新型コロナウイルスにより長きにわたって公式戦が開催できない状況が終わり、今年度の公式戦として初の開催を迎えた全日本学生選抜強化大会(全日学)。早大からは川上尚也(スポ3=静岡学園)、五十嵐史弥(スポ3=石川・遊学館)岩永宜久(スポ2=福島…

 新型コロナウイルスにより長きにわたって公式戦が開催できない状況が終わり、今年度の公式戦として初の開催を迎えた全日本学生選抜強化大会(全日学)。早大からは川上尚也(スポ3=静岡学園)、五十嵐史弥(スポ3=石川・遊学館)岩永宜久(スポ2=福島・帝京安積)、松本累(商2=東京・早実)、杉本和也(スポ1=福岡・希望が丘)の5選手が出場。2日間にわたって熱戦を繰り広げた。

 まず、2日がかりで行なわれた予選リーグでは、五十嵐とルーキーの杉本が予選ブロックを3勝0敗と圧倒的な実力で突破。川上と岩永も2勝1敗と勝ち越したが、ともに第3戦目で全勝対決を落として惜しくも敗退してしまう。その中でも川上は強敵・明治大相手に結果的にはストレート負けとはなったものの、2セット目をデュースまで持ち込むなど善戦した。

 こうして29日の午後から始まった決勝トーナメント。先にコートにあがったのは杉本だった。高校の時に対戦経験のある中大の選手とのマッチングとなったが、1セット目を接戦の中、終盤に押し切られて落としてしまう。「2ゲーム目以降が勝負」だと位置づけてはいたものの、その後も流れを変えることができずにストレート負けを喫した。しかし、「とにかく向かっていく」姿勢を終始崩さず、上級生との対戦がメインであった予選リーグにおいても強気の攻めによって結果を残した。早大入学後初めての公式戦としては、上々の滑り出しといえるだろう。


予選リーグ第2戦にてサーブを打ち返す杉本

 一方、今季から主将を務めることが決まっている五十嵐の初戦も1,2セットを連続で落とし、背水の陣に追い込まれる。そんな中、流れを変えたのが3ゲーム目でのタイムだった。「コートにボールを返すことを意識しすぎないで、もっと思い切りいけ」。永山健一(平12政経卒=福島・磐城)監督からそう背中を押されると、一気に形勢が傾く。そのゲームをデュースにもつれ込みながらもなんとか奪うと、その後も「粘り続けて、最後に攻めることができた」と2ゲーム連続で奪うことに成功し、大逆転での1回戦突破を果たす。だが、続く2回戦では高校の同期であった明大の出雲(3年)選手に、「自分弱みを突かれる攻めをされた」とストレート負け。男子部は決勝トーナメント2回戦で全員姿を消すこととなった。


決勝トーナメント初戦で、3ゲーム目でセットポイントを奪った五十嵐

 久々の公式戦となった今大会では、各選手の中で「試合までの準備や対策」などの課題が挙がったが、得た物も大きかった。1年生の杉本が奮闘し、新主将の五十嵐も粘りを見せ、決勝進出がかなわなかった選手たちも全国大会にて大いに躍動した。そして何より、またいつものように大会が行なわれ、部員一人一人が目標を見失わずに歩めるようになったことが大きな収穫だろう。あと2週間ほどで次の大会である関東学生選手権が幕を開けるが、今大会で出た課題等を修正し、全選手が更なる飛躍を見せてくれることを期待したい。

(記事 篠田雄大、写真 篠田雄大、名倉由夏)

▽男子 予選リーグ

ブロック4

岩永 2勝1敗

ブロック12

五十嵐 3勝0敗→予選1位通過

ブロック22

杉本 3勝0敗→予選1位通過

ブロック25

川上 2勝1敗

ブロック31

松本 0勝3敗

▽男子シングルス 決勝トーナメント

1回戦

●杉本0-3小野寺(中大)

〇五十嵐3-2宮本(愛工大)

2回戦

●五十嵐0-3出雲(明大)

コメント

五十嵐史弥(スポ3=石川・遊学館)

――非常に長い間公式戦が行えない時期が続きました。その期間はどのような準備をされてきましたか

コロナ期間は卓球ができなかったので、ランニングやトレーニングをやって体づくりを意識して取り組んでいました。最近は結構練習試合をしていて、先週もこの試合に向けてコンディションを上げて来ていたんですけど、その間に背中を痛めてしまいました。それで試合に出れるかわからないくらいの状態だったので、少し本番前に気持ちが切れてしまった部分があったのがもったいなかったなと感じています。

――その中で今大会を総括してください

全部の試合が簡単な試合はなかったのですが、せった場面で自分のやるべきことができたのはプラスかなと感じています。

――予選リーグ突破のターニングポイントとなった場面はどこですか?

3試合目の選手から白星を挙げられたのが一番大きかったと思います。非常に強い選手で結構向かってきていたので、自分のコンディションが悪い中でも粘ることができて、最後は自分が攻めるという形を取れたのが良かったかなと思います。

――決勝トーナメントの初戦をものにできた要因は何ですか

先に2セットを取られていた中でタイムアウトをとって「入れることを意識していたら点を取られてしまうので、思い切っていけ」と監督から後押しをもらってとにかく振り切ることを意識するようになって流れが変わってきました。今までの試合でこのような流れで勝てたことがなかったので、とても自信になる試合でした。

――2回戦で負けてしまった要因は何だったのですか

相手の選手が高校の同期ですごくやり慣れている相手ではあったのですが、その相手に対してやりやすいことをしてしまって、逆に相手からは自分がやりづらい攻めをされてしまったので、対策の差が出たのかなと思います。あとは先ほど言った怪我で自分の100%の実力が出せなかったので、そこは悔しいです。

―― 12月に行われる関東学生選手権への意気込みをお願いします

きょうの試合で上がった試合前の対策や準備の部分も含めてしっかりやって、うまく調整して臨みたいです!

杉本和也(スポ1=福岡・希望が丘)

――大学入学以来初の公式戦だったと思います。終えてみての感想はいかがですか

思ったほどは緊張しませんでした。しかし、この大会は強い選手がたくさん出ているので、とにかく向かっていく気持ちを強く持って臨みました。しかし、決勝トーナメントで自分の力を出せずに負けてしまいました。

――予選リーグは全勝で通過されましたが、それに関してはいかがですか

予選リーグは自分よりも上級生と当たることが多かったのですが、自分の力を出し切れば勝てると思っていたので、それを一番意識して考えていました。

――予選リーグ突破の決め手は何でしたか

個人的には岡山商科大の中国人選手が山場だと考えていたので、自分から先にバック対バックで仕掛けられたのが大きかったと思います。

――決勝リーグでの初戦敗退の要因は何だとお考えですか

高校の時に一度対戦していた相手で、その時は勝っていました。その時のことを考えて、今回の対戦は2セット目が大事だと思っていたのですが、9対6で迎えてしまったので、厳しい展開になってしまいました。

――来月に行われる関東学生選手権への意気込みをお聞かせください

1年生なので、とにかく向かっていく気持ちを忘れないで試合に臨みたいと思います!