代替大会も残すところあと2試合となった。今回の相手は早大と同様に粘り強いレシーブが持ち味の神奈川大。長いラリーの応酬が繰り返され、まさに我慢比べの様相を呈する試合となった。幾度となく相手に流れが傾きかけたが、早大は4年生を中心に「繋ぎ」の…

 代替大会も残すところあと2試合となった。今回の相手は早大と同様に粘り強いレシーブが持ち味の神奈川大。長いラリーの応酬が繰り返され、まさに我慢比べの様相を呈する試合となった。幾度となく相手に流れが傾きかけたが、早大は4年生を中心に「繋ぎ」のバレーを展開。セットカウント3-0(25-22、25-19、30-28)でストレート勝ちを収め、代替大会の成績を4勝2敗とした。

 第1セットから激しく競り合った。相手のサービスエースから始まったゲームだったが、井上裕利惠主将(スポ4=岡山・就実)が連続でスパイクを決めるなど食らいつき8-8。ここでセッターの橋本美久(社3=福島・郡山女大附)がツーアタックを決めると、村山果菜(教4=東京・国際)の速攻などで攻め立て12-8とした。主導権を握ったかのように思われたが、相手も気持ちを全面に押し出したプレーを見せ、またも同点の12-12。その後も展開はもつれ、21-21と終盤まで気迫と気迫のぶつかり合いは続く。しかし次の一点が展開を大きく左右した。重要な一点をかけた長いラリーをエース中澤恵(スポ2=大阪・金蘭会)の力強いスパイクでものにすると、その後もレフトにボールを集める。最後はブロックが決まり、25-22で第1セットを先取した。井上のサーブから始まった第2セット序盤、早大は一気に攻勢をかける。サービスエースを含む8連続得点で先制するなど10-4。その後17-12とすると池田華(社4=韓国・ヨンサンインターナショナル)を投入して逃げ切りに入る。とにかくボールをよく繋いで焦る相手のミスを誘い、25-19でセットを連取した。


一点一点喜びを共有した

 第3セットは転じて神奈川大のペースで幕を開ける。サーブに翻弄され、2-6。しかし点差をつけられてからも集中力を切らすことをなく、粘りに粘って一点を取りにいった。中盤に15-15と背中を捉えると、その後は両者一歩も譲らず19-21。ブレイクの少ない展開で終盤に突入したが、20点目を取った早大は、続く素晴らしいラリーも粘り強く取り切り同点とする。さらに中澤の連続サービスエースで23-21とリードしたものの、デュースに持ち込まれると逆転を許し24-25。この緊迫した場面は4年生が奮起し、エースの中澤がそれに呼応するように得点した。実に3度のマッチポイントを逃しながらも諦めず、30点目にして意地と意地のぶつかり合いを制したのは早大。30-28の長く熱いセットを締めくくったのは植松のブロックだった。


要所で得点を重ねた井上主将

 最初で最後のリーグ戦のその中で、確実にチームとして成長していることを感じさせる試合だった。「競って勝ち切れたというのは自信に繋がる」(橋本彩里)と、選手もその実感を語る。今までの5戦に無いほど長いラリーの多いゲームで、武器とする「繋ぎ」のバレーを体現したことは大きな収穫と言えるだろう。現体制は、来週土曜の代替大会最終戦と日曜の早慶戦(無観客で実施)で終わりを迎える。4年生にとって集大成の残り2試合を前にしても、井上主将は「後輩に感謝の気持ちをもってプレーすることが、4年生にとって大事」とチームに尽くす姿勢を崩さなかった。週を追うごとに持ち味を発揮する早大のバレーがあと2試合で見られなくなるのは惜しい。無観客の中でも輝きを放った今年のチームは、最後の連戦も笑顔で走り抜けるだろう。

(記事、写真 平林幹太)

セットカウント
早大25-22
25-19
30-28
神奈川大
スタメン
レフト 中澤恵(スポ2=大阪・金蘭会)
レフト 井上裕利惠(スポ4=岡山・就実)
センター 橋本彩里(教2=東京・早実)
ライト 村山果菜(教4=東京・国際)
ライト 植松知里(文構4=香川・高松第一)
セッター 橋本美久(社3=福島・郡山女大附)
リベロ 梨本未央(社4=東京・駒場)
コメント

井上裕利惠主将(スポ4=岡山・就実)

――試合全体を振り返って

すごく厳しい展開の部分もあった中で、競ったときに勝ち切れたというのは自分たちの力がついてきたということだし、練習の成果だと思いました。それでもまだ3セット目の出だしがいつも悪いのが課題なので、そこは来週の試合で直したいです。

――今日のチームのレシーブを評価していただけますか

最後苦しいときでも全員が勝ち切るという姿勢で、打つ人も拾う人も一体となっていました。なかなか点が決まらなくても何本も拾っていたので、本当にレシーブは良かったと思います。

――今日は失点の中でも質の良い、次に繋がる失点が多かったように感じます

攻めたゆえのミスもあったと思います。そういったミスは次に繋がるいいものだと思うのですが、やっぱりまだ少しサーブミスが多いかなと思ったのでそこは課題であると感じます。

――要所でレフトから得点しました。ご自身のプレーは振り返っていかがですか

先週の試合がすごく悔しくて、一週間頑張ろうと思ってやってきました。気持ちの面で負けていたらスパイクにも影響してくると思うので、今日は「何が何でも決める」「勝つ」という気持ちで頑張りました。

――4年生のプレーには気持ちがこもっているように感じます

正直一週間すごく苦しんで、それでもこの二週間が最後になるから頑張っていこうという話をしてきました。後輩に感謝の気持ちをもってプレーすることが、4年生にとって大事だと話し合って改めて気づいたので、そういうところをプレーに出せているのかなと思います。

――残りの試合に向けて意気込みをお願いします

本当にこのチームでできる最後の試合なので、全員では早稲田らしいバレーができるように一週間頑張っていきたいと思います。

橋本彩里(教2=東京・早実)

――試合全体を振り返っていただけますか

すごくラリーが長くて、点数にかかわらず苦しい場面が多かったです。でも最後競って勝ち切れたというのは自信に繋がると思います。

――ご自身のプレーはいかがですか

昨日もそうだったのですが、サーブミスが多すぎたので来週に向けて修正していかなければいけないなと思います。ブロックはそんなに悪くなかったと感じます。来週は速いプレーが多い学校との対戦になるので、ブロックがすごく大事になってきます。自分の良さを生かせるように頑張ります。

――今大会からスタメンでの出場が続いています。ここまでのリーグ戦を振り返っていかがですか

本当に経験が浅いので、周りの人に助けてもらいながらやってくることができています。周りのおかげで、リーグを通して成長できている部分があるのかなと思います。

――4年生と途中交代する場面もありますが、4年生の存在をどのように感じていますか

さっきと少しかぶってしまうのですが、経験が浅いなかで試合に出ている自分に声をかけてくれたり、自分のプレーをカバーしてくれたりという面ですごく助かっています。最後は4年生が頑張って踏ん張るというのを見せてくれて、まとまらないのですがすごく助けられています。

――来週に向けて一言

この代で最後の試合になると思うので、自分のできることを精一杯やって勝ちにいきたいです。