昨年の早稲田アリーナと同じく、初めて日吉記念館で行われた早慶定期戦。無観客での開催となったが、4年生を中心に思い通りにいかなかったこの1年間の奮闘ぶりが現れた試合となった。前半序盤からリードをじりじりと広げていき、6点リードで前半を終える…

 昨年の早稲田アリーナと同じく、初めて日吉記念館で行われた早慶定期戦。無観客での開催となったが、4年生を中心に思い通りにいかなかったこの1年間の奮闘ぶりが現れた試合となった。前半序盤からリードをじりじりと広げていき、6点リードで前半を終えると、後半開始から下級生中心のメンバーに。後半も様々な選手が得点を奪い続け、1年の最後にふさわしい大勝を手中に収めた。

 試合が始まると、両チームともに好機を逃し静かな立ち上がりとなる。その静寂を切り裂き、先制のゴールを決めたのは衣川直緒(社4=愛知・星城)だった。早いスタートからの速攻でゴールを奪うと、今度は華麗なサイドシュートを決め、連続得点。その姿を見た後輩たちもその後に続く。相手の隙をついた阿部美幸(スポ3=東京・佼成学園女)がカットインから、村上楓(スポ1=福岡・明光学園)は慶大3枚目DFの間を抜くブラインドシュートでそれぞれ得点。その後も速攻などでリードを広げると、前半16分過ぎには最後の舞台となる4年生全員がコートに。直後の攻撃では衣川紗菜(スポ4=愛知・旭丘)が相手GKの逆を突きサイドから得点。22分過ぎには衣川直がこの試合6点目となるゴールを奪うなど大活躍。それに続き山根萌(スポ4=千葉・昭和学院)がカットインからシュートを突きさす。コート内のボルテージは上がり続け、三浦千夏(商4=神奈川・公文国際学園)が左サイドからのシュートをシャットアウト。直後の攻撃で吉田瑞萌主将(スポ4=東京・佼成学園女)がこの日初得点を挙げると、最後には山根が中央を突破し得点。14-8と大量リードで前半を折り返した。 


この試合7得点を挙げた衣川直(画面左)

 後半に入ると、1年生3人を含むメンバーが交代して出場。前半に続き出場していた垣内美春(社4=富山・氷見)が素早いドリブルからのシュートで相手を突き放す。完全な早稲田ペースとなったところで、阿部史歩(スポ1=岩手・不来方)、青木里奈(スポ1=東京・白梅学園)、桐林香奈(商3=静岡・清水東)など来季の活躍が期待される選手たちが続々と得点。その後も選手交代をしながら試合を進め、浦野詩織(スポ1=愛知・旭丘)がセンターから豪快なロングシュートを決める。直後の攻撃では吉田主将がゴール右上に鋭いシュート。4年間の想いがこもったシュートがゴールに突き刺さる。紅林詩乃(スポ3=東京・佼成学園女)の得点などでリードを広げると、14分過ぎに慶大はタイムアウトを要求。タイムアウトが明けると、再び4年生がコートに立った。18分過ぎに岡崎麗(教4=埼玉・浦和実)がペナルティスローを決めると、続けて岡崎は難しい角度からサイドシュートを決め、フィールドゴールも記録。最終盤にもループシュートを決め、29-16で大勝。最後は4年生がしっかりと試合を締めた。


1年間チームの先頭に立ち引っ張ってきた吉田主将

 激動の1年となった2020年。関東学生春季リーグや全日本学生選手権の中止が知らされるたび、悩み苦しみ、みんなで気持ちを切り替えた。だからこそ無観客でも開催できた早慶定期戦の舞台では、4年生が有終の美をしっかりと飾ることができた。そして、この1年、悔しさを共に味わってきた後輩たちはこの試合で何を感じ、何を得たのだろうか。その答えは1年後のこの舞台で示されるだろう。 


集合写真

(記事 杉原優人、写真 高橋さくら)

関東学生秋季リーグ

早大2914-8
15-8
16慶大
GK 江連織圭(スポ2=千葉・昭和学院)
LW 衣川紗菜(スポ4=愛知・旭丘)
LB 吉田瑞萌(スポ4=東京・佼成学園女)
PV 紅林詩乃(スポ3=東京・佼成学園女)
CB 村上楓(スポ1=福岡・明光学園)
RB 阿部美幸(スポ3=東京・佼成学園女)
RW 衣川直緒(社4=愛知・星城)