小雨が降り続き、冬らしい寒さの中、関東大学対抗戦(対抗戦)最終節・明大戦の前日練習が行われた。グラウンドには『緊張』と対戦校である『明治』の二文字。選手たちは押し込みタックルやポジションごとの練習をこなし、白い息を吐きながら伝統の一戦に向…

 小雨が降り続き、冬らしい寒さの中、関東大学対抗戦(対抗戦)最終節・明大戦の前日練習が行われた。グラウンドには『緊張』と対戦校である『明治』の二文字。選手たちは押し込みタックルやポジションごとの練習をこなし、白い息を吐きながら伝統の一戦に向けて気持ちを高めた。


『明治』の文字

 早明戦は今年で96回目を迎える。通算成績は早大の54勝39敗2分。近年の成績を振り返ると、両校の拮抗具合が見て取れた。2013年、14年に早大が連勝したあと、2015年からの5年間は白星と黒星が交互に並んでいる。毎年、下馬評があてにならない熱い戦いが繰り広げられているのだ。昨年度は1994年以来、実に25年ぶりとなる早明全勝対決となったが、結果は全てにおいて圧倒され7-36と大敗。苦杯を嘗め、対抗戦2位で全国大学選手権(大学選手権)へと駒を進めることとなった。しかし、大学選手権決勝の早明対決では45-35で早大が勝利し、日本一に。昨年度秋冬は互いに1敗ずつ敗北を喫したこととなる。そんな雪辱を果たしたい今年度。ここまでの戦績は早大が6戦全勝、明大が5勝1敗であり、早明戦は昨年度同様戦いを制した方が対抗戦優勝を手にする大一番となった。早大が白星を挙げれば、権丈太郎コーチ(平20スポ卒=福岡・筑紫)が主将を務めていた2007年以来13年ぶりの全勝優勝となる。

 東京・秩父宮ラグビー場で、14:00にキックオフ。イレギュラーな状況下でありながらも無事にこの伝統の一戦が開催されることに感謝して、赤黒と紫紺のサポーターが集う秩父宮の熱気を存分に味わおう。今年もまた、負けられない戦いの幕が開く。

(記事 山口日奈子、写真 安岡菜月、塩塚梨子)


丸尾主将の言葉に耳を傾ける選手たち

相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)

――早慶戦からの2週間弱、どのようなところにフォーカスして練習してきましたか

 セットプレーとブレイクダウンとディフェンス、その3点ですかね。

――前回試合後の記者会見で規律面の改善とディフェンス力の向上に取り組むとおっしゃっていましたが、そこについては

 そこはゲームしてみないと分かりませんが、前回の反省としてブレイクダウンでのノットリリースやノットロールアウェイがあったので、それをしないようなスキルには取り組んできました。あとは相手との力関係というところですかね。

――明大のFWに対する対策などは

 そこはもう対策というか、自分たちから仕掛けていくという(だけ)。早稲田は大きい相手にどう勝つかというチームなので、『仕掛けるマインド』を持って戦うだけです。

――今季の明大の印象は

 FWは当然強いですし、BKもスキルの高い選手が多いので、どこから(の攻撃)でもこわいというか、そういうチームです。

――特にどのような点に警戒していますか

 やはりセットプレーです。我々もそこは積み上げてきたつもりなので、そこでどれだけ対抗できるか。そこはFWがプライドを持ってやってくれると思います。

――早明戦を勝ち切るポイントは

 やってきたことを、自分たちの力をどれだけ出せるか。100%が理想ですが、そこに近い力を出し切るということです。

――早慶戦は何%出し切れたのでしょうか

 相手をリスペクトすれば、早慶戦もあの時持っている力を100%出した結果だったと思います。

NO・8丸尾崇真(文構4=東京・早実)

――早慶戦でのご自身のプレーを振り返って

 いいところも悪いところもある、というかまだまだ足りない、(精度を)上げていける部分はあると思います。

――けがで離脱していたメンバーも復帰しての一戦でしたが、チームの状態は

 非常にいいです。戻ってきたメンバーもいますし、チームの雰囲気や緊張感が、これまでもよかったですがさらによくなっているように思います。

――今季初めから取り組んできたディフェンスの手ごたえは

 良かったと思います。まあ、それが本当に発揮されるのは次の明治戦だと思うので、非常に楽しみです。

――早明戦に向けて個人としてはどのような点にフォーカスして練習してきましたか

 ディフェンスの部分は変わらず強化してきましたし、それに加えて自分の本来の強みであるアタックのところを徐々に出していけたらと思って練習でも意識してやってきました。

――明日はどんなことを意識して臨みますか

 早稲田がこれまで大事にしてきたこと、積み上げてきたものを貫く。そしてそれを自分が一番体現する。それに尽きますかね。

――先ほどの円陣ではどのような声掛けをしましたか

 「やることはやった」と。「自信を持って臨む。絶対に勝つ」と、そう伝えました。

――早明戦への意気込みを

 自分たちのやってきたことを信じて、自分たちの力を出し切って絶対に勝ちたいと思います。

ロック下川甲嗣副将(スポ4=福岡・修猷館)

