異例続きの今シーズン、久しぶりに有観客で行われたNHK杯国際フィギュアスケート競技大会(NHK杯)の2日目。女子シングルフリースケーティング(FS)には、前日のショートプログラム(SP)を終え8位の川畑和愛(社1=沖縄・N高)が登場。FS…

 異例続きの今シーズン、久しぶりに有観客で行われたNHK杯国際フィギュアスケート競技大会(NHK杯)の2日目。女子シングルフリースケーティング(FS)には、前日のショートプログラム(SP)を終え8位の川畑和愛(社1=沖縄・N高)が登場。FSの得点は102.41、総合得点162.24で10位となった。

 

NHK Trophy

持ち味の表現力を見せる

 名前をコールされると観客の拍手に笑顔で応えて登場する。FSの『夢ニのテーマ』は前半と後半で大きく曲調が変化するのが特徴だ。前半、立て続けにジャンプを組み込んだ構成。冒頭の3回転ルッツ-3回転トーループの連続ジャンプは高さ、幅ともにダイナミックで目を見張る出来に会場から大きな拍手がおこった。続いて両手を挙げて跳んだ3回転ループはジャッジ全員から出来栄えでプラスの評価を得る。2回転アクセル-3回転トーループの連続ジャンプとクリーンなジャンプを続けるも、次の3回転フリップで転倒。「引き上げが足りなくて転んでしまった」と演技後に自ら分析した。その後も立て直すきっかけをつかめず、ジャンプでミスが続いてしまい「少し気持ちに焦りが出てしまって、集中力が足りなかった」と振り返った。しかし、スピンやステップ、そして演技終盤のコレオシークエンスでは卓越した表現力を見せる。特にレベル4を獲得したレイバックスピンのビールマンポジションは今回も抜群の美しさだった。細かいリズムを丁寧に捉えながらメリハリをつけてターンを踏んでいくコレオシークエンス。観客の手拍子も力になったのだろうか、より表情豊かに上半身をしなやかに使って印象的な振り付けをこなしていく。流れを保ったまま最後の足換えのフライングコンビネーションスピンを回りきってフィニッシュポーズを決めた。冒頭3つのジャンプが良かっただけに、後半のジャンプが悔やまれたのだろう。演技後は大きく息をつき、その表情からは本来の力を出しきれなかったという悔しさが見てとれる。演技に拍手を送る観客に向かって挨拶をする際に、ようやく笑顔が見えた。FSの得点は102.41、総合得点162.24で10位という結果で初めてのNHK杯を終えた。

 本来は、演技前半のジャンプのようにダイナミックで力強い素晴らしいジャンプを持っている川畑。今大会では後半のジャンプのミスが響き、得点を思うように伸ばすことができなかったが要素間のつなぎやスピン、終盤のコレオシークエンスは見事だった。「本番に自分がやってきたことを出さなきゃいけないのでそれをしっかりとできるようにメンタルの面も準備していきたい」と、来月に控えた全日本選手権での巻き返しを誓った。練習の成果を本番で存分に発揮して2020年を笑顔で締めくくって欲しい。

 

NHK Trophy

全日本選手権での巻き返しの演技に期待したい

(記事 中島美穂、写真 アフロ/JSF)

結果

▽NHK杯フィギュア女子

川畑和愛 10位 162.24点(FS 102.41点)

コメント ※Zoomでの囲み取材より抜粋

川畑和愛(社1=沖縄・N高)

 

――まずは二日間滑り終えてみての感想をお願いします

 

今は、東日本が終わってこの大会の期間の間に今シーズンの中で自分が跳びたいって思うようなジャンプが跳べるようになってきて、曲かけとかでもノーミスで通せていたので本番でできなかった、というよりも集中を欠いてしまったっていうことがすごく悔しいです。

 

――演技を振り返ってみて、どこが良かったですか

 

前半の3つのジャンプは今自分ができる一番いいジャンプを跳べたかなとは思います。フリップは自分では降りれると思ったんですけど、上がりきれなくて引き上げが足りなくて転んでしまって、そのあと少し気持ちに焦りが出てしまって集中力が足りなかったのかなと思います。

 

――今後はどのようなことに力を入れて練習をしていきたいですか

 

練習では全てのジャンプをいつもクリーンに跳べるようにして自信をつけるのと、試合での反省点としてはやっぱり本番に自分がやってきたことを出さなきゃいけないのでそれをしっかりとできるようにメンタルの面も準備していきたいです。