卓球の国際大会再始動の第3弾「ITTFファイナルズ」<11月19~22日/中国・鄭州>が開幕する。例年は年間チャンピオンを決める「ITTFグランドファイナル」として開催され、招待選手は世界ランクと別にITTFワールドツアーおよび同プラチナ大会の獲得ポイント上位男女各16人が対象だった。

張本智和・伊藤美誠 写真:新華社/アフロ


 しかし、今年は世界的な新型コロナウイルス感染拡大によってツアーが中断。開催できた大会は2月のドイツオープンとハンガリーオープン、3月のカタールオープンのみのため、男女とも世界ランク上位16人が対象となり、大会名もファイナルズに変更された。種目もダブルス種目は行われず、シングルスのみで行われる異例の措置だ。



張本智和は2週連続で韓国のチャンウジンと対戦

 日本から出場するのは男子が張本智和(木下グループ=世界ランク4位)と丹羽孝希(スヴェンソン=同13位)。女子は伊藤美誠(スターツ=同2位)、石川佳純(全農=同9位)、佐藤瞳(ミキハウス=同17位)、加藤美優(日本ペイントホールディングス=同22位)。

 佐藤と加藤は16位までに入っていないが、中国の劉詩雯(同4位)、丁寧(同6位)、朱雨玲(同7位)他、ランキング上位選手が軒並み欠場したことから佐藤が繰り上げ。加藤も平野美宇(日本生命=同11位)が腰痛で出場を回避したため、各国協会4人まで出場可という上限規定に照らし招待された。

 開幕前日の18日に行われた注目のドロー抽選会では、先週の男子ワールドカップ<11月13~15日/中国威海>で銅メダルに輝いた張本が3位決定戦で対戦したチャンウジン(韓国=同18位)と1回戦でまたも対決。再び勝利し準々決勝へ進むと、丹羽と林高遠(中国=同5位)の勝者と対戦する。

張本智和 PHOTO:@ITTFWorld


 日本勢が早々にあたる山に入ったのは残念だが、丹羽と林の1回戦は大きな見どころだ。お互いの武器であるカウンターの応酬などスピード感あふれる戦いが期待できる。

 中国勢は他に男子ワールドカップ金メダルで世界ランク1位の樊振東と銀メダルでリオ五輪金メダリストの馬龍(同3位)、さらに許昕(同2位)が加わるという最強メンバーがそろった。


伊藤美誠は有利なドローも伏兵に警戒

 女子は加藤美優が初戦でいきなり世界ランク1位の陳夢と(中国)対戦。女子ワールドカップ<11月8~10日/中国・威海>自身初の金メダルを手にして波に乗る陳夢は、直近のグランドファイナル(2017~19)を3連覇している強敵だ。

 ちなみに2人の対戦は過去4回あるが、そのうち2019年のT2ダイヤモンド準々決勝で加藤は陳夢に勝利している。公式戦は8カ月ぶりの加藤だが再びの大金星に期待したい。

伊藤美誠 写真:新華社/アフロ


 石川佳純の初戦の相手はソヒョウォン(韓国=同23位)。2人は女子ワールドカップ1回戦でも対戦しており、石川が見事なカット打ちで圧勝した。今回もソヒョウォンに勝てば準々決勝はチョン・ジヒ(韓国)と孫穎莎(中国)の勝者との対戦が待つ。女子ワールドカップ銀メダルの勢いで孫が勝ち上がってくる可能性は高く、そうなれば孫と石川は女子ワールドカップ準々決勝に次ぐ顔合わせとなる。

 佐藤瞳の初戦の相手は王曼昱(中国=同5位)。2人は過去5回対戦し全て王が勝利しているが、リオ五輪金メダルの女王・丁寧から2勝をあげたピカイチのカットで王を崩しチャンスを狙いたい。

 そして、女子ワールドカップ銅メダルの伊藤美誠は1回戦の杜凱琹(香港=同15位)に勝つと、準々決勝は王芸迪(中国=同12位)とポルカノバ(オーストリア=同14位)の勝者が相手。一見、有利な山に入ったように見えるが、王芸迪は伊藤が1勝3敗と負け越している伏兵だ。しかも、昨年のグランドファイナルでは平野美宇、孫穎莎を次々に破ってベスト4に名を連ねているだけに、楽な試合はさせてもらえないだろう。

ちなみに伊藤も昨年のグランドファイナルで女子シングルスベスト4、混合ダブルスでは銀メダルという好成績を残している。

 男女ともワールドカップ以上に強敵ぞろいのITTFファイナルズ。好カードばかりで見どころは尽きないが、今度こそ日本勢の金メダル獲得なるか!? 大会4日間のスケジュールは男女とも初日に1回戦、2日目に1 回戦の続きと準々決勝、3日目は準決勝、最終日は決勝が行われる。


(文=高樹ミナ)

ITTFファイナルズ出場選手
<男子>
樊 振東(中国/WR1位)
許 昕(中国/WR2)
馬 龍(中国/WR3)
張本 智和(日本/WR4)
林 高遠(中国/WR5)
カルデラノ(ブラジル/WR6)
林 昀儒(台湾/WR7)
ファルク(スウェーデン/WR9)
オフチャロフ(ドイツ/WR11)
丹羽 孝希(日本/WR13)
チョン ヨンシク(韓国/WR14)
ピッチフォード(イングランド/WR15)
フランツィスカ(ドイツ/WR16)
チャン ウジン(韓国/WR18)
ゴジ(フランス/WR19)
アルナ(ナイジェリア/WR20)

<女子>
陳 夢(中国/WR1)
伊藤 美誠(日本/WR2)
孫 穎莎(中国/WR3)
王 曼昱(中国/WR5)
鄭 怡静(台湾/WR 8)
フォン・ティエンウェイ(シンガポール/WR9)
石川 佳純(日本/WR9)
王 芸迪(中国/WR12)
ポルカノバ(オーストリア/WR14)
杜 凱琹(香港/WR15)
チョン ジヒ(韓国/WR11)
佐藤 瞳(日本/WR17)
A.ディアス(プエルトリコ/WR19)
P.ソルヤ(ドイツ/WR20)
加藤 美優(日本/WR22)
ソ ヒョウォン(韓国/WR16)

※/WR=11月時点の最新世界ランク