オーストラリア・ブリスベンで開催されている「ブリスベン国際」(ATP250/1月1~8日/賞金総額43万7380ドル/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で、第5シードのラファエル・ナダル(スペイン)のフォアハンドがわずかにサイドアウ…

 オーストラリア・ブリスベンで開催されている「ブリスベン国際」(ATP250/1月1~8日/賞金総額43万7380ドル/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で、第5シードのラファエル・ナダル(スペイン)のフォアハンドがわずかにサイドアウトしたとき、彼は前年度覇者で第1シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)に対してセットを先取し、ブレークポイントを握っていた。しかし、その1本のミスで状況は変わり、そこからナダルは立ち直ることができなかったのである。

 とはいえラオニッチは、第2セット第5ゲームでサービスをキープし、第8ゲームでナダルのサービスゲームを攻め、流れを逆転させて、4-6 6-3 6-4で勝利をつかんだ。その間、陥ったピンチから脱出するために必要なことのほとんどを自らの手で実行している。

 ラオニッチは第3セットの出だしにふたたびナダルのサービスをブレークし、冷静にサービスをキープしていって、ナダルに対する2度目の勝利をものにした。

 ラオニッチは23本のサービスエースを奪い、50本ものウィナーを記録した。一方、ナダルのウィナーは19本にとどまった。ナダルは手にした7度のブレークチャンスのうち、ものにできたのは1度だけだ。

 ラオニッチは強烈で深いサービスリターンに加え、自分の勘を信じて、繰り返しネットダッシュしてナダルにプレッシャーをかけ続けた。

 「今日、試合の背後にあったメンタリティが、ある意味で僕を支えていた」とラオニッチ。「ある瞬間は、ことがあまりうまくいっていないように見えていた。僕は効果的な形でネットをとることができていなかったんだ。焦って急ぎ、ミスすべきでないショットをミスしてしまっていた」。

 「でも少なくとも、僕は踏ん張り続け、次のポイントで巻き返すことができていた。それが、僕がもっとも誇りに思うべきことだ」

 2016年シーズンを早く終わらせる原因となった左手首の故障から復帰したナダルは、先週のエキシビションでラオニッチを破っていたが、ブリスベンでのラオニッチはより気迫を強めてプレーしていた。

 ナダルは、いくつかの失敗が高くついた、と振り返る。

 「おそらく、もしあのフォアハンドクロスのパッシングショットが入っていれば、僕は第2セットでブレークを果たし、1時間早く、勝利を手にここに来ていたかもしれなかった」とナダル。「しかし、あのパッシングはアウトになり、それで終わりだった。そこから彼はブレークを果たし、試合の流れは変わってしまった」。

 それでもナダルはエキシビションでの3勝と、ブリスベンでの2勝と接戦により、全豪オープンを前にした自分の調子は、いい形で上がりつつあり、自信を得たと言った。彼は今年の全豪では、何としても、昨年の1回戦敗退の雪辱を果たしたいと願っている。

 大会連覇のチャンスを維持したラオニッチは、準決勝で第7シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)と対戦する。ディミトロフは、第4シードのドミニク・ティーム(オーストリア)を6-3 4-6 6-3のフルセットの戦いの末に下して勝ち上がった。(C)AP