ア式蹴球部公式のマスコットキャラクター・アルフ。そのアルフの誕生プロジェクトの初期メンバーであり、現在もアルフの活動に携わるのが、DF須藤友介(スポ3=FC町田ゼルビアユース)とDF松浦一貴(スポ3=エストレラ姫路U−18)である。アルフ…

 ア式蹴球部公式のマスコットキャラクター・アルフ。そのアルフの誕生プロジェクトの初期メンバーであり、現在もアルフの活動に携わるのが、DF須藤友介(スポ3=FC町田ゼルビアユース)とDF松浦一貴(スポ3=エストレラ姫路U−18)である。アルフへの愛情溢れる2人に、アルフの登場から現在までを伺った。

※この取材は11月26日に行われたものです。

アルフとして活動していることで、色々な人の活力になれれば


アルフにミニアルフを手渡す須藤

――アルフが登場した経緯から教えてください

須藤 外池監督からキャラクターを作ろうよという話があって、やりたい部員がいたら集まってくれということで声がかかりました。その当時集まったのは3人の部員でした。何も知らない状態でしたが、企業の方と監督でご飯を食べるからそこに来てくれというのが始まりでした。そこに行って、改めてマスコットキャラクターを自分で作ってくれと言われたので、マスコットキャラクターのデザインからキャラ設定を含め、そのあとの告知活動まで全てを学生がやっている状態です。

――アルフのデザインはどのようにして決めたのですか

須藤 デザインには企業の方に入っていただきました。ただ、どのようなデザインにするのかという点は自分たちである程度部として要望を出しました。それを企業の方が形として作ってきてくださって、改善の要望などを何度もやりとりしました。企業の方からこうして欲しいという要望が出たこともありましたが、自分たちとしても部にずっと残るものなので、最大限ア式蹴球部をアピールできる、表現できるマスコットにしたいという思いがありました。そのため何度も交渉をしながら、デザインを進めて決定をしたのが今のアルフです。

――具体的なこだわりのポイントはありますか

須藤 色々牙であったり口であったりとこだわりはありましたが、一番のこだわりは部員のただ可愛いだけではなく、その中に強さもあるという点です。体育会のサッカー部は軍隊のようで怖いのでは、というイメージがあるかと思いますが、本当は素朴で可愛い一面もあるという点をアルフで表現しました。牙が出ていたり口が重たかったりするのは、そういった可愛さを出すためです。元々マスコットを作る上で、子供たちや女性たちに人気になってもらう必要があったので、部員を表現するというところ、可愛さという一面も口や牙や大きな耳で表現しました。

――オオカミは何が由来なのですか?

須藤 そもそものモチーフを決めようとなった際、どの動物にしようかとなった際に、オオカミを選んだのには様々な意味がありました。オオカミにした大きな理由として、狩りの仕方にあります。オオカミは群れで狩りをします。しかし、その中で一人一人が自分の役割を持っていて、それぞれの役割を全うしながら狩りをします。我々もサッカーを一つの狩りと例えたときに、広報活動があれば分析活動もあり、ピッチで表現する選手がいて、スタンドから応援をする選手がいます。自分の立場で100パーセントやり切るというところが非常にオオカミに似ているなと感じました。また、オオカミは瞳の中にタぺータムという層があります。それにより広い視野の情報をキャッチできるそうなんです。我々としてもサッカーだけに捉われないで、広い視野を持ち、様々なことに挑戦していこうという思いがありました。その点で非常に合っていると感じました。また、オオカミは英語でWolfですが、頭文字がWなのも良いなと思いました。群れなどの情報が検討する上で先行しましたが、Wから始まる点も親しみが持てるのでオオカミを選びました。

――アルフの名前の由来を教えてください

須藤 ア式のウルフ、でアルフです。名前を決めるのも大変でした。自分たちで決めるだけではなく、一般の方にも公募して名前を集める活動もしました。そうして集まった名前と、自分たちの思いや部員の思いを統合し、最終的にアルフに決めました。

――プロモーション担当とは別の事業でスタートしたのですか?

須藤 そうですね、いまこそプロモーションの一環として使われていますが、元々マスコットを作るという企画が持ち上がったのがきっかけです。また、監督の働きかけもありましたが、そもそもマスコットを作りたいという思いもあり作ったものでもあります。今でこそ広報活動の一つですが、マスコットが先行していました。

――アルフを作る上で苦労をしたことはありますか

須藤 沢山ありました。そもそものデザインの面でもそうですし、リリースするまでにも多くの時間を要してしまいました。デザインのところでは、そもそもマスコットを作ること自体に部員が全員前向きであったかといえばそうではありませんでした。我々は情報発信をしていますが、当時はそういった文化がまだ根付ききっていませんでした。そのため、まずサッカーをやろうよ、という声もありました。作る必要があるの?という意見や、そもそもマスコットに無関心の選手もいました。その中で、部として作るマスコットを、どのようにして部員全員で作ったものとして認められて行くかという部分で苦労をしました。だからこそ部員全員にかなりヒアリングしましたし、デザインなどの細かな設定の決定も、我々が原案こそ作りますが、全員にどれが良いかと聞いて、ちゃんと全員で決めたんだという状態を作ることに苦労をしました。また、企業とのデザイン交渉にも苦労をしました。加えて、いざ完成した際にも、リリースするという段階で、大学の方に我々が権利の確認をしていなかったという事実がありました。そのため一度リリースを取り下げて、数ヵ月リリースができないという状況にもなりました。本来であれば2年前の12月リリースを目処に作成が始まったのですが、作成が長引き4月のリリースとなりました。そして4月にリリースしたものを一度取り下げてから7月に再びリリースになりました。リリースまでに権利関係や大学等を含めて、どうしても学生や一つの部だけでは管理できない問題まで発展したという点にすごく苦労をしました。また単純に、リリースをした後に全然認知がされないということにも苦労をしていますが、このように多くの苦労がありました。