――早慶戦を振り返っていかがですか

 自分たちが今まで積み重ねてきたものを全部出そうという話をして臨み、それは(達成)できたかなと思います。慶応のプレッシャーもあって苦しい展開になることは想定していたので、その中で勝ち切れたというのは良かったと思います。

――セットプレーに関して、ラインアウトとスクラムそれぞれご自身の評価を教えてください

 ラインアウトに関しては、組み立て部分では上手くいったんですけど、モールのディフェンスのところで課題が残りました。スクラムに関しては、試合を通して80分間の中で少しずつ改善できたのは良かったと思うので、明大戦では最初から良いスクラムを組めるようにしたいです。

――早明戦の意気込みをお願いします

 早明戦も引き続き自分たちが上井草でやってきたことを全部出し切るというのが大事だと思います。その中でも自分が一番体を張って、チームを勢いづけたいと思います。

――早明戦のポイントはどこですか

 ディフェンスだと思います。僕らはディフェンスで流れを作るチームなので。良いディフェンスをして流れを作りたいと思います。

SO吉村紘(スポ2=東福岡)

――早慶戦、ディフェンスが武器の相手に対してキックなどによる工夫が見られたがどんな点を意識して試合に臨みましたか

 確かに慶応さんのディフェンスは強かったんですけど、僕たちも前半はいいかたちでアタックできていたと思います。なので、相手のディフェンスが強かったからキックを選んだというわけではないです。ディフェンスが得意な相手ということは知っていて、自陣でそのディフェンスをされたくないと思ったので、敵陣に入りたいということでハイボールを使っていきました。

――早慶戦での自身のプレーについて

 アタックの部分では準備してきたことが出せたと思います。ただ、ディフェンスの部分でもう少しワークレートを上げていかなければいけないと思いました。

――次戦の早明戦に向けて、どんな部分にフォーカスして練習していますか

 常に横のコミュニケーションを取り続けて、見えない部分でもしっかりとつながりを持ってアタックやディフェンスをやるというのを心掛けてやっています。なので、どんどん声を掛けてコミュニケーションの部分でカバーしていけたらと思っています。

――これまでの対抗戦を戦ってきて、コミュニケーションの部分での成長はありましたか

 そうですね。試合を重ねるたびに、チームの状態も良くなってきていると思います。僕たちが目標としているのは対抗戦優勝ではなく(大学)選手権での優勝なので。今の現状に満足している選手は誰1人いないと思いますし、もっといい状態を求めてみんな練習しています。

――早明戦、勝負のポイントとなるのは

 接点の部分で、アタックでもディフェンスでも前に出続けるというところがキーポイントになると思います。

――最後に意気込みをお願いします

 勝ちます。

 

フランカー相良昌彦(社2=東京・早実)

――立大戦以来の対抗戦出場となった早慶戦。自身のプレーを振り返って

 久々の試合だったので試合勘を取り戻せていなくて。前半は2本タックルを外したり、自分の出来としては最悪だったのですが、後半は自分の得意なボールキャリーで前に出ることができて、少しは試合勘を取り戻すことができたのかなと思います。

――次戦の早明戦に向けて、どんな部分にフォーカスして練習していますか

 前回タックルを外されてしまったということで、2週間毎日ずっとタックル練習をしていました。ディフェンスの面では絶対にミスをしないようにということを意識してやってきました。そのほかの部分は自信があるので、自分を信じてやろうと思います。

――早明戦の勝負のポイントとなるのは

 セットプレーだと思います。セットプレーはラインアウトもスクラムもどちらとも相手の強みの部分なので、そこでどれだけ対抗できるかが勝負を分けると思います。

――早明戦への意気込みをお願いします

 慶応戦のディフェンスが悪かったので、今回はディフェンスで自分の力を見せたいです。

SO伊藤大祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)

――早慶戦が初の公式戦出場となりましたが、お気持ちはいかがでしたか

 すごく楽しかったので、もっと長くプレーできるように頑張りたいと思いました。次の早明戦も自分のプレーをして楽しめるように頑張りたいと思います。

――けがで試合に出れない期間がありましたが、早慶戦までの対抗戦をどう見ていましたか

 自分がけがして(試合に)出られなかったときは、僕があがいてもどうこうなる問題ではなかったので。しっかり自分にできることをして早慶戦を目指して頑張っていたので、試合に出ることができて良かったです。そこで出た課題を明治戦で修正できればと思います。

――出場してすぐゲインをされました。大学ラグビーの感触はいかがでしたか

 通用するかはわからないですが、自分らしいプレーをすれば良い判断やプレーができるという自信はあるので、そこは正々堂々と自信を持ってプレーしました。

――早明戦、大学選手権合わせて、ご自身の目標を教えてください

 とにかくチームに貢献したいという思いがあって、その中で自分のプレーを楽しめたら良いプレーも自ずと出てくると思うので、楽しむことを忘れずに試合を頑張りたいと思います。