大会最終日を迎えた内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)。1日目に軽量級、中量級の試合を終え、この日は重量級3階級の試合が行われた。早大からは86キロ級に山倉孝介(スポ1=千葉・日体大柏)、97キロ級に梅林太朗(スポ4=東京・帝京)、…

  大会最終日を迎えた内閣総理大臣杯全日本大学選手権(内閣杯)。1日目に軽量級、中量級の試合を終え、この日は重量級3階級の試合が行われた。早大からは86キロ級に山倉孝介(スポ1=千葉・日体大柏)、97キロ級に梅林太朗(スポ4=東京・帝京)、125キロ級に山崎祥平(商2=茨木・土浦日大)が出場し3人全員が3位入賞を果たした。しかし、団体としては山梨学院大にあとわずか3.5ポイント届かず。今年のメンバーで挑む最後の団体戦、優勝を狙っていたが総合4位と悔しい結果に終わった。

 10月に行われた全日本大学グレコローマン選手権(全日グレコ)で3位入賞を果たした山倉。今大会は本職であるフリースタイルの実戦に臨んだ。初戦(予備戦)で過去に勝ったことのない相手に白星を挙げ勢いに乗ると、続く1回戦、準々決勝では重量級の選手を相手にグラウンドでも着実にポイントを重ねて、ともにテクニカルフォール勝ち。好調な滑り出しを見せた。準決勝では日体大柏高の先輩であるという白井達也(日体大)と対戦。手の内がばれている相手に対しチャンスを掴むことができず、無得点に終わった。一方、その後の3位決定戦については「自分のペースに持っていくことができた」と振り返る。アジア選手権王者を相手にバックポイントを奪い先制すると、第2ピリオド(P)で同点に追いつかれたが、残り15秒で場外ポイントを追加。その貴重な1点で勝ち切った。


同門対決に挑む山倉

  初戦をテクニカルフォール勝ちで突破した梅林は、準々決勝で昨年の天皇杯王者・大津拓馬(山梨学院大)を迎えた。第1Pにパッシブによる1点を奪われると、そこから左足をとらえられ連続失点を許してしまう。0-5で迎えた第2P、低いタックルで反撃のチャンスをうかがうも、相手に隙はなかった。残り1分を切ったところで場外押し出しによる1点を得たが、反撃もそこまで。準決勝進出とはならなかった。しかし、大津が決勝戦に進んだことにより、梅林は敗者復活戦に回った。その初戦、投げ技からフォールに持ち込み危なげなく勝利すると、3位決定戦でも相手を無得点に抑えてテクニカルフォール勝ち。全日グレコに引き続き3位で表彰台を獲得した。
 本来より上の階級で出場した山崎は、1回戦、続く準々決勝ともに第1P終了を待たずして圧巻のテクニカルフォール勝ち。テークダウンを取った後の連続ローリングや、タックルで相手を倒すなど、重量の上回る選手に対して力負けせず、スピード感のある攻撃で試合を展開した。準決勝では、大会3連覇中のバグダウレット・アルメンタイ(山梨学院大)に対して0-8と無得点で敗北を喫したが、3位決定戦では試合開始30秒でテクニカルフォール勝ち。125キロ級でも実力を見せた。


重量の上回る選手を相手にポイントを奪う山崎

 大会2日間を通して、早大から出場した8人の選手のうち6人が3位入賞を果たした。ルーキーの山倉や藤田(颯、スポ1=埼玉・花咲徳栄)が上級生の実力者を相手に勝ち上がるなど、下級生の活躍も見られた今大会。一方で、個人、団体ともに優勝は叶わず、選手たちからは「悔しい」という言葉が多く聞かれた。今月末には東日本学生秋季選手権/新人戦、そして12月には天皇杯全日本選手権が控えている。今年度の締めくくり、早大戦士の戦いぶりに引き続き注目したい。

(記事 鬼頭遥南、写真 北﨑麗)

結果
▽86キロ級
山倉 3位入賞
▽97キロ級
梅林 3位入賞
▽125キロ級
山崎 3位入賞

藤田颯(スポ1=埼玉・花咲徳栄)

―― 昨日の試合についてお伺いします。大学入学後初の公式戦はいかがでしたか

初めての大学の大会だったのと、高校のときから大会の期間が空いてしまって。1回戦目とかは浮足立っていたというか、動きがあまり良くなかったです。緊張しました。

―― 高校時代の大会と違うなと感じた点は

レベルが高いなと思いました。1、2回戦は高校時代はすぐ終わっていたのですが、今回は1、2回戦から相手が強くて最初のスタートが良くなかったです。

―― 高校時代から成長した点は

粘りが上手くなりました。もつれの展開が今回多かったのですが、高校生のときは相手に点数を取られていたところを、今回の大会では自分が取っていることが多かったです。

――3位という結果についてどのように受け止められていますか

準決勝で肩を怪我したといっても、負けてしまったので悔しい気持ちです。その相手が4年生だったので、もう試合をすることはないかもしれないのですが、悔しいです。

―― 今後の試合への意気込みをお願いします

今回もそうですが、泥臭く勝つというか、格好良く勝つことが1番いいと思いますが、そういうのは得意ではないので。点差があまりなくても勝ち切るところを見せていけたらと思います。

山倉孝介(スポ1=千葉・日体大柏)

――3位入賞という結果は率直にどのように受け止めていますか

嬉しいけど、悔しいですね。86キロ級で勝負して、案外戦えて嬉しいなとは思ったんですけど、準決勝で高校の同門である白井先輩(白井達也・日体大)に大差で負けてしまって、まだまだ練習が足りなかったなと実感しました。

――86キロ級は特に強敵揃いの階級でしたが、トーナメント表を見たときにどのように思われましたか

一回戦目の相手が高校のチャンピオンで、1、2回戦ったことがあるのですが、勝ったことがなくて。一回戦目から自分の実力を試すために良い相手だと思いました。同い年のチャンピオンに勝てたら力がついているし、負けたら力がついていないとはっきり分かるので。そこでしっかり勝ちきって勢いに乗ることができて、2回戦目も3回戦目も勝てたので、良かったなと思います。

――大学生初めてのフリースタイルの実戦でしたが、今までとの違いは感じましたか

高校のときは65キロ級で戦っていたので、軽くて素早い相手が多かったんですけど、その点86キロ級になってからは、65のときと比べたらゆっくりで自分にとってやりやすいスタイルで試合を運ぶことができました。

――3位決定戦での勝因はどこですか

準決勝で負けて少し気持ちが落ちていて、かつ3位決定戦の相手がシニアのアジアチャンピオンで分が悪いかなと思っていたんですけど、最後頑張ろうと思って臨みました。あまり緊張はしていなくて、胸を借りる気持ちで試合に挑んで、相手のミスを誘うことができ、自分のペースに持っていくことができたなと思います。

――今大会を通して良かった点と悪かった点をそれぞれ挙げるならば、どこになりますか

良かった点は、テークダウンからの処理ですね。グラウンドを重量級相手にしっかり返せたのが良かったです。一回戦目から足も動けていましたし。悪かった点は、準決勝で手の内がばれている相手のペースに合わせてしまって、チャンスを試合のなかで見つけられなかったことです。やっぱり実力差があるなと感じました。