全日本大学選手権(全日本インカレ)まで残すところ2週間となった。新型コロナウイルスが猛威を振るい他校との試合がままならない中であるが、この日早大は順天堂大との練習試合の機会を手にした。本番でフルセットになることを想定して、試合は5セット行…

 全日本大学選手権(全日本インカレ)まで残すところ2週間となった。新型コロナウイルスが猛威を振るい他校との試合がままならない中であるが、この日早大は順天堂大との練習試合の機会を手にした。本番でフルセットになることを想定して、試合は5セット行われた。1,2、3セット目は早大有利の試合運びとなったものの、4、5セット目は相手の速いセットアップからの攻撃に押されてしまう。それでもエースの宮浦健人主将(スポ4=熊本・鎮西)、大塚達宣(スポ2=京都・洛南)と水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)の両アウトサイドヒッターを中心に猛攻し、セットカウント5-0(25-14、25-18、25-18、25-23、15-11)で勝利を収めた。

  1セット目の序盤は互いにサイドアウト(※1)を取り合う。だが村山豪副将(スポ4=東京・駿台学園)のプッシュやブロック、水町の2連続サービスエースで引き離し、7-3とする。その後も連続得点を重ね、最後は大塚のバックアタックで25-14とした。2セット目も勢いそのままに盤石な試合運びを見せた。序盤は均衡を保つが、大塚のブロックアウトを狙ったスパイクやフェイント、宮浦主将のレシーブを吹き飛ばす力強いスパイク等で10-5に。そのままセット終了までリードし25-18で締めた。3セット目は終盤まで両者リードを許さない展開となった。だがまたもや宮浦主将、大塚が均衡を破り21-17に。さらに宮浦主将のスパイク、上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)のクイックやブロック等で25-18と逃げ切った。

 


この試合水町は3つのサービスエースを決めた

 だが4セット目以降は、相手の勢いに飲まれてしまう。速いセットアップからサイド、バックアタック、クイックと多彩に展開される攻撃に苦しめられる。だがここで押し返すのが早大。14-18とリードを許していたが、大塚、水町の両アウトサイドヒッターを中心に猛追する。21-22での大塚のパイプ(※2)を皮切りに連続得点し、最後は宮浦のスパイクで25-23とし何とか勝ち切った。5セット目は最初から相手に3連続点を許し、これに早大は思わずタイムアウトを取る。その後は両者サイドアウトを取り合いなかなかブレイクへの糸口をつかめない。ここで意地を見せたのが4年生。宮浦主将のスパイク、村山副将のサービスエースやブロックで同点に追いつく。その後中村駿介(スポ4=大坂・大塚)の多彩なトスワークでサイドやクイック、パイプとさまざまな攻撃を組み立て、徐々に差をつけ15-11で終えた。

 


クイックやブロックで活躍を見せた上條

 5セットマッチを想定して行われた今回の練習試合。序盤では早大の持ち味である多彩でパワーで圧倒する攻撃が機能し盤石な試合運びを見せた。しかし4,5セット目は相手の攻撃に対応しきれず苦戦する場面が見られた。だが「苦しい状況でも勝ち切れたのはチームにとって良い経験となった」と中村選手。全日本インカレで対戦するチームは勝ち進むほど強敵になり、劣勢に立たされる場面は増えてくるだろう。その中で攻撃の軸である宮浦主将を中心に、いかに突破口を見つけるか、自分たちのペースを取り戻すかが重要になってくる。早稲田らしいバレーを貫き、いざ栄冠を手にーー。

(記事、写真 西山綾乃)

(※1)サイドアウト…サーブ権を持っていない側が得点すること

(※2)パイプ…中央からの速いバックアタック

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        

セットカウント
早大25-14
25-18
25-18
25-23
15-11
                        
順天堂大
スタメン
レフト 大塚達宣(スポ2=京都・洛南)
レフト 水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)
センター 村山豪(スポ4=東京・駿台学園)
センター 上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)
ライト 宮浦健人(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 中村駿介(スポ4=大坂・大塚)
リベロ 荒尾怜音(スポ1=熊本・鎮西)

コメント

村山豪副将(スポ4=東京・駿台学園)

――全日本インカレまで約2週間となりましたが、チームの調子はいかがですか

今すごくいい状態だと思います。このまま落とさずさらに詰められるところはあるので、そこは詰めていきたいなと思います。

――どの部分で詰めが甘いと感じるのでしょうか

細かいミスとか、例えば1本目の高さやラリー中の入りとか。この攻撃ができれば次につながるとか。そういうあまり見ていて分からないプレーがまだまだだなと思います。細かいんですけど、そういう部分ができていないことがあるので、そこを詰められれば問題はないと思います。

