月刊バスケットボールで連載しているバスケ英語を楽しむ企画『B IS FOR BASKETBALL』は、3月号誌面ではお休みしており、代わって昨年11月に月バス.comで紹介したノースアラバマ大の鈴木妃乃選手の近況を掲載しました。そこで通常の…
月刊バスケットボールで連載しているバスケ英語を楽しむ企画『B IS FOR BASKETBALL』は、3月号誌面ではお休みしており、代わって昨年11月に月バス.comで紹介したノースアラバマ大の鈴木妃乃選手の近況を掲載しました。そこで通常の企画は前月に続いてウェブで公開します。鈴木選手とジェイラ・ロバーツ選手のインタビュー映像で、締めくくりに2人が披露してくれた掛け合いのライムから、hitという単語を少し深堀りしてみます。
インタビューの終盤約2分間で2人の英語アクティビティーが聞けます(写真をクリックすると閲覧できます)
ボールと人やゴールが「出くわす」状態を表すhit
野球でヒットと言えば「安打」だし、エンタメの世界でなら大成功した作品を「ヒット作」というように、hitという単語は日本でも、バスケットボールをしていなくても多くの人がなじみのある単語ではないかと思います。ではバスケの世界ではどんな捉え方か…というのを調べてみました。
🏀今月の表現: hit
発音の目安… 発音記号 hít/ ヒット
バスケットボールでの意味… ショットを入れる/パスを送る/体をぶつける/登場する など
言葉の起源… スカンジナビア半島などで使われたゲルマン祖語で「出会う」、「出くわす」などの意味を持ったhittaが語源と考えられる
hitは音節が一つしかないので発音は簡単でしょう。意味と使い方の感覚さえなんとなくわかれば、会話の中で使いやすい単語ではないかと思います。鈴木選手とロバーツ選手の掛け合いをぜひチェックしてみてほしいのですが、ロバーツ選手が2度、違う意味で使っています。
ヒナ ヒッツ ジェイラ アッ ディ コーナー
Hina hits Jaila at the corner.
シー テイクス ア ジャンパー フォー ザ ウィン
She takes a junper for the win,
アンド シー ヒッ ツィッ
and she hits it.
ロアー ライオンズ
Roar Lions!
全体の意味は「ヒナがコーナーのジェイラにパスを送る/勝利のかかったジャンプショットだ/決まった/吠えろ、ライオン!」のような流れで、最後の「Roar Lions!!」はチームのニックネーム「Lions」を取り入れたノースアラバマ大の実況における決めセリフです。彼女たちの試合のラジオ中継は日本からもインターネットラジオで聞くことができますので、興味があったら試合まるごとぜひ聞いてみてください(すべて英語の中継です)。
hitに関しては、1行目はパスの、3行目はショットと異なる動作を指しますが、どちらもボールがみごと標的に「命中」していることが共通項です。
ほかにも例えばピック&ロールで、ボールハンドラーにマッチアップしているディフェンスにピッカーが体を寄せていく場合にもhitが使われるのを聞いたことがあります。「右のエルボーで彼にピックを仕掛けろ」と言いたければ「hit him at the right elbow」でいけます。また、例えば「James hit the floor for the first time in this season」と言えば「ジェームスは今シーズン初登場でした」と、まったく異なる意味になります。ピック&ロールの場面ではディフェンダーめがけて動いたピッカーがねらいどおりに体を「命中」させるのであり、「初登場」の方は、きちんと試合の準備をしたプレーヤーがフロアに最初の一歩を踏み込む感じが表現されています。広い意味でどれも「命中」とか「出くわす」状態なのかなと。
ちなみに日常会話でもよく使われる身近な表現にもhitが登場します。仲間との別れ際に「連絡ちょうだいね」なら「hit me up」と言えますし、「Their new song just hit the market」なら「彼らの新曲が市場に登場した」のような感じになるかと思います。
SYNONYMS hitとよく似た意味を持つ表現
こんなhitなので、同じような意味合いで使える言葉はたくさんありますが、3つだけ挙げてみたいと思います。
メイク/make
動詞では「ショットを入れる」、「パスを通す」に使えますし、名詞としては「入ったショット」や「うまくいったプレー」などに使えます。
ストゥライク/strike
これも「ショットを入れる」で使えます。hitと何が違うのかとなるとこれは深く調べてみないといけない範疇です(汗) ただ、どちらかと言えばhitのほうが一般的に使われているように思います。
バンプ/bump
これは「身体をぶつけること」で、例えばカットしてくるオフェンスのプレーヤーを止めるためにそのコースに入ってコンタクトしていくように指示するなら「bump the cutter」のようになります。ピック&ロールの例と近い表現ですね。
文/柴田 健(月バス.com)
(月刊バスケットボール)