生活スタイルの変化により、例年より運動不足や冬太りが心配な方も多いのではないでしょうか。また、心筋梗塞による心停止は冬に増加し、1月が最多になると言われています。冬太りと心疾患、この2つの健康に関する悩みを解決してくれる食品と…

 生活スタイルの変化により、例年より運動不足や冬太りが心配な方も多いのではないでしょうか。また、心筋梗塞による心停止は冬に増加し、1月が最多になると言われています。

冬太りと心疾患、この2つの健康に関する悩みを解決してくれる食品として注目されているのが「フィッシュオイル」です。今回は、フィッシュオイルの魅力とレシピをご紹介します。

フィッシュオイルとは?

「フィッシュオイル」は、青魚から抽出した油のことで、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)の脂肪酸が主成分です。動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧の低下や中性脂肪を減らすなどの作用を持ち、生活習慣病予防に効果があると言われ、イワシ、アジ、サンマ、サバ、マグロなどの青魚に多く含まれています。

EPAやDHAは体内で生成されないため、食事やサプリメントから摂取する必要があります。2019年にサプリメント大国アメリカで行なわれた調査(※1)によると、フィッシュオイルに含まれるEPAやDHAなどの「オメガ3脂肪酸」は、サプリメント人気1位のビタミンD、2位のマグネシウムに続き、3位という結果に。

また、日本でも大塚製薬「ネイチャーメイド」やオリヒロ、サントリーなど、各社よりフィッシュオイル関連のサプリメントが発売されています。

(※1)ConsumerLab 社調べ/有効回答9,782 人

ダイエットに適した季節は「冬」


夏やせ、冬太りという言葉はありますが、基礎代謝が上がりカロリー消費量が多く冬の方が、ダイエットやボディメンテには適していると言われています(※2)。体には主に2 種類の脂肪「白色脂肪」と「褐色脂肪」があります。

・「白色脂肪」
皮下や内臓に分布し、体内の余分なエネルギーを脂肪として蓄積する。

・「褐色脂肪」
肩から鎖骨の下や背骨の周りに分布し、脂肪を消費して熱を生み出す働きがあり、体が寒さを感じた時にも活性化します。脂肪燃焼細胞(脂肪を分解し熱にする細胞)とも言われる。

近年、フィッシュオイルが交感神経を介して、褐色細胞を増やすことがわかりました(※2)。つまり、褐色細胞を増やすフィッシュオイルを、寒さを感じる冬に積極的に摂取することは、ダイエットやボディメンテには効果的と言えます。

さらに、京都大学の研究グループは、魚に含まれる油(主成分はEPA、DHA)の摂取が、脂肪燃焼細胞(脂肪を分解し熱にする細胞)である褐色脂肪の増加を促進し、体脂肪の減少や体温上昇をもたらすことを動物実験により証明(※3)。同グループでは、「魚油を含む食事が肥満や生活習慣病の改善につながる科学的根拠を得た」と発表しています。

(※2) 島岡章ら「基礎代謝の季節変動について

(※3) 京都大学
「Fish oil intake induces UCP1 upregulation in brown and white adipose tissue via the sympathetic nervous system」

冬が重要。「心疾患」リスク低下へ

日本人の死因第2位は心疾患で、死亡率は年々上昇傾向、心筋梗塞による心停止は冬に増加すると言われています。その理由のひとつは、暖かい室内から寒い部屋や屋外に移動する際の血圧の急激な変動にあるとされ、本格的に寒くなるこれからの季節は注意が必要です。

フィッシュオイルは、心疾患の原因となる動脈硬化を抑制するとされています。国立がん研究所センターがEPA、DHAの摂取量と虚血性新疾患発症との関連を調べたところ、フィッシュオイルの摂取量が少ないほど、虚血性心疾患のリスクが高まるという結果が出たそうです(※4)。

(※4) 国立がん研究センター「魚・n-3 脂肪酸摂取と虚血性心疾患発症との関連について」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/279.html

フィッシュオイルをふんだんに摂取できる冬の代謝アップメニュー

EPAやDHAがダイエットやボディメンテに役立ち、さらに心疾患リスクの低下にも繋がることがわかりました。そこで、体内で生成することができないEPAやDHAを、効率的に美味しく摂取するために「フィッシュオイル」を使ったレシピをご紹介します。管理栄養士監修の冬の代謝アップメニュー、ぜひ作ってみてください。

■ぶりの甘酢炒め EPA 940mg、DHA 1700mg

冬が旬のぶりは、この時期特に脂がのっていて、フィッシュオイルが豊富です。片栗粉をつけて揚げることで、フィッシュオイルを逃がしにくくなります。あらかじめ調味料を混ぜておくことで慌てず調理できます。

【材 料】 1 人分
ぶり 切り身1 切(100g)
塩 少々
片栗粉 適宜
サラダ油 小2
にんじん 30g
ピーマン 10g
玉ねぎ 20g
れんこん 30g
きくらげ(乾)1 枚
調味料A:醤油 大2/3、酢 大1/2、砂糖 大1、片栗粉 小1/2
ごま油 適宜