――クイックの調子が上がったように見えましたがいかがですか

きょうはあまり打っていないんですけど(笑)上がってきたボールはしっかり決めないといけないなと。あと最後はどうしてもサイドが打つことになるので、そこでミドルが引き付けるというのを意識してやっています。

――来週の練習試合がなくなってしまったと聞きました

そうなんですよね。東京学芸大とするつもりだったんですけど。

――練習試合がなくなってしまって落ち込んだりしましたか

試合が中止になることに慣れてしまって。そうなったら練習でAチームとBチームでゲームをするので。そこでお互いさらにレベルが高くなればチームも強くなるのでそこは良いかなと思います。

――今、チームとして力を入れていることは何ですか

サーブとブロックですね。サーブで攻め込めば相手は崩れて、スパイクの的を絞りやすくなるので、そこからのブロックをやっています。

――全日本インカレまで残すところ2週間となりましたが、チームそして自分自身どのようなところに力を入れて練習したいですか

まず個人としては、4年生としてしっかり後輩がついていけるようなプレーや声掛けができたらいいなと思います。チームとしてはそれぞれ役割があるので、そこをしっかり明確にして最後にチームがまとまれるような雰囲気を作りたいです。まだこれからどんどん強くなると思うので、大きいことではなくて小さいところから積み上げていって、良い形で全日本インカレに臨めたらいいかなと思います。

 

中村駿介(スポ4=大坂・大塚)

――教育実習から帰ってこられたばかりでしたが、調子の方はいかがですか

教育実習から帰ってきてからにしては、自分としてはできていた方だったと思います。でも帰ってきてチームの仕上がりにびっくりしました。

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前半の1,2セット目は良かったと思いますが、中盤の3~5セット目にかけて劣勢の場面が増えてきて。全カレでもあのような試合はあるので、きょうあの中で勝ち切れたのは自分たちの中で大きな経験値になったかなと思います。

――順天堂大の特徴はいかがでしたか

サイドが速い、トスが速いバレーでした。それに対応できていなかった部分もありました。

――戦ってみていかがでしたか

自分たちのバレーをすれば怖い相手ではないでの。勢いに乗らせると怖いと思います。

――スパイカー陣とのコンビはいかがですか

いいスパイカーたちなので、帰ってきたばかりの僕に合わせてくれているので助かっています。

――スパイカー陣の調子はいかがですか

今までで一番良いと思います。良い仕上がりですね。

――全日本インカレまで残すところあと2週間となりましたが、個人としてどのようなところに力を入れていきたいですか

コロナで試合ができていない中での大きい大会なので、まずはチームが一つとなって目の前の相手を倒しに行くというのをやっていかないと、先を見据えすぎるとつまずいてしまうので。目の前の一戦一戦を大事にしたいと思います。

 

水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)

――きょうの試合でサービスエースを3本決められました。調子が良いように見えます。

サーブはとりあえずミスは出さないようにしていました。きょうはミスを少なく抑えられたので、調子が良かったように見えたのだと思います。いつもはがんがんサーブを打って決まるか決まらないかという感じでしたが、きょうはミスを出さないように意識してやっていました。

――きょうの試合はいかがでしたか

劣勢になった場面で暗くなったときに駿介(中村)さんがいつも声を出してくれるんですけど、自分もそれに乗っかって声を出すことができなくて。インカレでは劣勢の場面は出てくるので、そういうときは駿さんと同じくらい声を出してチームを盛り上げていけたらと思います。

――なぜきょうは声を出せなかったのですか

順天堂が静かだったじゃないですか。自分も同じムードでやってしまったので、早稲田は早稲田らしくやることが大事だと改めて感じました。

――全日本インカレまであと2週間となりましたが、力を入れたい部分はどこですか

やっぱりサーブの強化と、あとはリバウンド(※1)ですね。今リバウンドを練習していてうまく行かないことばかりなのですが、それをうまく使いこなして。最後健人(宮浦、スポ4=熊本・鎮西)さんにいい形で持って行くことが早稲田の今のチームの理想だと思うので、そういうところをうまくやっていければなと思います。

――スパイクはリバウンドに重点を置くと

そうですね。無理して打ちに行かずにエースに健人さんがいるので。別に自分が無理して点を取る必要はないので。しっかり健人さんにいい形で打ってもらえるように準備したいと思います。

 

(※1)リバウンド…あえて相手ブロックにスパイクを当て、もう一度攻撃を組み立てるときに使うプレー