ISUグランプリシリーズの日本大会であるこのNHK杯国際フィギュアスケート競技大会(NHK杯)。世界大会ながらコロナウイルスの影響で、何度も会場に日本というコールが響き渡るという異例で特別な大会の幕が上がった。コロナ対策の上、観客がドーム…

 ISUグランプリシリーズの日本大会であるこのNHK杯国際フィギュアスケート競技大会(NHK杯)。世界大会ながらコロナウイルスの影響で、何度も会場に日本というコールが響き渡るという異例で特別な大会の幕が上がった。コロナ対策の上、観客がドームに詰めかけた中、競技一日目の女子ショートプログラム(SP)に早稲田大学から川畑和愛(社1=沖縄・N高)が登場。点数は59.83点で8位。フリースケーティング(FS)で巻き返しを狙う。

 

NHK Trophy

SP表情豊かにポーズを決める様子

 名前がコールされ、リンクに現れた川畑、「結構緊張しているなというのは自分で感じていたんですけど」と演技後語ったようにその顔つきからも緊張が伝わってくる。しかし、最初の位置につくとその表情は笑顔に変わり、曲が始まる。SPは『黄昏のワルツ』。優しいメロディーに乗せて、どんどん加速していく。早い速度の中流れるように入った、冒頭の三回転ルッツ-三回転トーループは2本目のジャンプで少し回転が足りておらず、GOEで減点になってしまったものの無事着氷。スピードを保ったまま迎えた次のジャンプ、三回転ループは回転軸が空中で傾き、着氷時に少し乱れが生じたが、踏ん張り、うまくまとめた。その後の指の先まで意識したフライングキャメルスピンではレベル4を獲得。曲調が変わり深みのある音楽が会場を包む中、レイバックスピンでも同様に最高評価を受ける。主旋律の奥で細かに刻むピアノの音も体全体で捉えた繊細なスケーティングを見せる。そして、柔らかな表情かつ滑らかなエッジさばきから生まれる川畑の表現力が今日も輝く。最後のジャンプ、2回転アクセルも入りはよかったものの着氷で少し乱れが生じたが、足にぐっと力を入れ持ち堪えた。足換えのコンビネーションスピン、そしてポーズを決める最後の最後まで丁寧に滑り切った。得点は、59.83点で8位。ジャンプでのミスが点数に響いたものの、曲と滑りの一体感、川畑の豊かな表現は観客の心に届いただろう。

 久しぶりに大勢の観客の前で演技を披露した今回について「お客さんに応援してもらう中で滑ることができてすごく嬉しかったです」と語った。競技2日目のFS。実力をもった選手同士の戦いは一つのミスが命取りとなり、明暗を分ける。「自分のできることをしっかり出し切ってノーミスの演技ができるようにがんばります。」と意気込んだ川畑。観客の声援をパワーに変えて、自身が納得のいくジャンプ、表現がそろった演技に期待したい。

 

有観客で気迫のある演技を見せた

(記事 岡すなを、写真 アフロ/JSF)

結果

▽NHK杯フィギュア女子SP

川畑和愛 8位 59.83点

11月26日公式練習後コメント ※Zoomでの囲み取材より抜粋

川畑和愛(社1=沖縄・N高)

 

――本日、NHK杯前日練習ということですが、どのような気持ちで会場入りされましたか

 

このリンクで滑るのが2つ前の全日本で一回滑ったことがあってそのときにすごく広い会場でお客さんからもたくさん声援をもらえてすごくパワーをもらって滑れたのでもう一回この会場で演技ができることはすごく楽しみにしてきました。

 

――グランプリシリーズの中の一つの大会という位置付けですが、その大会に出場するということに関してはどのようにお考えですか

 

今シーズンはやっぱり試合の経験数も少し少なくて、国内の大会は東日本と全日本選手権、このNHK杯があって先生には3回全日本があるような気持ちで挑むようにって言われているのでグランプリシリーズっていう大きな大会だと思うんですけど自分ができることをしっかりとして昨シーズンの全日本のように集中した自分になれるようにしたいです。

 

――今年は大会が少なくなったりだとか色々な影響があったと思うんですけれども今日までどのようなことをメインに調整をされてきましたか

 

やっぱり滑れない期間があってシーズンの最初の方はジャンプに不安があったんですけど、今日までにはすごく調子も戻してこれて、今はすごくいいジャンプも跳べていると思うので自信を持って本番で滑りたいです。

 

――NHK杯で私のここを見て欲しいという意気込みがあればお願いします

 

ショートはすごく柔らかな綺麗な曲調のワルツなので、自分の演技を見てくださった方が笑顔になってくださればいいなと思います。フリーは前半はしっとりとした雰囲気で滑って、後半にかけてだんだんと盛り上がっていくのでノーミスの演技をして最後パワーが溢れ出るくらい思い切り滑りたいです。

11月27日SP後コメント ※Zoomでの囲み取材より抜粋

川畑和愛(社1=沖縄・N高)

 

――まずは今日のショートプログラムを振り返ってどうですか

 

その、すごいノーミスでやりたいという気持ちが強くて、それがかえって緊張に繋がってしまって、6分間から結構緊張しているなというのは自分で感じていたんですけど、最初のルッツ-トー(ループ)をしっかり降りれたのでそこはよかったかなと思います。

 

――全体を通してジャンプの出来はどうでしたか

 

コンビネーションジャンプは今シーズンの中で1番良いものができたと思うのでそれはすごくよかったと思います。ループとアクセルは確実に飛んで加点を取らないといけないジャンプだったと思うので着氷で乱れてしまったことがすごく悔しいです。

――表現の面ではどうでしたか

 

表情とかは練習でやってきていることがそのままできたかなと思います。

 

――お客さんの前で演技をするという点はどうでしたか

 

東日本(選手権)が無観客で初めての試合だったんですけど、やっぱりお客さんから声援をもらうとすごく自分のパワーにもなって、久しぶりの大きな会場でお客さんに応援してもらう中で滑ることができてすごく嬉しかったです。

 

――明日のFSにむけて意気込みをお願いします

 

自分のできることをしっかり出し切ってノーミスの演技ができるようにがんばります。