2021年の球春到来——。3月26日のペナントレース開幕へ向けて準備を進めるセ・リーグ6球団。春季キャンプでは各球団が実戦形式の練習に入っており、その中にはレギュラー奪取からブレイクを目指す若手たちが多くいる。

 前回は「新人王争い」にテーマを絞ったが、今回はプロ2年目以降で新人王の資格(投手:30イニング以内、野手:60打席以内)を失った者たちの中から、2021年の注目の新スター候補を探したい。

【写真提供=共同通信】有望な高卒入団の若手が多く揃う中日野手陣の中でも石川昂弥への期待は大きい。春季キャンプでは立浪和義臨時コーチからも打撃指導を受けた。その天性の長打力で大ブレイクのシーズンにできるか。

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 プロ野球では毎年、新たな選手が頭角を現し、ペナントレースを沸かせてきた。昨季のセ・リーグで言えば、新人王を争った森下暢仁(広島)と戸郷翔征(巨人)だけでなく、大卒4年目で自身初の規定打席到達を果たすと同時に首位打者に輝いた佐野恵太(DeNA)を筆頭に、プロ5年目で自己最多の88試合に出場してリーグトップの盗塁阻止率.455を誇った木下拓哉(中日)や自慢のスピードを武器にシーズン途中からレギュラーを確保した松原聖弥(巨人)などが飛躍のシーズンを過ごし、オフの契約更改では大幅アップを勝ち取った。

 では、今季は誰がブレイクするのか。昨季の佐野に続きたいのが、今季が高卒5年目となる細川成也(DeNA)だ。茨城・明秀学園日立高から2016年のドラフト5位で入団すると、高卒1年目にデビュー2試合連続本塁打の離れ業。同期入団の佐野が9位指名で、最初に注目されたのも細川が先だった。以降、毎年のようにブレイク候補として名前が挙げられるも、1軍出場試合数が1年目から2、11、36、19で、本塁打数は2、1、1、1と停滞。

 だが昨季はファームで本塁打、打点、最高出塁率の三冠を獲得するなど成長の跡を見せており、あとはキッカケをつかむのみ。ロペスが退団、梶谷隆幸がFA移籍した今季が、その大きなチャンスだと言える。同じ右のスラッガーである伊藤裕季也(DeNA)と争い、切磋琢磨しながらスターへの道を歩み始めることができるか。

 特大アーチを放つ魅力的なスラッガーは、他にもいる。高卒2年目の石川昂弥(中日)だ。東邦高の主砲として名を鳴らし、2019年のU-18W杯では全試合で日本代表の4番に座った逸材。ドラフト1位指名を受けてプロ入りすると、高卒1年目から1軍で14試合に出場した。結果的には41打席に立って打率.222、0本塁打、1打点とプロの壁にぶつかることなったが、1年目から大きな経験を積めたことは間違いなくプラス。

 オフの自主トレでは日本の4番・鈴木誠也(広島)の自主トレに参加して多くのものを学ぶと、今年の春季キャンプではチーム初の紅白戦に紅組の「4番・三塁」で出場して両軍初安打となるセンターオーバーの2塁打を放った。新人王の資格を持つチームメイトの石垣雅海、岡林勇希、根尾昂らに負けることなくアピールを続け、まずはプロ初アーチ。そこから一気にブレイクを果たしたい。

 その他、大卒3年目の大盛穂(広島)も飛躍の予感を漂わせている一人。静岡産業大から育成ドラフト1位指名で入団して2年目の2020年から支配下へ。俊足が自慢で広い守備範囲を誇る外野守備は一級品で華があり、昨季は1軍73試合に出場して打率.259、2本塁打、16打点、5盗塁と今後へ期待が持てる働きを見せた。そのうち、スタメン出場は25試合。春季キャンプからアピールして、開幕スタメンからレギュラーの座をつかめば、数字は後からついてくる。

 また、大盛以上の圧倒的なスピードが武器の植田海(阪神)、チームのムードメーカーの役割から正捕手争いにも加わっている強肩強打の岸田行倫(巨人)、昨季プロ初本塁打を含む3発を放って大砲の才能を垣間見せた濱田太貴(ヤクルト)、低迷した昨季の借りを返したい高卒3年目の小園海斗(広島)らの活躍にも期待したい。

 投手陣に話を移すと、まず初に名前を挙げたいのが、大卒3年目の梅津晃大(中日)だ。東洋大から2018年のドラフト2位指名でプロ入りした長身大型右腕。150キロを超えるストレートは威力抜群で、ポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。しかし、1年目は右肩痛で出遅れ、2年目は右肘痛でシーズン途中離脱。成績的には1年目が6試合に先発して4勝1敗、防御率2.34で、2年目の昨季は7試合に先発して2勝3敗、防御率3.74だったが、フルシーズン投げることができれば2ケタ勝利は間違いないはず。今年から背負うことになった背番号18に恥じない働きを見せてもらいたい。

 左腕での期待は、大卒4年目の高橋遥人(阪神)だ。亜細亜大から2017年のドラフト2位でプロ入りし、1年目に6試合で2勝3敗、防御率3.63、2年目には19試合で3勝9敗、防御率3.78。3年目の昨季は左肩痛で出遅れた中、12試合で5勝4敗、防御率2.49とは初めて白星を先行させ、防御率も2点台をマークした。このように、すでにある程度の実績は残しているが、持っている能力からすれば、まだ“夜明け前”。伸びのあるストレートを武器に2ケタ勝利を挙げ、エース左腕として胸を張ることが、この男の真のブレイクだと言える。

 左腕ではもう一人、寺島成輝(ヤクルト)にも注目したい。高校時代は履正社高のエース、「高校四天王」と騒がれ、U-18日本代表の中でも投手陣のリーダー的な存在だった。2016年のドラフト1位でプロ入りを果たし、高い完成度で1年目からのローテ入りも期待されたが、相次ぐ故障で不完全燃焼のシーズンが続き、プロ3年間は1軍4試合で0勝1敗の未勝利だった。だが、4年目の昨季は中継ぎで30試合に登板してプロ初勝利もマーク。そして迎える今季は先発に再転向する予定で、春季キャンプではブルペン、シート打撃と目の色を変えて全力アピール中。殻を破るシーズンにできるかどうかに注目だ。