集大成とも言える一戦-。両校にとって早慶定期戦はただの定期戦ではない。チームとして1年間の締めくくりとなる試合、そして4年生にとっては引退試合となる。毎年、多くの観客が見守る中で大きな盛り上がりを見せる早慶戦だが、今年は無観客。新型コロナ…

 集大成とも言える一戦-。両校にとって早慶定期戦はただの定期戦ではない。チームとして1年間の締めくくりとなる試合、そして4年生にとっては引退試合となる。毎年、多くの観客が見守る中で大きな盛り上がりを見せる早慶戦だが、今年は無観客。新型コロナウィルスの影響で多くの公式戦が中止された中でも開かれた早慶戦は、活躍の場を奪われ続けた選手たちにとって特別な意味を持っていた。そんな例年とは異なる雰囲気の早慶戦で、早大は関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)準優勝の意地を見せ圧勝。今年度、最後となる試合を見事に勝利で飾った。

 

 早慶戦は秋季リーグでも見せた堅守速攻という持ち味を十分に発揮。『世代交代』を思わせる試合展開もあったものの、引退となる4年生が大いに活躍した。早大は前半開始から鉄壁ディフェンスを展開し相手のシュートをシャットアウト。テンポ良く得点を重ね序盤から慶大を突き放すと、20分から青沼健太(社3=千葉・昭和学院)、福田友貴(スポ3=神奈川・法政二高)など、1〜3年生の選手たちが数多く出場。次世代を担う選手たちで構成されたワセダセブンは少し苦戦を強いられる場面も見られたが、吉田春樹(スポ2=東京・浦和実業学園)がディフェンスの間を縫いサイドシュートを叩き込むなど果敢に食らいつく。結果、10-10の同点まで追いつかれたが慶大相手に善戦し前半を折り返した。

 


シュートを放つ阿南主将

 

 後半戦は秋季リーグ全勝へと導いた4年生を中心に完成度の高いプレーが随所に見られ、地力の差を見せつけた。阿南遼星(スポ4=大阪・大体大浪商)が後半1分にロングシュートを決めチームに勢いをつけると鮎川優毅(人4=東京都・学芸大附)も続けて強烈なシュートを放ち、みるみる慶大を引き離す。そして、13分には鮎川からのパスを受けて、前田理玖(スポ4=福井・高志)が鮮やかなスカイプレーを見せると早大ベンチは大いに沸いた。菅野空(教4=神奈川・川和)のジャンプシュートや遠藤遼(スポ4=神奈川・法政二高)のポストシュートも決まるなど安定した試合運びを見せる。また、秋季リーグで勝利の要となったディフェンスも光った。相手に付け入る隙を与えず、体を張ったディフェンスで慶大を圧倒。4年生の引退試合にふさわしいプレーを見せ続けた早大は24―19で慶大を下し、白星で早慶戦を締めくくった。

 


相手ゴールを狙う中村祐貴(スポ4=北海道・札幌西)

 

 「全国優勝の夢は後輩に託します」。阿南は閉会式でこう述べた。全日本学生選手権優勝(インカレ)という彼らの目標を打ち砕いた新型コロナウィルス。最終学年となった4年生がどんな思いでこの1年間を過ごしていたのか、思いは計り知れない。ただ、こうした中で開かれた秋季リーグでは開催された全ての試合を早大は白星で締めくくることができた。『泥臭いプレー』。今年、選手たちがよく口にしていた言葉だ。4年生はリーグを通してスター選手がいなくても勝つことができるという証明をした。そして、この早慶戦を経て早大は新たな一年を迎えることになる。来年度こそなし得なかった全国制覇へ-。後輩へ大きな希望を与え、4年生は早慶戦で有終の美を飾った。

(記事 高橋さくら、写真 杉原優人、西山綾乃)

 


早慶戦での早大ハンドボール部の集合写真

 

結果
早慶定期戦

早大2410 −10
14−9
19慶大
GK 中村匠(スポ3=千葉・市川)
P V 中村祐貴(スポ4=北海道・札幌西)
CB 阿南遼星(スポ4=大阪・大体大浪商)
R B 山本慶(スポ4=長野・屋代)
L B 前田理玖(スポ4=福井・高志)
R B 島田将平(社4=神奈川・鎌倉学園)
L B 岡本隼(商4=滋賀・彦根東)