズはメンバー外。この“働きぶり”に原辰徳監督からは「職場放棄」と辛辣な言葉で批判もされた。

 チーム内には大城卓三、炭谷銀仁朗、岸田行倫と強力なライバルがおり、小林自身には他球団へのトレード話も噂される事態にもなり、まさに今季は崖っぷちのシーズン。春季キャンプの練習試合ではドラフト1位ルーキー・平内龍太を好リードしながら自慢の強肩で盗塁を阻止するなど存在をアピールしている。現状、捕手併用が予想されるが、その中で数字にこだわるシーズンにしなければならない。

 中継ぎ投手では、守屋功輝(阪神)の名前を挙げたい。Honda鈴鹿から入団4年目の2019年にブレイクし、57試合登板で2勝2敗7ホールド、防御率3.00の成績を残し、チーム2年ぶりのCS進出に貢献した。だが、セットアッパー定着が期待された昨季は、開幕直後に右肩痛で戦線離脱となり、結局は3試合登板のみで、0勝0敗、防御率11.25と前年から大きく成績が悪化。契約更改では、ほぼ減額制限上限の大幅ダウンとなった。今年の春季キャンプも2軍スタートとなったが、練習前の声出しでは「監督を自分の手で胴上げ」することを宣言。球威抜群のストレートを復活させ、再び甲子園のマウンドで躍動するつもりだ。

 最後の一人は、山﨑康晃(DeNA)だ。プロ入り以降、不動の守護神として働いて2年連続でセーブ王にも輝いた日本屈指のクローザーだが、昨季は開幕から不安定なピッチングを繰り返して7月末に中継ぎ降格。10月には不振では初の2軍落ちとなり、最終的に40試合登板で0勝3敗6セーブ、防御率5.68という不甲斐ない成績に終わった。本人も危機感を持ち、オフの間もトレーニングを重ねて昨季よりもスリムな体型でキャンプイン。

 2軍スタートとなったが、初日からブルペン入りし、2月22日の実戦初登板では最速146キロで1回を1安打無失点に抑えて好感触。現時点で通算200セーブまで残り31という状況の中、信頼回復と守護神奪取へ向けた勝負のシーズンが始まろうとしている。

 果たして、この中で誰が“リベンジ成功”できるのか。悔しさは晴らすためにある。ここに挙げた選手たち以外にも、多くの選手が昨季の反省と課題を手に今季の開幕を迎える。その中で劇的な“リベンジ劇”が生まれれば、2021年のセ・リーグはさらに盛り上がるはずだ。