新型コロナウイルス感染拡大の影響で、例年春季のみ実施している女子の部が中止となったため、秋季での開催が決定した。女子の試合はこの大会が今年度初。早大からは53キロ級に片岡梨乃(社1=千葉・日体大柏)、57キロ級に臼池優月(社4=茨城・鹿島…

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、例年春季のみ実施している女子の部が中止となったため、秋季での開催が決定した。女子の試合はこの大会が今年度初。早大からは53キロ級に片岡梨乃(社1=千葉・日体大柏)、57キロ級に臼池優月(社4=茨城・鹿島学園)、そして62キロ級に小玉彩天奈(社3=高知東)が出場した。

 1年生の片岡は、大学入学後初となる試合に臨んだ。1回戦目の相手は昨年の天皇杯全日本選手権(天皇杯)で3位入賞を果たしている下野佑実(育英大)。初戦から実力者との対戦になったが、序盤は両者ポイントを許さない時間が続いた。片岡は足を狙った攻撃を仕掛けたがポイントには繋がらず、ついに相手のアクティビティタイムに先制を許してしまう。2点ビハインドで迎えた第2ピリオド(P)はまたも拮抗(きっこう)した展開に。しかし「最後まで勝ちたいという気持ちがあった」という片岡は、もう一度、足への攻撃からチャンスを作り、残り15秒で同点に追いついた。さらに終了間際にバックポイントを追加。4-2で接戦を制した。続く準決勝は相手の棄権で不戦勝に。決勝では、年上の選手を相手に高い攻撃力で圧倒。テクニカルポイントを重ねていき、最後はローリングからフォールの体勢に持ち込んだ。第1Pで決着をつけ、大学デビュー戦を優勝で飾った。

 


フォール体勢に持ち込む片岡

 準決勝から登場した小玉は、昨年65キロ級でインカレを制した宮道りん(日体大)と対戦。相手の左足を取って先制点に繋げたが、直後に逆転される。第2P、バックに回り込まれてさらなる追加点を与えてしまい、点差は3点に。しかし、ここから小玉が意地をみせた。残り20秒、テークダウンを奪って1点差までつめると、試合終了とほぼ同時にローリングを決め逆転!6-5で激戦をものにした。迎えた決勝はロースコアの接戦に。第1Pを1-2で折り返した後は攻めと守りの駆け引きが続いたが、残り2分を切ったところで右足へのタックルが決まる。ここで3-2と逆転すると、その1点のリードを守り抜いた。小玉は昨年に続く優勝で大会2連覇を果たした。

  今年度がラストイヤーの臼池。「大学生活のなかで一番良い試合だった」と振り返る初戦の相手は、昨年の全日本女子オープンで苦戦を強いられた清野優奈(東洋大)。場外押し出しで先制すると、自粛期間中に練習してきた「崩しと詰め」を発揮し、ポイントを連取。相手に1点も与えることなくテクニカルフォール勝ちを収め、決勝進出を果たした。片岡と小玉が優勝を決め、「最後自分が決めないと」という強い気持ちで臨んだ決勝戦。序盤から積極的に攻め、2-2の同点で試合を折り返したが、その後ポイントを連続で奪われ4点差をつけられてしまう。残り45秒で2点差まで追い上げたが、最後のチャンスで相手のバックに回り込むことができず、あと一歩のところで優勝を逃した。

 


「一番良い試合」と振り返る準決勝。臼池が終始主導権を握った

  女子の部の開催が決定し、「絶対3人で優勝しよう」と練習を重ねて挑んだというだけに、唯一準優勝に終わった臼池は悔しさをにじませた。しかし、3週間後に迫った天皇杯を見据えた今大会、久しぶりの実戦はそれぞれにとって有意義なものに。今後の早大勢の飛躍に期待がかかる。

(記事 鬼頭遥南、写真 北﨑麗)

 

結果

女子

▽53キロ級 片岡 優勝

▽57キロ級 臼池 準優勝

▽62キロ級 小玉 優勝

コメント

臼池優月(社4=茨城・鹿島学園)

――学生ラストイヤーにコロナウイルスが流行ってしまいました。長い自粛期間どのような思いで過ごされていましたか

昨年の全日本女子オープン選手権、天皇杯と試合が終わって、最後の1年に向けて頑張ろうって気持ちに切り替えたときにコロナウイルスが広まってしまって・・・。最後の年に自分の力を出しきれないまま学生生活が終わってしまうのではないかという不安がすごくありました。

――今大会にはどのような意気込みで臨みましたか

今大会の開催が決まったときに、1年生の梨乃ちゃん(片岡梨乃)と彩天奈(小玉彩天奈)と「開催決まったね」というやりとりをLINEで夜中にして、「絶対3人で優勝しよう」と話していたので、優勝目指してすごく練習しました。みんなで高め合いながら楽しみにしていました。

――初戦の相手は全日本女子オープン選手権のときにも戦った清野優奈(東洋大)の選手でしたが、それに関して思ったことはありましたか

インカレのときから3連続で当たっているので、これはもう運命だなと(笑)。前回ギリギリの戦いだったので、今回はもう思い切りいかないとダメだと思いました。

――その初戦は第1Pでテクニカルフォール勝ちを収めました

大学生活のなかで一番良い試合だったと思います。コロナ期間にずっと練習してきていた崩しと詰めを出せたことが良かったです。

――決勝にはどのような気持ちで臨みましたか

彩天奈と梨乃ちゃんの優勝が決まって、これはもう最後自分が決めないとという強い気持ちで臨みました。緊張感はなかったです。

――どのような点が上手くいきましたか

最初から思い切りいこうという気持ちがありました。結果的に均衡した試合だったんですが、自分のなかでは初戦と同様にどんどん攻めてテクニカルフォールをとるぐらいの気持ちでいたので、初めから相手を崩していけたのが良かったのかなと思います。

――悔しい点はどこにありますか

タックルに入ってからの小手の入れ方が女子特有の柔らかさがあって、そこが苦戦しました。

――決勝を終えてどのような気持ちでしたか

最後の最後相手のバックにあと半周まわれば点数を獲れるところで、なかなか相手の手がちぎれなくて点を獲れなかったことが悔しくて。でもそれよりも3人でずっと優勝しようって今まで練習してきたのに、自分が優勝を逃してしまったので、情けないという気持ちが大きかったです。

――最後にこれからの大会へ向けての意気込みを教えてください

第一目標だった優勝はできなかったんですけど、初戦も決勝も自分が練習してきたことは出せて、課題も見つかったので、そこを潰していくしかないなと思います。

片岡梨乃(社1=千葉・日体大柏)

――久しぶりの実戦だったと思いますが、感触はいかがでしたか

最後に試合をしたのが1月で、久しぶりでしたが、緊張もせず。普段、意識もレベルも高い先輩たちと練習していただいているので、自信を持って戦えました。

――試合をふり返って良かった点は

1回戦目は実績のある選手で年上の相手だったのですが、負けていても最後まで勝ちたいという気持ちがあったので、そこが良かったと思います。

――見つかった課題はありますか

大学生になって、フィジカルの面で劣っているのかなと思う部分があって、さらにトレーニングを頑張りたいと思いました。

――次戦に向けて意気込みをお願いいたします

次は1か月後に全日本選手権に出られる予定なのですが、1か月で今日出た課題、反省点をひとつずつ克服して、必ずいい結果を残せるように頑張りたいと思います。