49年ぶりの好成績だった。例年とは異なり埼玉県立武道館で開催された全国学生選手権(インカレ)。早大相撲部は強豪校ぞろいのAクラス団体予選を2勝1敗で終えてベスト8進出。決勝トーナメントこそ日大(この日の優勝校)相手に初戦敗退となったが、早…

 49年ぶりの好成績だった。例年とは異なり埼玉県立武道館で開催された全国学生選手権(インカレ)。早大相撲部は強豪校ぞろいのAクラス団体予選を2勝1敗で終えてベスト8進出。決勝トーナメントこそ日大(この日の優勝校)相手に初戦敗退となったが、早大相撲部にとっては『半世紀ぶり』となる歴史的な記録で終えた。

 前日のAクラス個人戦トーナメントではベスト32まで勝ち進んだ主将の長谷川聖記(スポ4=愛知・愛工大名電)。そんな長谷川が2日目も好調だった。団体予選では3戦3勝。今大会は先陣として臨み、チームに幸先良い白星を挙げ続けた。初戦、立ち合い廻しを取れないとみるとすぐに回転の速い突きからの押し出し。第二戦は体が伸び上がる姿勢こそ一瞬なったが、外掛けを起点に相手のバランスを崩して攻め切った。こうして、不利な姿勢になる前に二の矢、三の矢の攻撃を繰り出し「常に前に攻められた」のが良かったという。

 団体ベスト8入りのキーマンとなったルーキーの土屋和也(スポ1=静岡・飛龍)と栗田裕有(スポ1=新潟・海洋)。それぞれ予選では3戦2勝の目覚ましい活躍だった。自分の相撲に持ち込めなかったという土屋も常に「冷静に場面対応できた」といい、2連勝。直後に負けた拓大戦では「相手を押し込むことができ、Aクラスでも通用するという自信」を持てる好内容だった。また、栗田は大会前から取りたいと語っていた『激しい相撲』を展開。今大会は自身が勝てばチームの勝利につながる場面の多い、副将という難しい立ち位置だった。緊張はあったとは言うものの、「それが良い方向に動いて責める相撲を取れた」と積極的な内容からの勝利でチームに貢献した。


表彰式後の早大相撲部

 一方、決勝トーナメント初戦の日大戦では5連敗。ベスト8進出を目標にしつつも、ベスト4まで狙いに入れていただけに「欲を言えば、もう一つ勝ちたかった」(長谷川)と悔しさもにじませた。「立ち合いの速さと圧力が違いすぎて歯が立ちませんでした」(土屋)。立ち合いで主導権を奪われると、日大選手らになかなか相撲を取らせてもらえなかった。それでも、今後に期待のかかる1年生の口からは「今回の試合で本当に貴重な経験をさせていただいた」「今後も稽古に精進してさらに上の結果を出せるように」(栗田)と向上心を口にしている。『記録は破られるためにある』──。かつて到達しえなかった高みはすぐそこにあるのかもしれない。早大相撲部の快進撃は続く。

(記事 大貫潤太、写真 早稲田大学相撲部提供)

結果

団体戦

Aクラス予選

予選1回戦 対明大  3勝2敗

先鋒 ◯長谷川参段(押し出し)福井弐段

二陣 ◯土屋弐段(寄り切り)佐藤初段

中堅 ●浅田参段(寄り倒し)神弐段

副将 ◯栗田弐段(はたきこみ)八幡弐段

大将 ●二見弐段(寄り切り)宇都宮参段

予選2回戦 対同大 3勝2敗

先鋒 ◯長谷川参段(寄り切り)村上参段

二陣 ◯土屋弐段(寄り切り)ムンフイデレ初段

中堅 ●浅田参段(寄り切り)デミデジャミツ弐段

副将 ◯栗田弐段(押し出し)川畠弐段

大将 ●二見弐段(寄り切り)山口参段

予選3回戦 対拓大 1勝4敗

先鋒 ◯長谷川参段(下手投げ)坂前弐段

二陣 ●土屋弐段(はたきこみ)長内弐段

中堅 ●浅田参段(押し出し)ジャミン初段

副将 ●栗田弐段(引き落とし)勝呂参段

大将 ●二見弐段(突き落とし)斉藤参段

※予選7位通過

団体Aクラス決勝トーナメント

準々決勝 対日大  5敗

先鋒 ●長谷川参段(下手投げ)草野参段

二陣 ●土屋弐段(押し出し)イェルシン参段

中堅 ●浅田参段(押し出し)石岡参段

副将 ●栗田弐段(寄り切り)川副四段

大将 ●二見弐段(押し出し)川渕参段

コメント

長谷川聖記(スポ4=愛知・愛工大名電)

――前日の個人戦の結果はどのように捉えていますか

 一回戦、二回戦と自分の形になって前に攻められていたので良かったです。三回戦は、立ち合いは悪くなかったのですが、相手の圧力に下がってしまったのが良くなかったです。もっと上を目指していたので悔しいです。

――団体戦の予選では3戦全勝でした。今日の相撲は何が良かったのでしょうか

 勝っても負けても自分の相撲を取り切って、悔いのないように終わろうと思って相撲を取れたことが良かったと思います。常に前に攻められたのも良かったです。

――最終的には団体ベスト8進出を果たしましたが、結果に関してはいかがですか

 マネジャーを含めて、このチームでベスト8という結果で終われて本当に良かったです。欲を言えば、もう一つ勝ちたかったです。

――大会後、室伏渉監督(平7人卒=東京・明大中野)と部員の皆さんは何かお話しされましたか

 監督からは、部員に向けて「ベスト8は中々ない事だから、本当によくやった」と言葉をかけていただきました。

――今後に向けて一言お願いします

 これで学生としての相撲は一区切りになります。早稲田に入って、相撲はもちろんですが、人しても成長させていただきました。監督をはじめ、コーチ陣、先輩方、後輩と相撲ができて本当に良かったです。ありがとうございました。

栗田裕有(スポ1=新潟・海洋)

――ご自身初のインカレでしたが、個人戦含め2日間を終えられた感想は

 初めての試合でしたが勝つことよりも、とにかく自分らしい相撲を取れるように心掛けて相撲を取りました。1年生なのでとにかくチームに勢いがくるように相手を攻め込んで前に出て次につながる相撲をとれていたのでよかったと思います。

――大会前に語られていた「激しい相撲」は体現できましたか

 激しい相撲を取れていたと思います。

――2戦ともに勝てば勝利の局面でした。意識する部分はありましたか

 緊張とかは多少ありましたが、それが良い方向に動いて責める相撲を取れていました。「勝ちにいかなくては」というよりもやることをやって、それが結果として勝ちに結びついたというような感じです。

――今後に向けて一言お願いします

 今回の試合で本当に貴重な経験をさせていただいたので、今後も稽古に精進してさらに上の結果を出せるようにしたいです。

土屋和也(スポ1=静岡・飛龍)

――ご自身初のインカレでしたが、個人戦含め2日間を終えられた感想は

 思っていたよりもあっさり終わりました。全く緊張せず相撲を取れました。

――勝った2番の相撲は何が良かったのでしょうか

 今回は自分の相撲である左上手を取ってからの相撲は取り切れませんでしたが、冷静に場面対応できたことが良かったとおもいます。

――上位と当たってみて実感した反省点などはありましたか

 拓大との戦いでは相手を押し込むことができ、Aクラスでも通用するという自信を持てました。日大との戦いでは、立ち合いの速さと圧力が違いすぎて歯が立ちませんでした。

――今後に向けて一言お願いします

  Aクラスに定着し、活躍できるように、がんばります。