【作り方】 調理時間25 分
①ぶりを一口大(だいたい3 等分)にして塩と片栗粉をふっておく
②ピーマン、玉ねぎ、れんこんを一口大に切り、きくらげは水で戻しておく
③ぶりを揚げ、ピーマンを油通しする
④にんじんは乱切りにし電子レンジに500w 1分入れる
⑤フライパンに油を入れ、れんこん・玉ねぎ・きくらげを炒める
⑥⑤の食材に火が通ったら、ぶり、ピーマン、にんじんをフライパンに入れる
⑦⑥に合わせておいた調味料A を入れ、ひと煮立ちさせ、とろみをつける
⑧最後に、ごま油で香りづけをして火を止める

■ポキ丼 EPA 710mg、DHA 1700mg

うまみ成分が多い醤油麹で和えるだけ!火を使わずにフィッシュオイルを摂取することができるメニューです。ぶりやはまち、サーモンなど、ほかのフィッシュオイル豊富な魚で代用しても美味しくできます。

【材 料】 1 人分
ご飯 200g
まぐろ 1/2 柵(80g)
醤油麹 大1/2
めんつゆ 小1
ごま油 小1/2
白ごま 適宜
アボカド 1/4 個
レモン汁 適宜
紫たまねぎ 10g
卵黄 1 個
万能ねぎ 適宜

【作り方】 調理時間20分
①まぐろを一口大に切り、醤油麹・めんつゆ・ごま油・白ごまを混ぜ、10 分ほどおく
②アボカドは一口大に切りレモン汁をかける
③紫たまねぎを薄くスライスし、軽く塩もみをする
④万能ねぎを小口切りする
⑤ごはんの上に①②③を彩り良く、真ん中にくぼみをつけて盛り付け、くぼみの中に卵黄を入れ、万能ねぎをのせる

■オイルサーディンと冬野菜のホイル焼き EPA 430mg、DHA 410mg

オイルサーディンはマイワシなどの小型のイワシを油で煮たものです。缶詰では小骨も食べられるのでカルシウム摂取も期待できます。ホイル焼きにすることでフィッシュオイルを余すところなく使っています。

【材 料】 1 人分
オイルサーディン 1/2 缶
白菜 40g
かぶ 30g
しいたけ 1 枚
トマト 1/4 個
おろしにんにく 適宜
オイルサーディンの残り油 大1/2
めんつゆ 大1/2
レモン お好みで

【作り方】 調理時間20分
①グリルを予熱しておく
②白菜、かぶ、しいたけ、トマトを一口大に切る
③オイルサーディンの油をきっておく(油は取っておく)
④③で取っておいたオイルとめんつゆ、にんにくを合わせ、かぶ・しいたけにからめる
⑤アルミホイルを敷き、白菜→オイルサーディン→かぶ・しいたけ→トマトの順にのせ④で残ったオイル・めんつゆをかける
⑥グリルで約8 分焼く(火加減によって時間を調整してください)

■塩サバのかす汁 EPA 350mg、DHA 490mg

サバのフィッシュオイルが入ることで普通の粕汁よりもコクが出ます。また、魚や野菜の入った具沢山の味噌汁はおかず代わりにもなります。酒粕は食物繊維が含まれていて、腸内の環境を整えてくれるので、免疫力がアップします。

【材 料】 1 人分
塩サバ 1/2 切れ(50g)
大根 30g
にんじん 10g
油揚げ 1/5 枚
しいたけ 1 枚
酒粕 小さじ2
味噌 小さじ2
かつおだし 180ml
万能ねぎ(小口切り)適量

【作り方】 調理時間15 分
①大根・にんじんはいちょう切り、油揚げは短冊切り、しいたけはスライス、サバを一口大にする
②だし汁に大根・にんじん・油揚げ・しいたけを入れて、やわらかくなるまで煮る
③塩サバを焼く
④酒粕・味噌をだし汁に溶き、サバを鍋に入れて軽く温める
⑤器に盛って、万能ねぎをそえる

■料理監修
全国2,500ヵ所以上の高齢者施設や病院、保育園、スポーツ施設、オフィスの社員食堂などで食事サービスを提供しているONODERA GROUP 株式会社LEOC 所属。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません

関根豊子

関根豊子

公認スポーツ栄養士、管理栄養士

筑波大学大学院体育研究科修了

LEOC で社員食堂や学生寮、スポーツ関連施設の献立立案、運営指導を担当後、現在は、スポーツ栄養事業企画部にて、お客様の健康増進・パフォーマンス向上のための食環境整備に従事。

日本パラ・パワーリフテイィング連盟栄養スタッフ、日本スポーツ栄養学会評議員

清水さやか

清水さやか

管理栄養士

鎌倉女子大学卒、2017 年LEOC 入社

高齢者施設・病院での食事提供業務を経て、現在は、実業団陸上部の寮にて、食事提供業務を担当。

栄養管理も行うが、調理も得意。仕込みから盛付けまで一つ一つを丁寧に作業し、お客様に満足してもらうような食事の提供を心掛けている。