晴れ渡った青空の下、練習する選手たちの声が東京・上井草グラウンドに響く。「緊張」の文字と、翌日の対戦相手である「慶應」の文字が掲げられているグラウンドで、約1時間ほどの全体練習に励んだメンバーたち。押し込みタックルなどで伝統の1戦に向けて…

 晴れ渡った青空の下、練習する選手たちの声が東京・上井草グラウンドに響く。「緊張」の文字と、翌日の対戦相手である「慶應」の文字が掲げられているグラウンドで、約1時間ほどの全体練習に励んだメンバーたち。押し込みタックルなどで伝統の1戦に向けて気持ちを高めつつ、入念な最終調整を行った。


「慶應」の文字

 今年で97回目となる伝統の早慶戦。過去の戦績は69勝20敗7分と早大が勝ち越しており、2015年から早大が現在5連勝中である。しかし、点差に注目すると5つの白星は全て7点差以内で勝敗が決しており、その接戦具合を物語っている。早大は悲願の日本一奪還、慶大は22年ぶりに全国大学選手権出場を逃すという対照的な結果に終わった昨年度でさえも、関東大学対抗戦の早慶戦は17-10とわずか1トライ1ゴール差だった。ましてや今年は両校試合を重ねるごとに着実に力を増し、好調な中での対戦。勝利の女神はどちらに微笑むのか、見ごたえのある試合が期待される。

 座席の販売数を大幅に減らした東京・秩父宮ラグビー場で、14:00にキックオフ。新型コロナウイルスによりイレギュラーな状況下ではあるが、負けられない戦い・早慶戦に向かう選手たちの熱量は変わらない。意地と意地のぶつかり合いを制するのは果たしてどちらのチームだろう。勝負の行方を見逃してはならない。

(記事 山口日奈子、写真 山口日奈子、馬塲貴子)


次戦に向け気持ちを高めた選手たち

相良南海夫監督(平4政経卒=東京・早大学院)

――筑波大からの2週間、どのようなところにフォーカスして練習してきましたか

 セットプレーの精度をさらに上げていくこととディフェンスのレベルをさらに上げることのふたつです。

――慶大のどのようなところに警戒していますか

 (慶大は現在)好調なのでその勢いと、ディフェンスでかなり圧力をかけてくると思うので、そこに注意したいと思います。あとはゴール前のモールが脅威だと思うので、そのエリアに来させないようにしたいと思っています。

――それに対する対策はありますか

 ゴール前に来られる一番の要因はペナルティなので、それは慶大戦に限らずですが規律の部分は注意したいと思います。モールディフェンスに関してはやれることはやったので、あとはやってみなければわからないと思っています。

――慶大だからというよりも、これまでやってきたことを継続していく感覚でしょうか

 そうですね。どうしても伝統ある試合なので意識してしまう部分はありますが、やってきたことをどれだけ出せるかという、それだけだと思います。

――早慶戦で勝負のポイントとなるのは

 意地じゃないですかね。どっちがより勝ちたいかという。

NO・8丸尾崇真(文構4=東京・早実)

――筑波大戦からどのようなことを意識して練習に臨んでいましたか

 早慶戦を迎えるにあたって、やはり伝統の一戦と呼ばれる一戦なので、(張り紙に)書いてある通り『緊張』感を持って、慶応に絶対に勝つんだという気持ちを皆が持てるように、まずは自分が持ち続けることを意識して臨んでいました。

――今季の慶大はどのようなところに警戒していますか

 前に出てくるディフェンスと激しい低いタックルは注意すべきところだと思います。

――それに対する対策はしましたか

 はい。それなりにしてきましたが、根本的なところは変わらないと思うので、いつもやってきたことを出し切るだけだと思っています。

――早慶戦に向けて意気込みをお願いします

 まずはこういう状況の中早慶戦を迎えることができ、本当にうれしく思います。相手は死に物狂いで来ると思うので、それ以上の気持ちを持って80分間戦い続けたいと思います。

ロック下川甲嗣副将(スポ4=福岡・ 修猷館)

――早慶戦に向けて特に集中的に練習したところはありますか

 特別新しいことは特にはしていないです。ただ、今までの対抗戦で一番タフな試合になると思うので、積み上げてきた自分たちのスキルや精度で80分間我慢強く戦えるかというところを練習しました。早慶戦なので、向こうもプライドを持ってかかってくるだろうし、自分たちも慶応に対してしっかり仕掛けるという意識を持っています。そういった点で、特別な試合になると思っています。

――早慶戦の焦点についてどのように想定されていますか

 ディフェンスですね。お互いディフェンスのチームだと思うので、本当に我慢くらべというか。お互いが上手くいかない時間があると思うのですが、そこでいかに我慢できるかという点で勝敗が分かれると思います。

――早慶戦への意気込みをお願いします

 とにかく勝ちたい気持ちがすごくあるので、その勝ちたい気持ちをしっかりプレーに出したいと思います。

FB南徹哉副将(文4=福岡・修猷館)

――筑波大戦からの2週間、個人的にどのような点にフォーカスして練習してきましたか

 慶大のディフェンスは前に出てくるので、深さやためを作ってアタックできるようにというのを意識して練習していました。

――今季の慶大について

 ディフェンスが前に出てきて、そこから流れを作るチームだと思います。キックもたくさん蹴ってきて、ハイボールもすごく多いのでFBとして頭に入れておかないとなと思っています。

――早慶戦に向けて、意気込みをお願いします

 僕は対抗戦の早慶戦に出場するのは初めてになるので、小さい頃から憧れていた舞台で自分がこれまでやってきたことを全部出したいです。また、チームとしても負けられない相手なので全員で戦って必ず勝ちたいなと思います。