一般社団法人日本プロ野球選手会による「野球・ソフトボール体験会サポートプロジェクト」が12月13日、神奈川県川崎市の少年野球チーム『百合丘ペッカーズ』で実施され、読売ジャイアンツの大江竜聖、岸田行倫両選手がオンラインで子どもたちと触れ合った…

一般社団法人日本プロ野球選手会による「野球・ソフトボール体験会サポートプロジェクト」が12月13日、神奈川県川崎市の少年野球チーム『百合丘ペッカーズ』で実施され、読売ジャイアンツの大江竜聖、岸田行倫両選手がオンラインで子どもたちと触れ合った。日本プロ野球選手会では、グランド外での社会貢献活動や野球振興施策を積極的に推進。野球振興では幼少期の野球接触体験を重視し「野球体験の場」を提供するチームにプロ野球選手を派遣する活動を実施する。

日本プロ野球選手会/・社会貢献情報発信メディア「Player’s Plus」

今回イベントに参加した百合丘ペッカーズナイン。現役選手からの話に目を輝かせた

今回はコロナ禍での開催でオンラインでの実施となったが、野球に興味のある子どもたちはプロ野球選手の野球上達のヒントに興味津々。
小学校の教室を借りて行われた質問会は、1選手につき約30分ずつの計1時間。大江投手は「どうやったらうまくなれますか?」の質問に「やっぱり練習することが一番。ただ単に練習するのではなく、どうやったら自分がうまくなれるのかを考えながら練習すればいいと思います」と回答。「試合前に何を食べますか?」に「絶対にそばを食べます。そばが好き。重たくないものを食べる」と答えると、子どもたちは「そばだって!」と大盛り上がり。「小学生時代にどんな練習をしていましたか?反省会はしていますか?」には「コントロールを良くするために、ずっと壁当てをしていました」とし、「試合の結果が良くても悪くても、ここが良かった悪かったというのを毎試合書くようにしています」と話し、子どもたちは頷いていた。
 捕手の岸田選手にも多くの質問が飛び、「失敗した時はどうしますか?」に「絶対に失敗はする。それを引きずらないようにすること。楽しんでやろうという気持ちが大事」と説明。「室内でできる練習は?」には「キャッチボール。しっかりと相手の胸に投げられるように。素手でボールを掴む感覚を練習すれば、グローブを付けた時にもっと取りやすくなる」と勧めた。大江投手からの流れで「試合前は何を食べますか?」の質問には「ラーメン!」と岸田選手。「何ラーメン?」、「具は?」、「チャーシューは何枚?」、「スープは飲みますか?」という矢継ぎ早な質問に、「塩バターラーメン」、「シンプルが好きだからチャーシューだけ」、「2枚」、「飲みません」と回答。そのやり取りに会場からは笑い声も。「今までボールを受けた中で一番すごいと思った投手は?」の質問には「菅野(智之)さん。変化球もすごいけど、一番びっくりしたのは自分がミットを構えたところにボールが来ること」と明かすと、子どもたちから「やっぱり!」との声。キャッチャーミットの構え方についてアドバイスを受けた池田翔くん(小学5年)は、「構え方が分かって良かった。他にもいろいろと答えにくい質問もあったと思うけど、何でも答えてくれて嬉しかった。(大江、岸田の両)選手が言っていたように、練習メニューとかも自分で考えてやっていけるようにしたい」と目を輝かせた。

オンラインという制限の中で読売ジャイアンツの大江竜聖選手、岸田行倫選手が懸命に子どもたちの質問に答えた

 野球振興を目的としたこのプロジェクトは、今年8月に始動し、今回が第1回目の実施。日本マクドナルド株式会社がスポンサーとなり、松田宣浩選手会理事長の強い意向もあって実現した。今年は、全日本軟式野球連盟と日本ソフトボール協会に登録のある47都道府県の学童チームから12チームを募集。当初は12球団のプロ野球選手がそれぞれの野球体験会に足を運ぶ予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響でオンラインでの10チームの実施に変更となったが、「オンラインとなって心配もありましたけど、子どもたちが喜んでくれていましたし、まずは初回を無事に終わることができて良かったです」と森忠仁選手会事務局長。今後、12月中に9箇所で実施する予定で、各地域に所属するプロ野球選手が参加。「野球人口が減っていることに関して、松田選手会長を始めとして、多くの現役の選手たちも危惧しています。野球だけに限らず、最近は外で遊ぶ子どもが減ってきています。その中でまず、選手会としてできることは何か。現役選手をいろいろな場所に派遣して、そこに子どもたちが集まって、野球人口が増えるキッカケにしたい」と話した。
 「ジャイアンツ球場が近いんですけど、実際にプロの選手に会ったことのある子どもは少ない。(他のコーチが)ダメ元で応募したら選ばれたので驚きました」と『百合丘ペッカーズ』の池田貴政ヘッドコーチ。現在、チームは全学年で40人近くの人数がいるが、「僕が子どもの頃は1学年で20人ぐらいいましたから…。昔はランドセルを放ったらかして公園とか空き地に集まって野球をしていましたけど、今は公園でキャッチボールも素振りもできないですし、子どもたちも習い事が多くて忙しいですからね」。少子化に加え、サッカーなどにも人数を取られ、「今は割と人数がいますけど、少し前はぜんぜん揃わなかった時期があった」と池田コーチ。この体験会プロジェクトも契機にして、「1学年、最低でも5、6人は人数を確保したい。プロの選手と会えるので、それをキッカケにして、野球をやったことのない子が、野球触れて、チームに入ってもらえたらと思います」と話した。
 競技人口の減少は、日本野球界にとって大きな課題。選手会主導のプロジェクトが新たにスタートし、今後は実施回数の増加、実施場所の全国拡大を計画中。まずはできることから。小さな一歩が、大きな成果となる。今回の試みは必ず、野球振興につながるはずだ。