2021年の球春到来——。3月26日のペナントレース開幕へ向けて準備を進めるセ・リーグ6球団。春季キャンプでは早くもルーキーたちを含めた若手のアピール合戦が始まっている。その中から今季、新星は現れるのか。

 今週は、スター選手への登竜門である新人王争いの行方を予想したい。

【写真提供=共同通信】即戦力No. 1の呼び声が高い栗林良吏(広島)。春季キャンプでは6日までに3度のブルペン入りを果たして順調な調整ぶり。新人王の筆頭候補になる。

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 昨季のセ・リーグ新人王争いはハイレベルだった。最終的に大卒ルーキーの森下暢仁(広島)が18試合で10勝3敗、防御率1.91でタイトル争いにも加わる活躍を見せ、全313票中303票を集めて新人王を受賞した。だが、高卒2年目で19試合9勝6敗、防御率2.76と働いた戸郷翔征(巨人)のピッチングは目を見張るものがあり、シーズン52試合登板で30ホールドをマークして最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した大卒2年目の清水昇(ヤクルト)の働きも素晴らしかった。(投票では戸郷が9票で2位、清水が1票で3位)

 今季はどうか。セ・リーグのルーキー勢の中で最も即戦力として評判が高いのが、栗林良吏(広島)だ。愛知黎明高、名城大、トヨタ自動車を経て、ドラフト1位で広島入り。最速153キロの回転数の多いストレートに鋭いフォークとカットボール、さらにカーブも効果的でピッチング全体の完成度が非常に高い。

 その実力は社会人選抜として出場した2019年末の台湾でのアジアウインターリーグで、日本を含めたプロを相手にした快投劇(14回1/3を投げて1勝4セーブ、防御率0.63)で証明済み。春季キャンプでも1軍スタートで初日からブルペン入り。チーム事情で先発かリリーフかはまだ不透明だが、年齢的にも現在24歳で多くの経験を積んでおり、今季の新人王筆頭候補として文句なしに推せる存在だ。

 ライバルは誰になるか。高卒1年目の新人王が1人(1988年、立浪和義)のみという過去の例を考えても、大卒、社会人卒の選手たちが有力候補。その中で推したいのが、慶應大卒の木澤尚文(ヤクルト)。150キロを超えるストレートは間違いなく一級品で、頭脳明晰ぶりも好印象。大学時代から慣れ親しんでいる本拠地・神宮のマウンドで投げられることもプラスになる。

 他の投手陣では、亜細亜大卒の平内龍太(巨人)、東洋大卒の村上頌樹(阪神)、明治大卒の入江大生(DeNA)らが1年目からの活躍が期待できるが、所属チームの投手陣の層を考えると、木澤の前に大きなチャンスが広がっている。

 野手陣では、近畿大卒の佐藤輝明(阪神)への期待が高い。その類稀な長打力は魅力たっぷり。新外国人のロハスが右翼に入るとして、阪神の左翼はレギュラーの候補者こそ多いが絶対的な存在はいない空白地。まだ荒削りな部分があるだけに、プロの投手にどれだけ早く慣れることができるかが重要になるが、オープン戦からアピールして開幕スタメンの座を掴む可能性は大いにあり、そうなれば新人王レースでも主役になることができる。

 中央大卒の牧秀悟(DeNA)も、どれだけ早く自分の居場所をチームの中で見つけられるか。プロ初実戦となった春季キャンプの紅白戦では、初打席初本塁打と早速のアピール。三浦大輔新監督は、昨季主に二塁、一塁、右翼を守ったソトを一塁に専念させる構想を持っており、空いた二塁のレギュラーを牧が掴むことができれば、佐藤と同じく数字は積み重なっていく。

 だが、ルーキーは未知数な部分が多く、その意味では2年目以降の選手たちの方が新人王に近い位置にいる。注目は、高卒2年目の奥川恭伸(ヤクルト)だ。昨季はノースローの時期が長く続き、シーズン終盤に1軍デビューを果たすもプロの洗礼を浴びた。しかし、2軍では能力の高さを見せており、ボール自体もドラフト1位の肩書に相応しいもの。今年の春季キャンプでは1軍スタートから2日目にはブルペン入りして力強いボールを投じており、昨季の経験を糧に一気に飛躍する可能性は大いにある。チーム事情を考えても、コンディションさえ整えておけばチャンスを多くもらえるはずだ。

 同じ高卒2年目では、順調な成長を遂げている本格派右腕・西純矢(阪神)、力強さと柔らかさを兼ね備えたバッティングに、守備、走塁でも高いセンスを感じさせる森敬斗(DeNA)、1年目から力強いスイングで大器の片鱗を見せた石川昂弥(中日)が楽しみな存在。プロ3年目以降の選手にも有資格者が多くおり、投手陣では田中法彦(広島)、直江大輔(巨人)、野手陣では根尾昂(中日)、石垣雅海(中日)といった面々も新人王の資格を持っている。果たしてどうなるか。

まずは安全にシーズンを開幕すること。その中で新たなスターの誕生を楽しみに待ちたい。