――スタートには外池監督が来たからこそというところがありましたか

須藤 外池監督がお知り合いのマスコット運営などをしている方に、マスコットを作りたいんだという話をして、またそういった企業の方が我々が学生であるにも関わらず、「君たちが作るのだから君たちがやりたいようにやればいいよ」と言ってくださる方を紹介してくださったことで、その方と一緒に進めることができました。

――情報発信という考えがチームに根付く前だったからこその苦労があったのですね

須藤 そうですね、今でこそいろいろなことをやっていますが、当時マスコットが様々な広報活動のスタートを切る形であったのかなと自分は思っています。ちょうどチームが開こうとしている中で、マスコットがチームの中での象徴になったのかなと考えています。

――最初にアルフが出てきた際の評判はいかがでしたか

須藤 チームの中ではすごい可愛くね、という声が多かったです。そんなにいいものができたんだ、という思いが正直大きくて。本当に素晴らしい着ぐるみではないですか(笑)。実際にマスコットといっても、着ぐるみがあるか無いかって大きな違いだと思っています。マスコットといってもネット上の絵だけでも成立します。ただ企業のご厚意で作っていただいて、それがしっかりと形として出てきたということは、部員にとっても広報ってこれだけの影響力があるんだと感じていたと思います。もちろんこれが外に出て行った時に子供たちと触れ合う姿であったり、女性とかが写真を撮ってくれる姿、早稲田祭に行った時にも今までア式蹴球部のことを知らなかった学生までもがアルフと写真を撮ってくれる姿を我々は見てきたので、そういった意味ですごく大きな影響を与えてくれているのかなと思います。

――新型コロナウイルスにより自粛期間に入った中でもアルフは様々な活動をしていました

須藤 昨年はアルフライデーなどの企画をしていました。今年はじゃあどういう戦略で行こうかという話をコロナ前にしていました。本来ならば、オリンピックもあったので各体育会の部活を回って、いろんなスポーツに触れようという、色々な体育学部に協力していただいて回ろうという企画を考えていました。ただコロナウイルスの影響で、マスコット自体を動かすことすら我々は自粛をしましたし、他の部に我々が行くのはどうなのであろうと考えました。そういった中で何ができるのかと、今は2年生の後輩たちが主体的になってやってくれているのですが、アルフチームで話し合いをした中でアルフのクイズであったり、感染対策を万全に、我々の持っている社会的意義みたいなところを鑑みながらできることを最大限やろうという思いをずっと持っていました。その中でアルフのクイズ企画であったり、今行っている◯◯の日という企画、そしてTikTokも始めて。自分たちが置かれた状況の中でどのように最大限、何かできるかということを考えていますし、チームとしても明日への活力になるというミッションがあります。恩回しというのですが、見てくれた人たちに何か活力になるような行動をしようという思いが結果として現れているのかなと感じます。

――来年以降こういう活動をしていきたいなという思いはありますか

須藤 諸々の状況を見ながら我々がその中でできることをやっていくという姿勢は変えないですし、もしも収まった時には、もっと直接触れ合える環境を作り、地域や学生を含めて色々な方々と交流をする起点になっていけたらなと考えています。

――フォロワーなど、具体的なアルフの野望はありますか

須藤 フォロワーが増える分には、数字の一つとして現れるのは野望の一つではありますが、自分の個人的な思いとしては数字というよりもこれをきっかけにア式蹴球部に来てくれる方が増えることであったり、ああいったマスコットがあったからこそ例えば地域の子供たちがア式蹴球部を目指す、サッカーを目指すといったきっかけになれれば素晴らしいことだなと思いますし、ひとつ活力になるでは無いですが、我々がアルフとして活動していることでなにかサッカー関係者、関係者では無い方関係なく、色々な人の活力になれればなと思っています。

――TikTokもスタートしましたね

須藤 TikTokは後輩たちが進めてくれている企画です。TikTokももちろんそうですし、こういったアルフの文化が部に根付いているよということをお伝えしたいです。というのも我々は今3年生なのですが、マスコットをずっと育ててきた人たちだけではなく、そういった思いであったり考えをずっと下が吸収してくれて、主体的に取り組んでくれてという流れができているというのが素晴らしいことだなと思っています。ただ作った人だけではなく、そういった後輩までこういった活動の意味を理解してくれているというのが、企画ひとつひとつということ以上にそういった事実が、大切なのかなと思います。

――アルフの力も借りて駒沢陸上競技場を満員にしていきたいですね

須藤 こういった状況なので、開催するということ自体に色々な考え方があることも部員全員わかっていることです。その中で我々にできることは何かと考えた時に、きてくれる方々、来られない方も含めていかに楽しませるかということに限られてくると思います。そういった中でアルフがひとつ、皆様に楽しみを提供できればいいなと考えています。

――最後にご覧いただいた方へのメッセージをお願いします

松浦 アカウントのフォローをしていただけるととても嬉しいなということだけひとつお伝えしておきたいなと思います!

――ありがとうございました!

(取材・編集 橋口遼太郎)


アルフと共に

◆アルフ(あるふ)

 7月1日生まれ。都の西北の森出身。杉山主将ととても仲良しなアルフ。イタズラをして、杉山主将に追いかけられる動画はお馴染みです。アルフ公式Twitterをチェックして欲しいルフ!